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「美しき愚かものたち」へ思いを馳せて。

ちょっとお久しぶりな、 #しりとりnote 第4回。

(しりとりnoteとはなんぞや?という方はこちらをぜひ。)


前回のキーワードは「年賀状」でした。


「う」から始まる次のキーワードは「上野」。

ではまたしばし、お付き合いくださいませ。


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最初は、パンダに会いたくて、

両親に連れられて降り立った、上野という街。


そして歳を重ねた今、私にとって、上野は「アートの街」。

その中でも特段、よく訪れるのが国立西洋美術館だ。


元々は、ここで開催される特別展を目的に足を運ぶことが多かったのだが、

とある本に出会ってから、常設展にもよく足を運ぶようになった。



原田マハさんの「美しき愚かものたちのタブロー」。


国立西洋美術館の所蔵品の中心となっている

実業家・松方幸次郎によるコレクション、通称「松方コレクション」。

世界情勢に翻弄されながらも、

このコレクションを築き、守り、そして日本へ連れて帰るために

ある意味で狂気とも言えるほどの情熱を傾けた人物たちが織りなす物語だ。


正直、読むたびにどっと疲れる。

作品全体に燃えたぎる情熱に、圧倒されてしまうからだ。

でも同時に、ぐっと胸が熱くなる。


美術館に行けば、本物の絵を自分の目で見ることができる。

生まれてから当たり前のようにそんな環境に育って来たけれど、

たった数十年遡れば、

本物の絵を見るためには、海外へ出ていかなくてはならなかった時代。


日本で、本物の絵を見られる場所を。

本気でそう願った先人たちがいたからこそ、

今こうして、気軽に美術館を訪れてアートに触れられる日々がある。


国立西洋美術館の常設展を訪れるたび、この物語を思い出し、

松方コレクションに携わった人々に思いを馳せずにはいられないのだ。



国立西洋美術館は

今年の10月から2022年の春まで、館内整備のため閉館している。

少し先にはなるが

また開館した日には、この本を片手に常設展を訪れたい。


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