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セルフデベロップメント産業クエストチームインタビューvol.2「なりたい自分になれる社会を創る」

SUNDREDで現在進行中の新産業共創プロジェクトの一つ、「セルフデベロップメント産業」。前回は何を目指すのか、何を実現するのかという点を中心に聞いてきましたが、今回はこのプロジェクトのここまでの歩みと、関わる4人の“想い”に焦点を当てて伺います。

産業創出の具体的なプロセス

- これまでさまざまな議論をされてきたということですが、産業創出の具体的なプロセスについて改めて教えてください。

柏木:SUNDREDでは、新産業共創のための6つのステップを用意しています。1つ目の「目的の共創」、2つ目の「チームの組成」、3つ目の「エコシステム仮説の共創」がフェーズ1になるのですが、チームを組成してからの数ヵ月、このフェーズ1を行ったり来たりしながら深めていきました。

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柏木:プロジェクトの原型のようなものが立ち上がったのは2020年の7月です。当時、私がSUNDRED代表の留目さんとSUMDREDが今後取り組むべき領域やテーマについて議論をしており、人間中心の社会における4つのテーマを導き出しました。このときの議論は、SUNDREDが掲げる新産業創出のための「4象限のフレームワーク」としてまとまっています。

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- SUNDREDでは、この4象限の中でも特に心身的な価値である「ヘルスケア」と「セルフデベロップメント」を大切にしていますね。

柏木:今はそうですね。ただ当時はまだ、セルフデベロップメントの領域を担う産業がないよね、という話になったんです。そこで私が、そういうテーマならということでピンと来て、以前からの知り合いである三石さんを誘い、対話が始まったんです。

対話から始まる

- すぐに動き出したんですね。

柏木:私と三石さん、留目さんを入れた初回の対話は大いに盛り上がり、セルフデベロップメント領域には大きな可能性があるということになりました。そこから議論を継続し、そこに吉田さん、藤川さんもジョインして初期のチーム、SUNDREDではともに冒険するチームということで「クエストチーム」と呼んでいますが、が誕生しました。8月のお盆にはオンライン合宿を行い、これまで述べてきた「社会寿命」や「セルフデベロップメントサイクル」のような概念もどんどん整理されていったんです。

SNSに投稿したのを見てジョイン

- プロジェクトがスタートして1ヵ月程度ですよね。かなりのスピード感だと思います。

藤川:私は留目さんが、「セルフデベロップメント」というテーマについて考えていますとSNSに投稿したのを見てジョインしたんですが、このように気軽に飛び込めるのもSUNDREDならではと思います。

対話するなかでそれぞれがコミット

吉田:最初はボワッとしたテーマで、課題感もメンバー間で少しずつ異なっていたと思いますが、なんかあるよね、なんだろうね…と対話するなかでそれぞれがコミットしていった感じです。「目的の共創」と「チームの組成」が、グルグル螺旋状に回りながら洗練されていったというイメージですね。10月のワークショップを経て、現在は「チームの組成」と「エコシステム仮説の共創」がサーキュレイトしている段階です。

ワークショップ開催

柏木:10月には初の対外的なワークショップを開催し、このテーマに関心を持ってくださった方々が多数集まりました。このワークショップでは、「働く」をテーマにディスカッションしたのですが、それも踏まえまとめたのが、エコシステム仮説をさらに詳細化したバリューチェーン仮説です。セルフデベロップメントサイクルを中心に、「働く」に関する提供価値をマッピングしていき、それぞれについてどのようなサービスがつながればいいかを表しました。この図にはすでに、三石さんが所属しているパーソルなど具体的な企業名を仮で入れていますが、このようにそれぞれのサービスを担う事業者を集めていきたいと考えています。現在は、ワークショップ参加者のなかから熱量あるメンバーを集めてクエストチームの拡張を図りつつ、このエコシステムの具体化を進めています。

バリューチェーン仮説

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- このスピード感を実現する背景には、何があるのでしょうか。

三石: SUNDREDのコミュニティには、感度の高い人、センスのある人が集まっているので、ネットワークを使って発信すると「それいいね」とか「やってみたい」という人が出てきて、自然にマッチングができる。そして、メンバー一人ひとりに主体者意識がある。そういう土壌が大きかったのではないかと思います。

新産業づくりは一つのゲーム

柏木:先ほど「クエストチーム」という表現を使いましたが、私は新産業づくりは一つのゲーム、ロールプレイングゲームのようなものだと思っているんです。メンバーにはチームを率い、進むべき方向性を示す勇者もいれば、その勇者を助ける賢者や戦士もいる。力を合わせてミニクエストをクリアしていくんだけど、どういう順番で攻略してレベルアップして、どのタイミングで凄い人を召喚するか、と戦略を練る。つまり新産業をつくるゲームなんじゃないかと。

全員が勇者ではクエストチームは成り立たない

- 全員が勇者ではクエストチームは成り立ちませんよね。それそれの強みを活かし、互いに補完しながら進んでいくというイメージになると思いますが、セルフデベロップメント産業においては勇者は三石さんですか?

三石:今はそういう役割になっていると思います。私が大きなビジョンや方向性を示しつつ、バックで武器となる資料をつくってくれたり、自分にない視点を提供してくれる柏木さんや吉田さん、藤川さんは賢者なのかも。もう一つ、私が負っているミッションとしては、僕が所属するパーソルという大企業のパワーを、この産業に巻き込んでいくことですが、チームの助けもあり順調に進んでいます。

新産業創出のためには既存のものをディスラプトする必要があります

- 今後、企業や組織を超えて新産業の共創をさらに進めるには、何が必要だと考えていますか?

藤川:新産業創出のためには既存のものをディスラプトする必要があります。例えば、セルフデベロップメント産業の創出により、私が所属するような大学のビジネススクールが不要になってしまうかもしれません。ですから、新しいことの共創に関わっていることが次につながる、関わらないとディスラプトされる側になってしまう、そういう視点が必要かなと思います。個人的には、例えディスラプトしてもその方が面白そうという感覚ですが(笑)。

- 既存のものをディスラプトするというのは、抵抗もあるかと思います。また、背景がバラバラの個人や企業が集まり、チームになっていくのも簡単なことではありません。ここまで順調に前進しているようですが、その秘訣は何でしょうか?

吉田:コミュニケーションのポリシーやフィロソフィーが、メンバー間で自然と共有されているのは強みかもしれません。チームみんなでやろうというスタンスで、なんとなく役割分担はあるけど、それしかやりませんというんじゃないのがいいですよね。

SUNDREDが提唱する「インタープレナー」

藤川:SUNDREDが提唱する「インタープレナー」、すなわち新たな価値を創出するために自分が所属する組織にとらわれずに活動する個人が引っ張っているというのも大きいと思います。そして、チームの力。一人でやっていると停まってしまう瞬間もありますが、チームだと誰かの動きに引っ張られて動き続けることもできる。このバランスも大きいと思います。

- SUNDREDの新産業共創プロセスではこの後、「共創会の設立」、「事業体の強化」、「エコシステム構築の推進」と進んでいくわけですが、セルフデベロップメント産業は今後どう展開しそうですか?

三石:まず、SUNDREDでは2月に大きなイベント「Industry-Up Days: Spring 2021」を開催します。そこでの発表を一つの目標に、いくつかの企業を募って共創会を立ち上げ、さらにどの企業・組織を巻き込むかをプロットしていく予定です。夏前にはセルフデベロップメント産業単体でカンファレンスをやりたいと思っているので、それに向けてチームも拡張していきたいですね。

共に歩みたい人のイメージ

- 「共創会の設立」ですね。具体的にはどのような人材を望んでいますか?

藤川:教育について言えば、既存の枠で教育を語らない人。いろんなかたちの学びを実現しようとしている人。私たちのやりたいことに共感しつつ、SUNDREDを活用してやろうくらいの貪欲さが欲しいですね。領域ごとの人材に加えて、全体を回すプロジェクトリーダー的な存在も必要になると思います。

三石:この領域で産業創出を進めるにあたって壁となるのが、個人情報や規制の問題です。データプライバシーの面をどうクリアにするかを初期段階から考察する必要があるので、そういう面でサポートしてもらえる人、できれば海外の事例も含めて全体を俯瞰して見られる人が望ましいですね。

柏木:私は気がつけば巻き込まれてしまい、平日の夜や休日は、このセルフデベロップメント産業をつくる。というクエストにのめり込んでいます。それはこの産業がこれからの社会に必要!と本気で考えているからです。だから一緒にこのクエストに挑んでくれる人は「社会を変えたい!」な熱量と実際に行動してくれる人が良いです。

吉田:既存のものの延長で考える人が多いですが、それを突破してでも考えてみたいという意志のある人に参画してほしいですね。善意だけでは続かないので、持続可能なプロジェクトにするためにも、今後に向けてインセンティブの仕組みも検討しています。

- クエストチームでは絶賛メンバー募集中ということですね。我こそはと思う方はぜひ、アプローチしていただきたいと思います。
本日はありがとうございました。


セルフデベロップメント産業

インタビュー

#柏木誠 (NHN PlayArt株式会社)
#藤川佳則 (一橋大学大学院 経営管理研究科 国際企業戦略専攻 准教授)
#吉田直樹 (SUNDRED株式会社 パートナー|三菱総合研究所 参与)
#三石原士 (SUNDRED株式会社 パートナー|パーソルキャリア株式会社 経営戦略本部 ミッション推進統括部 プロデューサー)
#光村圭一郎 (SUNDRED株式会社 パートナー|三井不動産 BASE Q 運営責任者)※ファシリテーター

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SUNDRED / 新産業共創スタジオでは2月17日〜19日にカンファレンスを開催します。

インタープレナー、企業およびその他の組織、起業家・スタートアップ、それぞれの観点から新産業の共創について考えていくとともに、具体的な新産業共創プロジェクトについても皆さんとディスカッションしていく機会とさせて頂く予定です。是非ご参加下さい。