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学校に行かないという選択。「いざ、中学校へ。前編。」

遡って、4月1日。
これから長男が籍を置くことになる中学校の入学受付日。エイプリルフールではあるが、入学通知は嘘ではないようだった。

「面倒くさい・・・」と呟く長男に、「ま、最初だし、どんな感じか、受付だけでも行っておいたら?お母さんも、先生たちとの面談の約束したいから、一緒にいくわ。」と、渋々の長男と中学校へ。

体育館に案内されると、4つの小学校を卒業した新中学一年生たちは、受け付けを済ませ、用意されたパイプ椅子に座っていた。

案内の先生に、「どこの小学校?」と聞かれ、「K小。」と長男が答えると、その先生は、「K小学校です、だろ?」と言い放った。しかし、そんなことで、怯む長男ではない。

「K小。」

・・・あはは。

そして、その先生は、私の顔をみて更に、「K小学校です、よね?」と繰り返したが、笑顔でスルーさせていただいた。

「K小学校です」という答えを求めるのであれば、まずは、「どこの小学校ですか?」と子どもたちに尋ねる必要があるのではないだろうか。

その後も、その先生は遅れた子どもたちに、「こうやって遅れるやつがいるんだよ!」と言い放った。

私は、腕時計に、目をやった。遅れたと言っても1、2分だ。遅れることがやむを得ない事情や何かしらの理由があるかもしれない。

そんなことを頭の中で考えながら、様々な先生の様子を観察しつつ、どの先生に取次いでいただくべきかを判断しなくてはならない。

学校の事情を把握していそうなやや年配の先生に、「K小学校を卒業したやなぎだと申します。息子の今後の学校への通い方をご相談させていただきたいので、面談のお約束をしたいと思い、伺ったのですが。」というと、「通い方?」と呆気にとられた顔をしてた。

お、これは、小学校からの情報はまだ共有されていないのだなと思い、小学校には殆ど通っておらず(実質3日だが、そこは敢えて伏せておき)、自宅で学習してきたこと、今後のことも事前に話し合っておきたいということを伝えると、「担当の職員を呼んできますので、少々お待ちください。」と言われた。

しばらくすると、もう一人の先生が来てくださった。学年教務担当主任の先生とのこと。

先程の先生にお話した内容を繰り返し伝える。「授業が始まる前に、面談したほうがいいですよね」と言っていただいたので、「始まってからでは先生方もお忙しいと思いますので、お時間作っていただければ、ありがたいです。本人と主人と伺いたいと思います。」と伝え、入学式の前に面談の約束をした。

長男だけ、説明会に残し、私は先に体育館を出た。

1時間ほどすると、説明会が終わったようで、長男が猛烈な速さで走って校門を出てきた。

そして、夫の運転する車の助手席のドアを開けると、一言。

「すべてが、不愉快極まりない。」

そして、勢いよく、車のドアを閉めた。

とりあえず、初日に先生に噛みつかなかっただけでも、御の字である。

夫が、「何がそんなに不愉快だったの?」と尋ねると、「先生たちの物言いがすべて、〈お前ら、できないだろうから教えてやっている〉って感じ。そんな風に言わなくても出来るし、わかるのに。とにかく上からの言い方で、すべてが不愉快だった。」と言った。

大体、想像はつく。私が居た数分間でさえ、その空気を感じたのだから。

しかし、私は、段々、面白くなってきてしまったのだ。

面談で、どんな話になるのか。学校の在り方や先生たちの在り方を知るチャンスだ。如何に、そのような場で長男の望む学びの形を伝えられるか。チャレンジ、だ。

そして、長男には、「あのさ、来週、沖縄から帰ったら、お父さんと3人で学校に話をしにいくことになったからね。それで、どういう風に考えているかを知ってもらうのが大事だと思うからさ。味方になってくれる人は多いほうがいいでしょ。あなたのやりたいことを邪魔されず、応援してもらえたらいいよねぇ。」と話すと、「そりゃ、そうだな。」と言っていた。

一応、無難に終わったかに見えた入学受付。

しかし、長男からこんな話が。

「受付で、何で帽子を被ってるの?って聞かれたから、落ち着くからっていったら、学校で授業受けるときはどうするの?って言われたから、〈学校にいくつもりないから大丈夫〉って言ったら、呆気にとられてた。」

・・・母の知らないところで、さりげなく、爆弾を落としていたようだった。

学校に通うことは、あたりまえという前提がある場所で、そんなことを言ったら、それは驚くし、呆気にとられても当然である。

さて、まずは面談だ。

長男の日々の学びの様子をお伝えしつつ、学校にも共に育ちを見守ってもらえるように、少しずつ少しづつ、お互いを知ることができたらいいなと思っている。

末娘の幼稚園、二男の進級、長男の中学校。
新たな春がいよいよ幕を開ける。

日記を書いていた長男を見ていて、ふと疑問に思って尋ねる。

「今日、〈不愉快極まりない〉って言ってたけど、あなた、漢字でかけるの?」

「え?書けない。教えて。」

不愉快極まりない。です。

「あぁ、そういう字か。覚えた。」

彼の脳内では、〈不ゆ快極まりない〉だったのね。
と思ったら笑ってしまった。何かの快速電車みたいだ。
因みに、〈愉〉は中学3年の漢字だそうだ。

さ、楽しんで行こうか!!

後編につづく。



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