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やなぎだ けいこの店#21「ルミとマヤとその周辺/ヤマザキ マリ」

★「やなぎだ けいこの店」では、日々、我が家で選び楽しんでいる絵本や店主が読んだ本・最近おもしろいと思ったもの・こと・美味しいもの・やなぎだけいこレシピ、暮らしの中の発見・・・などなど、をマガジンにまとめ、紹介していけたらと思っています。★

今日のご紹介は・・ヤマザキマリさんの「ルミとマヤとその周辺」です。

この漫画を手に取る前に、noteのこちらの記事を読んで、自分の「何度でも読みたい」マガジンに登録していました。

ヤマザキマリさんと言えば、漫画「テルマエ・ロマエ」の作者である、という認識しか私には無かったのですが、このエッセイを読ませていただいて、「いったいどんな方なのかしら?」と、ヤマザキマリさんの事が知りたくなりました。一体、どんな環境で、どんな風に育ってきたのだろう?

そんな風に思っていた時に、手元に届いたのが、こちらの漫画でした。

長男には、生き物好きトモダチ(高2・女子)がおり、私の漫画トモダチでもあります。

彼女は、今は、札幌から3時間程、離れた場所に暮らしているのですが、時々札幌に来ると、我が家に遊びに来てくれます。そして、彼女や彼女のお母さんの漫画と、私や子どもたちの漫画を貸し借りしています。

今まで読んだことの無い漫画が多く、漫画好きの私は、貸してもらった漫画の山を見るだけで、心躍ります。その彼女が、この漫画を貸してくれました。

ヤマザキさんの半自伝的作品『ルミとマヤとその周辺』は、北海道の小学生時代を描いた作品なのだそうです。

昭和の時代を〈子ども〉として育った私は、この漫画を読みながら、なんとも言えない気持ちになり、何度も涙ぐみました。

〈あの時代は良かった〉という表現は好まないし、するつもりもないのですが、〈昭和の時代に確かに存在していた空気感〉を在々と思い出していました。

どの時代にも、良かったものも、そうでなかったものもある。

昭和という時代も、そうだったと思います。

私が育った団地にも、この漫画に描かれているような様々な出来事が、直ぐ傍にあった。

確かにあったのです。

大人には大人の事情、子どもたちには、それぞれの家庭の事情があり、子どもたちは、それに従ったり、受け入れる意外に選択肢がなった時代でもあった。矛盾も、もどかしさも、自分の無力さも、人々の様々な感情の機微も、ただ、そこに在った時代。

「多様性を認めよう」と声を大にして叫ばなくても、多様な人間が、そこに存在し、生活していた。

子どもであった私は、それをただ見つめながら育ったのだと思います。

その様な時代の中でも、子どもたちは、模索しながら、考えながら、育っていた。

そんな時代だったと思います。

漫画を読みながら、

急に学校に来なくなったあの子は、今、どうしているのだろう。

あの子と喧嘩して、あんなこといっちゃったけど、今は、どんな大人になっているのだろう。

橙色の空が端っこから、徐々に紺色に染まり始めた公園で、「また明日もあそぼうね!」と別れたあの子は、今、なにを思って暮らしているのだろう。

ささやかな喜びと、切なさと、多くの矛盾と多様な暮らしが、あちらこちらに在った時代。

ヤマザキマリさんの漫画を読みながら、自分の育った風景を鮮明に思い出していました。

今の時代を〈子ども〉として育っている我が子たちが、いつか〈令和の時代〉を振り返る時、どんな感覚を抱くのだろうか。

いつの日か、
ちょっと聴いてみたい気がするのです。

みなさんの暮らしの色が増えますように。 店主・やなぎだ けいこ

学校に行かない選択をしたこどもたちのさらなる選択肢のため&サポートしてくれた方も私たちも、めぐりめぐって、お互いが幸せになる遣い方したいと思います!