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起業家が海外出張を最低限こなすためにー準備、日常生活、仕事

今回は海外出張のために役に立つ情報をまとめたいと思います。特にめんどくさがりで「なんとかなるっしょ」というタイプに向けて書いています。

今までアメリカ、中国、インド、インドネシア、フィリピン、シンガポール、スペインに行き、今年も南米とアフリカに行く予定です。その経験から、行く前の準備、現地での過ごし方、仕事の仕方を紹介します。

行く前の準備

正直、この行く前の準備が全体の90%をしめるほどに重要です。

・健康

特にインドなどがそうですが、ワクチンを接種しておきましょう。ワクチン無しで問題なかったことも多いですが、人生全体に関わるのでうったほうがいいです。また同じような話で海外保険も入ったほうがいいです。アメリカで骨折などして病院いったら数百万円かかった、というのはよくある話です。

・入国

せっかく何時間もかけて飛行機で現地についたのに入国できないのは残念すぎます。日本人は色んな国にかなり簡単に入国できますが、必ず行く数週間前には「国名+入国方法」など検索しておきましょう。例えばアメリカではESTA、インドではe-VISAが必要です。申請後は印刷するかスマホの画面で見せれるようにしましょう。仕事で行く場合は「ビジネスビザ」が必要です。

・服装

飛行機内、現地、仕事シーンで変わります。例えばシンガポールは外が暑くて、中が冷房はんぱないのが普通です。飛行機内も寒くて乾燥することが多々あります。羽織るものやマスクはあったほうがいいです。

現地においては出歩くときは軽装がいいです。どこに行っても日本より治安がいいところはかなり稀であり、「お金を持っていそう」という身なりは襲われる原因を作ります。Tシャツ+短パン+小さめのバッグがいいでしょう。

・飛行機と宿泊先

予算の少ない起業家にとっては結構難しい選択ですが、ここで節約しすぎると何かと不便です。例えば乗り継ぎに時間がかかりすぎると、その分時給換算して時間を無駄にすることがありますし、ホテルではWifiがつながりづらくて仕事ができない、なんてこともあります。

中国のホテルの場合は、スタッフが英語すら使えないこともあります。インドではトイレにトイレットペーパーがないこともあります。だいたいどの国に行くにしても1泊5千円~1万円の間なら問題ないでしょう。かかるお金は資金調達や現地でのパフォーマンスでカバーします。

それから食べ物でお腹を壊しやすい人は日本食レストランがある地域でホテルを予約しましょう。

現地空港から日本に帰国する際には、空港のガードマンにチケットを見せる必要がある場合があります。私の場合はエクスペディアのアプリで英語表示したりしますが、紙を用意できたらベストです。

・ストレス軽減のために

飛行機内や現地での空き時間など、できるだけリラックスできるようにしたほうがいいです。慣れない環境は気づかないうちにストレスになっているからです。例えば対策としてはヒーリング音楽をDLしておく、Netflixなどの動画サービスで動画をDLしておく、充電不要な有線イヤホンを用意しておく、スマホの充電器とバッテリーは常に持っておく(飛行機によってはUSB充電可能)、とかです。

・その他生活面

電源プラグの変換(各地でプラグのタイプが違う)
ホテルで充電する際のたこ足(パソコン、スマホ、Wifiルーター、など)
Wifiルーターとバッテリーをネットで申請して空港で受け取る(中国はVPN付きがいい)
肌が弱い人は弱酸性のシャンプーなどを用意
栄養不足にならないようカロリーメイト常備
おなかを壊しやすい人はトイレットペーパーやビオフェルミンなどを常備
iPhoneをなくしたときのために「iPhoneを探す」アプリはオンにしておく

・仕事の準備

LinkedInのアカウントを作り、顧客になりそうな企業名でLinkedInで検索し、担当者にメッセージを送りまくりましょう。それから現地でよく使われるメッセージアプリは必須です(WhatsappとWechat)。それから現地のイベントも事前にチェックです(Facebook、Meetup、Eventbrite)。

展示会に出展する場合は、名刺パンフレット(連絡先をすべて入れておくと楽)、プロダクトデモは必須で、可能ならロールアップバナーもあるといいでしょう。プレゼン資料も印刷しておいたほうが持ち運び便利です。

※よく使うロールアップバナーの印刷は「大判プリントの達人」です。飛行機の荷物を預けるサイズでも問題ありません。

現地での過ごし方

仕事以外の現地での過ごし方について紹介します。特に重要なのは決済方法と移動方法でしょう。ここで各種アプリがかなり役立ちます。

・決済方法

基本クレジットカード、デビットカードをよく使います。持ち運び便利ですし、紛失・盗難にあっても止めればいいですし、複数もっていれば置き場所を分散できます。

ただ中国は注意です。まず中国に銀行口座がない限りアリペイやWechat Payが使えません(2019年8月11日時点では)。クレジットカードもVISAやMaster cardが使えないことが多いです。対策としては、中国人の仲いい人や取引先に案内してもらう、レストラン付きかつ英語が使えるスタッフのいるホテル(観光客向け)に泊まる、日本で銀聯カードを取得しておく(取得に1か月はかかる)、です。

私個人的にはスターバックスをかなり使います。現地感はなくなりますが、Wifiが使える、客も安全、クレカが使える、ご飯も問題ない、という理由からです。

現金ももし何かあったときのために用意しておいたほうがいいでしょう。空港などで現地通貨に交換しておきます。必要な金額はその人のリスク許容度次第ですが、私の経験だと現地通貨で2-3千円あれば問題ありませんでした。あと高額紙幣ではなくできるだけ細かい状態で持っておきましょう。

※現金とクレカは、紛失・盗難のリスクをさけるため、手持ちとホテルに分散させたほうがいいでしょう。

・移動方法

日本と大きく違うのが配車アプリの存在です。インドやケニアなどはUber、中国ではDiDi、その他アジアではGrabが使えます。ただここでもいくつか注意点があります。

現地でのネットの回線などを考慮して、配車アプリの設定は日本で済ませておく。
空港には配車アプリ専用の乗り場がある。それを無視すると階層ごとにドライバーと待ち合わせするのが大変。
ドライバーが分かりやすい場所を意識して配車を予約する。
ドライバーの到着が遅くてキャンセルする場合もあるだろうが、システム上たくさんキャンセルするとしばらく使えなくなる。おそらくキャンセルは3回まで。
現地の通勤時間は渋滞になって、配車がうまくつかまらない、つかまっても移動時間がかなりかかるので余裕をもって。
つかまらないときは高くてもホテルタクシーを選択肢にいれておいたり、Premium版をつかったりする。
乗車時はドライバーがちゃんと目的地に向かっているかどうかGoogle Mapや百度地図などで確認しておく。

それからアメリカの場合(私が経験したのはサンフランシスコ周辺)はUberがそんなに日本人にとって安くないので、バスや電車のアプリを入れておくのがいいでしょう。MuniMobile、SamTrains、CaltrainMobileなどです。これらもクレカを登録して決済できます。

中国に関してはDiDiのドライバーでも英語はほぼ使えないため、移動先の地名を中国語でも用意しておいたほうがいいです。DiDiは中国版をダウンロードし、決済はVISAなどのクレカが使用可能です。

現地での仕事について

まずよくあることから紹介します。

ミーティングなどの時間が遅れるのは当たり前(相手の遅刻や移動時の渋滞など)。1日のミーティング数は2個に抑えるのが無難です。
現地の人が「できる」と言ってできないことがよくあります。なので色々と質問して見極めましょう。
要件・仕様はちゃんと全て伝えましょう。言わないと伝わりません。
展示会やイベントなどで出会った見込み顧客などはすぐにLinkedInで友達になりましょう。名刺にLinkedInのQRコードがついているといいです。
インドなど各地英語はなまっています(もちろん日本人も)。なので録音アプリなどで大事な会話は録音しましょう。
「Exclusive」と書かれた契約は避けたほうがいいでしょう(もちろん目的次第ですが)。

よくある悩みとして言語(特に英語)があるでしょう。まったく話せない聞き取れないならフィリピン1か月語学留学にいくのがいいかもしれませんが、最低限なんとなくわかるレベルなら、あとは現地で気合で慣れるのがいいと思います。

特に起業家への英語学習には展示会への参加が一番おすすめです。ブースに来る人に何度も繰り返し同じことを話し、相手の質問によって会話が行われるためです。一気に自身の製品についてスラスラ話せるようになります。

がっつり展示会で成果を出したい、という方は、展示会もどこでもいいわけではありません。まずある程度参加費が高いところのほうが、学生やエンジニアといった「勉強目的」の参加者が減りますし、自身の顧客が存在する国や地域のほうが製品が解決する課題を理解してもらえます。それから展示会もスタートアップの展示会(Tech in Asiaなど)よりは特定の業界(Agritechなど)の展示会のほうがいいです。

さて、現地において仕事で一番重要なのは顧客・市場の確認でしょう。その確認の際にどの情報をあてにしたらいいか、という問題です。日本人の失敗あるあるは日本で上手くいった解決策をそのまま現地の課題に適応することです。しかし、もちろん一番の正攻法は、「顧客のペインがすべてを決める」で書いたように、現地の顧客に直接課題を聞いて解決策を提供することです。

その次の情報で信用になるのは統計ですが、もちろん一番ではありませんし、現地の投資家ですら一番ではありません。また、コンサルや駐在員、「日本人でその国の事をよく知っている有名人」の情報も大してあてになりません。どんなに日本で偉そうでも、海外ではただの日本人でしかありません。やはり一番重要なのは顧客の声を直接聞くことです。

顧客の声を聴いて正しく解決策を導いていれば、現地のどんな偉い人でも相手にしてくれます。特にまだ顧客の少ないスタートアップにとって事業として大きく成長する機会になるのが、現地の大企業(外資含む)とのコネクションです。消費者向けサービスならマーケティングなど、企業向けサービスならそのまま顧客になってくれます。これが本当のオープンイノベーションであり、本当に解決策が正しいなら紹介の紹介でそういう大企業に出会えます。

資金調達活動をするのであれば、現地の投資家のトレンドは把握しておくべきです。シリコンバレーは売上が伸びてればOKとか、中国はヘルスケアに興味を持っているとか、香港やシンガポールは流行りのテクノロジーに興味があるとか、です。もちろん一概に言えないので、自身の製品・サービスにあった投資家がどの地域なら出会いやすい(確率が高いのか)を見極めましょう。日本との違いでいえば、アクセラレータも投資を行っています。

最後に

私の起業前の海外経験は語学留学に半年いっただけです。よく「日本人はレバレッジを活かして日本市場を攻めるべき」みたいなことを言いますが、しかし3年もたてばこれだけ慣れることができます。ではどんな考え方が大事だったのでしょうか?

起業家におくるネガティブシンキングのすすめ」でも書きましたが、手段としてのネガティブは本当に重要です。日本での生活は慣れているのもありますし、治安も何もかもがリスクが低く抑えられていますが、こんな国は稀です。インドでタクシーでぼったくられるとか、スペインで荷物をすられるとか、海外なら悪いことが発生して普通です

対人でも性悪説・性弱説を前提にして接するのが無難でしょう。すぐに人を信頼してはいけません。信頼するかしないか、ではなく、信頼するためにはいくつかのステップを踏む、という考え方が重要です。

それから目的を重視してゼロベースで動く、という考え方も重要です。物事は何でも目的次第であり、目的を達成するために必要なことをすべて学び、実行していけば、組み立てることができます。楽譜通りにピアノを弾けば曲ができるのと同じです。

日本人が海外市場を目指すのはまだまだ少数派ですが、このような情報によって少しずつハードルが下がってくればいいなと思います。

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