岸田首相に物申す!リスキリングの前に取り組むべき事がある!!
最近流行りのリスキリング、多いに疑問を感じています。
リスキリングは、岸田政権としてもトップの支援領域で、日経に何度も出てきますね。
一方、リスキリングの具体的な中身を見てみると、圧倒的に技術寄りで、マーケティングはおろか、ビジネス領域は、ごくごく一項目。そして、内容は、デザイン志向とか、3C・4Pとかキーワードを並べただけ。
国のお仕事なので、仕方がないと思いますが、いささかお粗末かと思います。そもそも、ユーザー不在、ビジネス不在のDXブームには、多いに疑問を感じていたのですが、このリスキリングはさすがに無いんじゃないかと思います。
リスキリングで日本企業は世界で戦えるのか?
これで日本は世界で戦えるようになるのだろうか。多分ならないと思います。
ももそも、日本企業が稼げてない理由は何か?どこに問題があるのか?答えは、企業経営者が自覚しているようです。
だいぶ古い調査で申し訳ないのですが、経団連が行った調査で、日本企業のグローバル競争力について質問したものがあります。添付画像ご覧ください。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2016/045_honbun.pdf...
圧倒的に弱いとされているのが、マーケティング。そして、コスト。
ここから透けて見える日本企業の現状はどこか?それは、一言で言うと、Stuck in the middleです。
ミドルマーケットで競争力を失う日本企業
要するに何かといいますと、(長いですが、お付き合いください)
本来、ポーターの教科書的な戦略論的では、差別化戦略(高付加価値・高コスト)か、コストリーダーシップ(低付加価値・低コスト)のどちらを選ばないといけないという事になっています。
今の日本企業はどちらを選んでいるのでしょうか?どちらも選んでないのです。
欧州の高級ブランドやテスラのような高付加価値もやれてない、一方で、低コスト領域は、中国、台湾にやられている、今は仕方なく、残った真ん中の市場で、付加価値も中程度、コストも中程度で戦っているというのが現状じゃないでしょうか?
なぜミドルマーケットに甘んじてしまうのか?
「いいものを作れば売れる」言葉があります。
これは何かというと、日本企業は、伝統的にピラミッド的な取引構造を作っていて、一部の大手メーカー・大手商社が市場を開拓し、そこにぶら下がっている企業は、納入先の厳しい要求に歯を縛って耐えていく、その結果、低コスト・高品質な製品が出来上がり、全体的に競争力が高くなるという構造を作っていました。
下請けメーカーは、営業機能・マーケティング機能を極限まで減らし、自社での営業活動・自社でのマーケティング活動を放棄する代わりに、全経営リソースを開発と製造に振り向けてきたと言えると思います。
ところが、これは右肩上がり成長だから成り立つ構造であって、そうでない時代には成り立ちません。日産にゴーン氏が就任した際に、大量の外注先の整理が行われました。市場の需要が飽和してくると、得意先にぶら下がるような経営は成り立たなくなるのです。
世界トップ技術でも撤退一歩手前
私が以前勤務していた富士通で印象的なエピソードがあります。
ある子会社のコンピュータ組立工場を訪ねた時に、工作機械が何台かおいてある薄暗い建屋があり、第一工場ですと案内されました。こちらでは何を作っているのですか?と聞くと、「金型です」と言われました。
ところが最近は、中国メーカー、韓国メーカーに押されて、撤退も含めて検討しなくてはいけない状況ですと言われました。取引先は?と聞きますと、大手自動車メーカー、半導体装置メーカー。いいところに入っています。絶対の狂いが許されない、エンジンの金型を作ってるとはなかなかです。
「え?ちょっと待ってくださいね、エンジンの金型を作ってるってことは、技術力は日本でトップですか?」「はい、よくわかりませんが、多分そうだと思います。」
日本の自動車は品質が世界トップです。当然金型に求める品質も、相当に高いはず。おそらくは、技術レベルは世界トップクラス。それが、韓国・中国にやられて、撤退を検討しているだと??
戦後の発展の経緯を未だに引きずっている
要するにこういう事なのです。戦後の商社・大手メーカーを頂点とした(当時は)効率的な市場開拓、取引企業間で役割分担の中で、求められるものを全力作る。しかし、一方で、営業機能・マーケティング機能は放棄しているので、冒頭で話したポーター的な高価格・高付加価値路線を追求したり、逆に、途上国に技術ライセンスをするなどによる低コスト・低付加価値領域の開拓などもできない。
DX知識も宝の持ち腐れに?
せっかく最高の技術や製品があっても、それをどう料理するか(ポジショニング、ターゲティング、製品パッケージング)がわからないとか、どうお客さんに届けるかがわからない(営業・マーケティング機能が無い)という状態だと宝の持ち腐れに終わるのですよ。
こんなマーケティング思考、営業思考の無い状態で、デジタル知識を与えたところでは、言葉は悪いですが、高齢者の趣味のパソコン講座にしかならないんじゃないでしょうか?
ITで勝つのはそんなに甘くない
冒頭の岸田政権のリスキリングを見ると、日本人はデジタルで遅れてる、IT教育したら、全体的に良くなるんじゃない?的な浅い発想が透けて見えます。これは、日本の悪しき平均点教育の弊害ではないかとさえ思います。
正直、一攫千金を夢見て世界中からIT技術者が集まるシリコンバレーや、カースト制からの自立を目指して必死でITを学ぶインド人に、今のぬるま湯慣れ、危機感のない日本人が少々デジタル知識、IT知識を学んだとして、本当に太刀打ちできるのでしょうか?
それよりも、今自分達が持っているもの(技術・製品)を最大限に生かして、「今すぐ売れる市場、今すぐ売れる顧客」を探す方が早いのではないでしょうか?
営業もマーケティングも一切やってなかったのですから、ちょっとやればすぐ成果が出るんじゃないでしょうか?
アメリカは英語とインターネットを武器に世界中の取引先を開拓している
今は、デジタルマーケティングが普及していて、わざわざ、海外に支社を作らなくてもいい、本社に居ながら全世界のマーケティングができるようになっています。
アメリカ企業の強さは、国民性としてマーケティングが強く、そして、英語を公用語として世界で普及させ、インターネット上でデジタルマーケティングを行う事で、世界中を相手にビジネスができる事があります。
アメリカ企業にとっては、英語でホームーページを持つのは当たり前ですが、英語をビジネス公用語にする国も当然ながらターゲットにすることができて、ホームページから問い合わせが来る状態があるという事なのです。
DX教育の前にやるべき事
日本企業を稼ぐ力を磨くのであれば、下請け中小企業の全部にホームページを持たせて、英語化する、最近は自動翻訳のいいのがあるので、低コストで済みます、海外から問い合わせが来たら、翻訳ソフトを使いながら対応する、相手が本気だったら、ビジネス通訳を雇って、Zoomでミーティングをすればよい。
いつ金になるかわからん、DX人材育成の前に、即効性の高い施策があると思います。
インターネットは、圧倒的に英語で検索されています。
日本企業のほとんどは、英語のホームページを持っていない、あるいは、もっていても申し訳程度で、検索がひっかからない。
インターネット空間においては、日本企業は、存在しないと同じ状態になっているのです。僕は、これはゆゆしき事態で、なんとかしないといけないと思っています。
いかがでしょう?
異論・反論あると思います。ただし、このような答えの見えない時代には、議論を戦わせないとダメと思います。ぜひ、ご意見頂きたいです。