Gartnerが注目する7 つの破壊的テクノロジー
英語でDestructive Technologyというのがある。既存の市場やビジネスのやり方を根本から変えてしまう、という点で、「破壊的インパクト」を持つ技術を、Destructive Technologyと呼んでいる。
Gartnerのセールス領域をカバーするシニアディレクターのDan Gottlieb氏が2022年10月10日に興味深いレポートを発表しているので、以下にそのポイントを紹介したい。
2027 年までにセールス領域に破壊的影響を与える 7 つのテクノロジー
セールス リーダーは、今後 5 年間でセールス モデルを完全に変革する破壊的な新技術について学習し、優先順位を付けつつ対応する必要がある。
「テクノロジーは、販売プロセスにどんどん入り込んでいく。これらは、営業戦略、顧客エンゲージメント、価格設定、セールスイネーブルメントの各領域に大きな影響を与える可能性があり、営業責任者は、これらの領域のイノベーションの先取りする必要がある。」(Noah Elkin Vice President)
1 マルチモダリティ
マルチモダリティとは、営業担当に、活動記録を残すことを用意にするための考え方で、複数方式の入力方式を可能にするため、このように名づけられている。
「マルチモダリティは、販売員がキーボードからCRMに入力する以外に、活動を記録する複数の方法を提供する。これらのテクノロジーはすべて CRM テクノロジーとインターフェイスを持ち、最前線の販売員が CRM データを取得することを促進します。」
具体的には、スマホをポチポチする、電話で話した内容を音声認識する、AIボットが勝手にメモを生成するなど。
Gartner は、2025 年までに、B2B スペースでのすべての売り手と買い手のやり取りの 70% がログに記録され、人工知能、機械学習 (ML)、自然言語処理 (NLP) を使用して、競合分析を行ったり、市場調査データを抽出するようになると予測している。
2 ジェネレーティブAI
顧客は、自社に合わせて最適化された、関連性の高い”体験”を期待している。営業にとってコンテンツの重要性はどんどん高まっている。一方、コンテンツを顧客ごとに作る事は、極めて困難である。
ジェネレーティブAIは、文字通り、コンテンツを自動生成する技術だ。既存のコンテンツを教師データとして、AIに学習させ、AIが自動で新しいコンテンツを生成するようになる。
対象は、画像、ビデオ、電子メール、プレゼンテーション、データシートなど多岐にわたる。
2025 年までに、大規模な組織からの送信メッセージの 30% が自動化されます。「Generative AI は、営業チームが二度とコンテンツを要求する必要がないことを意味する」( Elkin 氏)
ガートナーは、Augmented(拡張型)とAutomated(自動化)の二種類のコンテンツ制作があると言っている。
Augmented(拡張型) - 既存の制作プロセスを支援する技術。人間との協働作業を行うイメージ。
Automated(自動化) - コンテンツを完全に自動生成する。「工場」のようなもの。
コンテンツが自動生成される事は大きなメリットだが、コンテンツを整理して、簡単にアクセスできるようにすること、適切な場所にコンテンツを掲載すること、また、適切なタイミングで顧客に届けることなど、企業側が解決しないといけない課題はまだある。
3 拡張現実 (AR) / 仮想現実 (VR)
今話題のメタバース(物理空間とデジタル空間の融合によって生み出される仮想空間)だ。コラボレーション、エンゲージメント、コネクティビティなどの領域を根本的に変革する。
適用領域は、クライアントとのミーティング、製品デモ、販売トレーニングなどに渡る。
ARは、物理的な世界の上にデジタル体験を重ねる技術。
顧客が、現実世界のように商品を見て、カスタマイズし、購入することができる。
VRはデジタル空間に入り込む技術。
会議、トレーニング、デザインレビューなどの活動に利用される。(コラボレーションとエンゲージメントを実現する)
2025 年までに、サプライヤーとバイヤーのやりとりの80%はデジタル化される。営業組織は、新しい手法を積極的に模索する必要がある。
4 Emotion AI
2025年までには、企業が買い手に届けるメッセージの30%には、Emotion AIが使われる。
バーチャル環境下では、顧客との距離感を読むことが難しい。
感情AIの4つのコア技術。
自然言語処理に基づく音声およびテキスト解析:電子メールの感情解析など。
コンピュータビジョンベースの表情分析:顧客の反応分析
音声ベースの音声分析:表情分析との組み合わせで利用
生体センサー(心拍数など)による分析
2024年までに、Emotion AIは購買者が目にするオンライン広告の約半分に影響を与えるようになる。
5 Digital Twin
デジタルツイン関連のソフトウェアとサービスの市場規模は、2022年の90億ドルから、2030年には世界で1500億ドルに達すると予想されている。
デジタルツインは、デジタルと物理のインタラクションから作成された顧客の動的な仮想表現を提供し、行動を予測する。
デジタルツインはペルソナのデータを取り込み、セールスメッセージ、セールスプロセス、マーケティングキャンペーンのテストを実行し、何がうまくいき、何がうまくいかなかったかを記録します。シミュレーションとは異なり、デジタルツインは動的です。常にデータを受信して調査結果を更新できるため、新しいシグナルが入るとリアルタイムで分析が可能になる。
6 デジタルヒューマン
2026年までに、B2Bバイヤーの50%が、購買サイクルの中でデジタルヒューマンと対話するようになる。
未来の営業は、人間と機械のハイブリッドである。
デジタルヒューマンが顧客と関わることで、販売担当者と販売方法が根本的に変わる。人間がやりたがらない仕事、例えばリードナーチャリングや古い商談、古くなったリードの処理などを引き受ける。
7 Machine Customer
Machine Customerとは、文字通り、機械が顧客になるということ。
現在の例は、金融商品で、消費者が銀行の手数料を交渉するのにAIを活用したり、自己診断して交換部品を注文する自動車など。
2030年までに売上の5分の1がMachine Customer からもたらされる。
https://www.gartner.com/en/articles/7-technology-distruptions-that-will-completely-change-sales
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