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猫ミームは理にかなっている

  最近「3分で読める おやつの物語」という短編集を読んでいる。5〜10ページ程度の短編小説がたくさん収められており、短い文章で起承転結をしっかり書き切られており、感心するし、それ以上に面白い。
  ただ1つ問題がある。これを普通の小説と同じペースで読もうとすると、かなり疲れてしまうだ。大抵の小説を読み始めるときは、序盤に登場人物たちの関係性や、その感情の居所を知るために、注意深く読み進める。そのあとは関係の変化や、感情の変化は予測できるので、ある程度ストレスなくすらすら読み進めることができる。
  しかし短編集はそうはいかない。物語が始まるたびに登場人物の把握と、その関係性、感情を探らなくてはいけない。それが思った以上に疲れるのだと気づいた。

  そしてふと疑問に思ったことがある。最近巷で流行中の「猫ミーム」はなぜ、作者、登場人物、その物語の内容が毎回違うのに、ストレスなく無限に見られるんだろうと。 
  その答えはきっとあの人間のような振る舞いと感情表現をしている猫たちによるものだろう。一目見れば猫たちがどのような感情なのか、どのような関係性なのかわかってしまう表情豊かな猫たちのおかげで、われわれは登場人物さえ把握すれば、すぐにその物語のあらゆる関係性を把握することができるのだ。それ故に初見の物語に挑むというストレスもすくない。
  なるほど猫ミームというのは、たくさんの別々の物語を伝える方法として、理にかなっている。流行るべくして流行ったというわけか。こうして今日もスナガガの時間が猫ミームで溶けてゆくのであった。

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