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売上5億円の工務店を「50億円」まで伸ばした僕らの地道な戦略

僕は地方の工務店に特化したコンサルティング会社を経営しています。

「家が売れない」「集客できない」「売上が伸びない」

僕のところにはいろんな悩みを抱えた工務店さんがやってきます。

これまでそんな工務店さんを500社以上支援しながら「どうすれば結果を出せるのか?」を考え、試行錯誤してきました。

僕らの「コンサルティング」は、戦略やレポートを出して終わり、ではありません。それを実行するところまでサポートしますし、僕らがいなくても「自走」できるところまで持っていきます。

僕らのサポート領域はデジタルマーケティングはもちろん、企画の立案や、営業、採用まで多岐にわたります。「上流から下流までを全部サポートしてもらえる」という部分がけっこう好評なんです。

今回は売上が「5億」ほどだった工務店さんを「50億」まで伸ばしたときのお話し。具体的に僕らがどのように支援していったのかをお伝えすることで、困っている誰かのヒントになればうれしいです。

「チラシを撒いても集客できない!」

6年前、鳥取のある工務店さんから「集客をサポートしてほしい」という相談が舞い込みました。

その会社は米子市に本社があり、米子と出雲の2カ所で事業展開をされていました。

工務店の社長は言います。

「創業以来、いちばん集客数が落ち込んでいて、チラシをまいてもお客さんがまったく来ない。なんとかならないでしょうか……」

かつては50万枚チラシを配ってやっと100組ほど来店予約がある状況だったけれど、今では10組くらいしか来なくなってしまった。そんなお話しでした。

まずはモデルハウスに来てもらう

僕らは早速「集客」に特化したプロジェクトを始めました。

まず手をつけたのがサイトでした。

これまではその工務店のサイトを訪れると「問い合わせ」や「資料請求」しかできない動線になっていたのですが、そうではなく「モデルハウスの来場予約」をできるようにしたのです。

住宅産業では、サイトで「モデルハウスの来場予約」への動線をつくるのはあたりまえです。でも、ECなど他の産業しか経験したことがない制作会社だと、お問い合わせや資料請求の動線しか作っていなかったりするんです。

住宅というのは「高額な買い物」です。

まずはモデルハウスに来てもらって、体感してもらわないと始まらない。シンプルなことですが「まずはモデルハウスに来てもらう」というのはものすごく重要なのです。

スマホ、インスタ、ピンタレスト

同時にやったのが「スマホファースト」にすることでした。

当時は地方でスマホ対策をしている会社は3割くらいしかありませんでした。そこでスマホで見やすいように、サイトを作り変えました。

同時にインスタにコンテンツを上げ始めました。参入のタイミングがかなり早かったので、鳥取・島根ではトップになりました。

サイトをスマホで見やすくしてインスタ広告で集客経路を作る。これだけで時代の流れに乗って一気に伸びていきました。

インスタだけではなく、LINEやフェイスブックなど、あらゆるツールを使いました。意外に効くのが「ピンタレスト」です。

ピンタレストというと世の中的にはそんなに流行っていないイメージがあるかもしれません。でも住宅業界においてはピンタレストがいちばん相性がいいと僕は思っています。

ピンタレストは、ようするに「デジタル上のスクラップブック」です。いつか欲しいものやいつか作りたいものをストックしておくもの。「こんなキッチン、素敵だな」とか「こんなお風呂があったらいいな」みたいに住宅まわりのイメージをふくらませるときに役立つんです。

僕らは工務店さんのアカウントを作って、家や内装の写真をどんどんスクラップしていきました。お客さんは画像をクリックするとサイトに飛んで、簡単にモデルハウスの来場予約ができます。

考えていたのは「デジタル領域において、山陰地方でナンバーワンを目指すぞ」ということ。結果的に1年で集客は4倍になりました。

脳裏にあった「ランチェスター戦略」

山陰エリアの特徴は「総合展示場」がまったくないということです。

本来、総合展示場は集客のメイン装置です。それがない。だから「山陰独自の集客手段を作らなければ勝てないな」と思っていました。

そこで目をつけたのがデジタル領域でした。サイトをスマホで見やすくし、SNSを駆使してサイトにお客さんを集め、モデルハウスを見に来てもらうようにしたのです。

僕の脳裏にあったのは「ランチェスター戦略」です。

マーケットのシェア率によって「弱者と強者では戦い方を変えなさい」という有名な戦略です。僕らが支援を始めたとき、その工務店さんは住宅市場でのシェアは低くて「弱者」でした。

ランチェスター戦略における弱者の戦略は「限られた領域でナンバーワンを取る」というもの。

たとえば「特定の誰かにとってナンバーワン」とか「特定の市場でナンバーワン」「特定の商圏や特定のエリアでナンバーワン」を取る。もしくは、住宅の性能や価格など、何かしらの特徴をもたせて「オンリーワン」になることを目指す、という戦略です。

そのなかで僕が最初に提案したのは「お客さんが最初に出会う会社」を目指すという戦略でした。

住宅というのは、一生で何回も買うような商品ではありません。だから先行逃げ切りができます。本当にいい商品であれば、最初に出会ってそのまま購入に至ることはケースとして多いのです。

僕らがこの戦略を始めたとき、山陰エリアでインスタをやってる人はあまりいませんでした。でもインスタが盛り上がってきたときに「いちばんフォロワーが多くてやりこんでいる会社になっていればいい」と思っていました。

そうすれば「お客さんにとっての最初の工務店」になれるからです。

あらゆる入口を押さえる「マルチエントランス戦略」

お客さんにとっての最初の工務店になる、いわば「ファーストワン戦略」の次は「マルチエントランス戦略」をとりました。

かんたんに言えば、お客さんと出会うための集客経路をたくさん増やすということです。

ある領域で「ナンバーワン」になったら、今度は他のエントランスでも一位を取っていく。その工務店さんは、スマホ対応でナンバーワン、インスタでもナンバーワンになりました。あとは、ここからどんどんエントランスを増やしていくわけです。

「SUUMO」でもエリア内でいちばんを取りました。「鳥取」や「山陰」で検索するとほぼその工務店しか出てきません。ピンタレストでもいちばんになった。このようにあらゆる媒体でトップを取っていき、どんどんエントランスを増やしていきました。

デジタルにも「ローカライゼーション」が必要

意外に見落としがちなのがデジタルマーケティングにも「ローカライゼーション」が必要であるということです。

写真入りの広告を打つときも「どんな写真が当たるのか」はエリアによってけっこう違います。

たとえば鹿児島県だと平屋が全着工戸数の7割を占めていたりするので平屋が強いんです。2階建て住宅はあまり反応がない。

僕らは米子・出雲エリアで「いちばん当たりやすい広告は何なのか?」というテストマーケティングをしました。

そこでわかったのが、鳥取ではカッコよすぎる広告は当たらないということでした。ちょっと変わった家とかエッジの効いた家の写真では、ぜんぜん人が来ないんです。

当時、都心ではニューヨークのブルックリンをイメージしたような広告が流行っていました。でもブルックリンのようなカッコいいテイストの広告は、山陰ではまったく当たらない。

鳥取では「シンプルで、住心地が良さそうで、ちょうどいい家」の写真がいちばん反応が良く、集客につながりました。

ついデザインの最先端や今のトレンドを反映したクリエイティブをやりたくなってしまうのですが、それはこちらのエゴなんです。地方の人にとってはちょっと遠いもの、自分とは関係ないものに感じてしまう。

それではクリックしてはもらえません。

気候に合わせた住宅を開発する

デジタル領域を攻めることで、集客はどんどん増えていきました。

次に支援したのが「商品開発」です。「集客をより増やすには、より良い商品があればいい」というシンプルな発想です。

僕らは「山陰の気候に合わせた住宅の開発」を進めることにしました。

山陰にハウスメーカーがいなかったり、総合展示場がない理由として「ハウスメーカーが扱うのは全国統一の住宅で、山陰の気候に合わせたものがなかった」ということがあります。

山陰は日本海側で雨が多くて、1年のうち6割くらい曇っているエリアです。そこに東京の統一的なモデルの家を持っていったとしても、山陰独特の気候にはぜんぜんフィットしない。

全国展開してるモデルをそのまま山陰で売ってもなかなか売れないから、撤退していくハウスメーカーが多かったんです。

「バルコニーのない家」を作る

まず僕らは山陰の気候や風土を徹底的に研究することから始めました。

行き着いたのは「バルコニーのない家」でした。

というのも、山陰の人たちはバルコニーがあっても「外で干す文化」があまりないのです。日照時間が少なく、雨や雪がよく降るので、窓を開ける機会も他の地域より少ない。使う機会が少なく手入れの手間だけがかかるバルコニーをまずなくす。

一方で、雨の日でも洗濯物が干せるように、室内に「ドライルーム」を設置しました。また雨水を効率よく流すために屋根の軒も広くとりました。さらに家の断熱性も東北地方と同等レベルに高めたんです。

すると山陰地方に「室内干しの文化」ができていきました。

他にも、雨や雪の日でも駐車場から濡れずに家に入れる動線。少ない日照時間を最大限に活かす窓の規格やレイアウト、太陽光発電の設置方法も工夫しました。

僕らはこの家を「山陰プレミアム」と名付けました。いまではこのスタイルは山陰のスタンダードになっていて、山陰地方の他の会社も追随しています。業界のスタンダードを作ることができたのです。

参考にしたのは、北陸地方の家でした。

北陸も同じく日本海側で天気がずっと悪いんです。バルコニーをなくしたのは北陸が先。石川や富山など、北陸での事例をしっかり研究してそれを山陰に持っていけばいいんじゃないか? そう仮説を立ててやってみたら、うまくいったというわけです。

僕らは全国の工務店さんを支援しているので「北陸で当たった企画を他の地域で展開できないだろうか?」という発想ができた。これは、うちならではの強みかもしれません。

ちなみに今、鳥取は知事が力を入れているからか、住宅の文化が進んでいます。断熱性能についても独自の基準があります。標準よりも厳しいのですが「山陰プレミアム」はいち早くその基準に適応していました。だから山陰独自の基準ができたときも、対応が遅れることなく業績を伸ばすことができました。

「建売」だって売れるはず

家の販売スタイルは「建売」と「注文住宅」の2つがあります。

「建売」は家を先に作って売るパターン。「注文住宅」は、いわゆるオーダーメイドです。

山陰というのは変わったエリアで、ずっと「建売は売れない」と言われてきました。建売を買う文化がなかった。当時だと全体の2%とか3%くらいでした。埼玉や群馬だと40%とか50%くらいあります。

「建売が売れない」と思われていたから、建売の広告もほぼありませんでした。でも僕は「これは逆にチャンスだな」と思いました。

建売の文化がなくても、広告を出してうまく当たれば山陰の建売マーケットは牛耳れるはず。それまで売れなかったのはやり方が正しくなかっただけで、ちゃんとやればいけるんじゃないか? そう感じました。

早速工務店の社長に相談して、テストマーケティングをしてみると「やっぱりいけるぞ!」となりました。そこから本格的に売っていこうということになったのです。

「ルールメーカー」になれ

「建売」というと既製品を押し付けるような悪いイメージを持つ人もいるかもしれません。でも山陰のみなさんにとって最適なものを売るのであれば、それは決して悪いことではありません。

建売に力を入れ始めると、島根の住宅マーケットの5%にまで伸びました。今はもう少しで7〜8%に届くところ。僕らは20%くらいまで伸ばしたいと思っています。

なぜ建売に力を入れるのか?

それは「マーケットを作っていく側」になったほうが有利だからです。「ルールチェンジャー」もしくは「ルールメーカー」になったほうが勝ちやすい。すでにあるマーケットで戦うよりも、独自のマーケティングをしていく会社を作ったほうが強いのです。

僕らは「既製のものを買う」という概念がないマーケットに対して「山陰には素晴らしいものがあるし、こういう家のほうがいいんじゃないか」ということを地道に伝えていきました。そうやって、少しずつブランドを作っていったんです。

「こだわり」を「あたりまえ」にする

この「山陰プレミアム」は、一昔前なら性能や快適性にこだわりのあるお客さんのための「特別仕様」でした。

でも、その「こだわり」を「あたりまえ」のものとして取り込んだのです。あらゆるこだわりや工夫が詰まった家を、すべてのお客さんのための「標準仕様」に変えた。するといいことが起きました。

それは「コストと効率の最適化」です。

僕らの家のスタイルを「山陰エリアで快適に暮らすための標準仕様」と位置づけたので、設計や建築にかかるコストを抑えることができました。

また、仕様に関する煩雑な打ち合わせや調整などにかかる時間も大幅に削減できたので、そのぶんお客さんと「叶えたいライフスタイル」の話をする時間も増やすことができました。

需要が伸びすぎて、社員が足りなくなる

このように戦略と実行を重ねて結果を出していったわけですが、今度は「人が足りないね」ということになりました。売上が伸びたことで、社員を採用しないと追いつかなくなってきたのです。

僕らは「採用支援」にも乗り出しました。

集客の支援を始めて2年目のことでした。

足りていないのは主に営業のメンバー。出雲エリアに出店しても、鳥取のメンバーが車で応援に行くようなこともありました。

採用を増やそうと思って動いてみると、いきなり壁にぶち当たりました。そもそも人がいないのです。特に若い人、学生がぜんぜん足りない。

これは僕の持論なのですが「優秀な学生を1人採用するとしたら分母が2万人は必要である」というものがあります。

でも鳥取では1年間に1000人くらいしか卒業する大学生がいません。島根と合わせても2000人ちょっと。そのなかで優秀な人を採用しようとするのは、もう「無理ゲー」なんです。

たとえば30人採用しようとすると鳥取や島根の学生市場の1%のシェアを取らなければいけない話になります。ひとつの工務店が全体の1%を取らなければいけない……。そんなことは無理です。

しかも、そうこうしているうちにコロナ禍が始まってしまい、合同説明会などもなくなっていきました。一方で中途採用をしようにも、いい人がなかなかいない。優秀な人は東京に行ってしまっていたからです。

採用はマーケティングとセールスの合わせ技

僕はこう考えました。

「人がいないなら、連れてくればいい」

山陰ではそもそものスタートラインが東京とぜんぜん違います。まずは「分母を増やす」ことに注力する必要があるのです。

僕らは山陰の「外」に求人広告を出すことにしました。山陰で働くことの魅力を伝えて、山を超えてきてもらおうと思ったのです。

採用には「マーケティング」と「セールス」の合わせ技が必要でした。

鳥取・島根2つのエリアにいない学生に情報を届けるための「マーケティング」。それから、来てもらうためのブランド作り。選ばれるためのブランドをどうやって作るかという「セールス」です。

Wantedlyの登録者が8人

どうやって、山陰以外の学生に情報を届けるのか?

通常は「リクナビ」や「マイナビ」を使うことになると思いますが、僕らはそれだと不利になることがわかっていました。

リクナビやマイナビで求人を出しても、検索してたどり着いてくれないと意味がありません。だけど、わざわざ東京や大阪の人が「鳥取」と検索することは稀なのです。岡山の人であってもわざわざ「鳥取」とは検索しない。

検索しないと引っかからないメディアはダメなのです。

しかも就活のポータルサイトはユーザーの「希望する勤務地」によって広告を絞ったりします。すると人気のない山陰はそもそも土俵に上がれません。

「Wantedly(ウォンテッドリー)」も試してみたのですが、当時は鳥取でWantedlyをやっている人が8人しかいませんでした。登録者がそもそも8人しかいない。「こりゃ、難しいな……」と思いました。

(でも実は、その8人から1人採用することができました。あきらめ半分でスカウトを送ってみると相手は鳥取県庁の公務員。いつかまちづくりがしたいと思っていたそうで、入社が決まりました。)

とにかくしつこく、泥臭く

待ちの姿勢では何も始まらない。

僕らは能動的に領域を広げていくことにしました。インスタ広告、YouTube広告、GPS広告などを駆使して積極的に攻めていったのです。

メッセージも工夫しました。

「住宅会社」というワードを出すと、あまり反応が良くなかったので、「建設会社」のような打ち出しをしました。

「営業職」というワードも敬遠されました。「たいへんそう」と思われるからでしょうか。そこは「デザイナー職」「広報担当」を前面に押し出したり、「山陰の未来を変えていこう」というようなまちづくりがイメージできるコピーで訴求しました。

スカウトメールを送る部分もサポートしました。

「Wantedly」とか「OfferBox(オファーボックス)」など、スカウト系のサービスを使うときは現場の作業までやらせてもらいました。

スカウトで重要なのは「件数」です。あるときは1日に1000件スカウトしていました。1日の上限が1000件だったからです。

そうやって大量にスカウトメールを送りながら「どんなコピーが心に刺さるか?」「どういう条件が反応がいいか?」のPDCAを回します。地道にデータを集めていきながら、精度を高めていきました。

まちづくりのコンペを開催

山陰での採用は「セールス」の部分も大切です。

つまり、選んでもらうためのブランド作りです。

山陰を知ってもらえても来てもらえなければ意味がありません。そこで「鳥取や島根という街を好きになってもらう」ことが重要なんです。

「まちづくりコンペ」もやりました。

これは「山陰エリアでどういうまちづくりをしたらよくなると思うか?」を考えてもらうというもの。メルマガや広告で告知をすると全国の優秀な学生が集まってくれました。

みんな「山陰はこうしたほうがいいんじゃないか?」と真剣に考えてくれて、街の魅力を探ってくれました。実際に物件を見て、それをベースにチャートを提出してくれた子もいました。

町を散策してリサーチするなかで、多くの学生が町の魅力を発見したり、愛着が湧いたりしたはずです。

僕はこの動き自体にすごく価値があると思いました。

直接採用につながることにももちろん価値がありますが、それ以上に山陰の良さを多くの人に感じてもらえた。そこに価値があると思いました。

「採用」につながるなら、なんでもやる

「山陰で働いてもらう」ことは「山陰に住んでもらう」ことと同じです。

であれば、山陰に住むことの魅力を伝えることも採用につながります。

その工務店さんは福利厚生の充実度は山陰トップクラスです。実は給料も都市部より高かったりします。だから人が辞めないのです。移住してくる場合は「引っ越しの支度金」を準備することもあります。

僕らの採用支援はそういった制度設計を考えることも含まれます。

移住に伴う補助金は企業が払うケースもありますが、行政が払うケースもあります。たとえば中古の家や空き家に住むのであれば、行政が用意している「移住促進制度」が使えたりします。

そういう行政の手続きサポートも、うちの領域なんです。

行き着いたのは「まちを好きになってもらう」こと

結局、働く人が増えれば住む人が増えて家も建ちます。

採用マーケティングは、最終的に住宅のマーケティングにも紐付くわけです。仮にその人を採用できなくても「この会社で家を建てたい」と思ってもらえたら、そこで回収できることになります。

山陰はこれから10年で人口が30%ほど減ると言われているエリアです。だから今後も売上を伸ばし続けるためには「田舎に住む人を増やすマーケティング」が必須なのです。

僕らが今注力しているのは「山陰に住む人を増やす」という部分。

「山陰に住むことの魅力」をPRすることが、結果的に採用にも売上にもつながっていくのです。

山陰にプライドを持ってもらう

いま僕らは、その工務店さんと一緒に「山陰の魅力を伝えるメディア」を立ち上げています。

山陰の人は、自分たちの町にプライドを持っている人が少ないんです。町へのプライドを「シビックプライド」というのですが、住みたい町ランキングで順位が低いエリアは総じてシビックプライドが低い。

元気のいい町、伸びている町は、シビックプライドが高いんです。

横浜も湘南も鎌倉も、みんな自分の地元が大好きです。住みたい町ランキングで上位の町は、実際に住みやすいということもありますが、それ以上に「住んでいる人がその町を好き」なのです。

その点山陰の人たちは「いや、山陰なんて……」という感じでネガティブなイメージの人も多くいます。みんながそういうイメージだと、せっかくいい場所でも人は来てくれません。なので僕らは地元の人たちがプライドを持てるようなメディアが必要だろうと思ったんです。

山陰は食器などもすごく有名です。歴史を見ても日本で最も古くからあるエリア。なにせ出雲大社があるわけです。神さまがいろんなところで祀られていて、神楽も多い。お祭りもたくさんある。

島根や鳥取は歴史も深いですし、自然も豊か。シジミで有名な宍道湖もある。魅力は本当にいろいろあるんです。プライドを持つための材料はたくさんあります。

地元の人からすると「あたりまえだよね」と思われていることも、外の人からすると「素敵ですね! すごいね!」と言ってもらえます。そこを共有して、きちんと発信していくことが大事なのです。

売上は10倍に。それでもやるべきことはまだまだある

僕らの施策によって、当初ご相談いただいた集客は当初の4倍になりました。契約棟数も50棟ほどだったのが今は200棟を超えています。売上も5億くらいだったのが一気に40、50億まで伸びました。

出会って6年でこれだけの成果が出せてよかったなと思っています。

でも、まだまだなんです。

このままだと人口は減っていきます。今後も伸ばしていくには、鳥取・島根を訪れる人が増えて「働きたい」「住みたい」と思う人がもっともっと増えないといけない。

僕は、人を呼んでくることもその土地の工務店や住宅会社の役割だと思っています。地域内でトップスリーくらいの規模になると、そこまで着手していかないといけない。

そこでいまコワーキングスペースを作って働く若い人を呼びこんだり、山陰を盛り上げるためのイベントやセミナーもやり始めています。やっと旅に出る空気も出てきたので3年ほど温めていた観光事業も始めようとしているところです。

「売上を伸ばそう」「採用を増やそう」と突き詰めていくと、行き着いたのは「まちづくり」でした。僕らは今後も山陰に住む人、来る人を増やすべく、もっともっと町を盛り上げ、揺さぶっていきたいと思っています。

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