【ネタバレ注意】さゆと『宙の王家』感想備忘録

 最近百合界隈でにわかにブームとなりつつあるSF百合。
 そもそも「百合」はジャンルであり、また要素でもあるので、他ジャンルと容易に組み合わせることが出来るものだと個人的には思っている。

 そして本作もそれにカテゴライズされる一つ。

 SFならではの壮大な世界観と、百合ならではの繊細な心の交流、二転三転する展開、そしてラストに明かされる真相に、それまでひたすらページをめくっていた手がピタリと止まり、また一から読み返す。すると気付かなかった伏線の存在に驚き、一度目はサラの視点で読み進めていた物語を、今度はフィーネの視点に立って読んでいくこととなる。100ページほどの短い話ながら、SF・百合・バトルといったエッセンスが凝縮された作品でした。

 マシェリ・マリーについて。
 王女でありながら王子として政治や外交に携わり、さらに本作の山場でもある事件を引き起こすほどの野心家。ストーリー上では敵役ということになるけれど、彼女がそれまでに辿ってきた道が決して平坦なものではなく、むしろ王子として自身を認めさせようと必死に戦ってきたのであろう事が想像できて、彼女もまた一人の主人公たり得るほどの物語を秘めているのだろうと感じました。

 絶大な力に立ち向かう二人の少女。良いですよね。

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