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詩|spark

「人に優しく」
「嘘は吐かない」
「ありがとうを忘れるな」
子供の頃にお母さんに教えられた愛は、優しさは、時に人を傷付けるかもしれないね。
だから、死んでしまえと言われた朝は、いつもより背筋がピンと伸びる。

馬鹿なふりをして振り向かずに生きられるのなら、美しいまま、そのまま、生きられるのに。
馬鹿な人間。
ぼくは人間。
きみも人間。
一過性の幻に生まれ落ちても選ばれなかった、小さな魂。

澱みなく去っていく過去と思い出。
きっと明日には忘れているはずの六月は、やけに暗くて呆気ない。
戦場によく似た劇場の隅で、矢鱈聞いたあの音は何Hzだった?
思い出せない程に生活の虜になってしまったガール、
窓の外は雨音がダンス、
紫陽花と線香の匂いのペトリコール、
甘ったるい匂いがぼくを誘うから、
今日はこの部屋で、歌にでもなってみるか。


歌にさせてくれ。


……。
………。
…………世界はLike a spark。六畳一間で、爆発を観測。

ねえ、覚えてる?
ぼくたち一緒の惑星に生まれたこと。
同じ地獄から生まれたこと。
みっともない愛の元、未来を誓ったこと。

別れもままならぬ運命を超え、埋め立てた青い春を掘り起こす作業。
そうだ、きみの死体は同じ記憶に埋めてあげよう。




言葉にしてももう遅いの。
だから、
行かなくちゃって振り向かないで。
六月の空はどうか綺麗で。



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