娘が料理番になりました ~家事育のススメ~
今日は、こどもと家事と美味しい手羽先と、ちょっとだけ夫の話をします。
急に料理番就任宣言
始まりは、娘からの申し出でした。起立性調節障害の診断が出てから半年ほどが経った頃でした。「暇だから」と言っていたけれど、その頃は学校に行ける日もずいぶん少なくなっていたので、彼女なりに家でできることや楽しみを探していたのかもしれません。
私はというと、3人の子どもたちの子育てや家事について夫の理解や協力を得られぬまま20年近くワンオペで走り続けている真っ最中。フルタイムで働きながら、さらに一昨年前からは、サッカーを始めた長男の送迎が帰宅後のタスクに加わり、まさに目の回るような生活を送っていました。そんな中でしたので、彼女からの「毎日夕飯は私が作るよ」という申し出は、私にとってそれはそれはとても有り難いものでもあったのです。
料理番は一日にしてならず
ということで、サラダ程度しか作れなかった娘が、突如我が家の料理番に就任しました。しかし、当然ながらレパートリーも少なく、同じようなメニューが週に何回か登場することもしばしば。冷蔵庫の中の食材でどんなものが作れそうかイメージがわかないようで、しばらくの間は夕方になると「ごま油ってどこにある?」「豚肉をどうしたらいい?」など、仕事中の私のもとにLINEがくる毎日でした。
スーパーマーケットへの買い出しは週1回。我が家はまとめ買いのため、一週間の献立を大まかに想像して買い物したいところです。が、最初から6人家族の1週間分もの献立がイメージできるのわけもなく、また、献立それぞれに対して6人分の材料がいったいどれだけ必要なのかわからない様子でした。当面は、とりあえずは私が何にでもなりそうな食材をいつも通り買い集め、毎日「今日は野菜炒めにしたら?」「魚を先に使ってしまった方がいいんじゃない?」など、献立のヒントを伝えました。
「料理ができない」というのはただの”言い訳”
大根をたくさんもらった時は「冷凍庫にあるブリのアラと煮てみたら?」。鰯が安かったら「しょうが煮がいいかも」。伝えるヒントはそのくらい。
え?料理初心者なのに、いきなり甘露煮?!と思うかもしれませんが、いまはそれだけでなんとかなる時代なんです。YouTubeがありますから。
最近、彼女はこんなことを言っていました。
「パパは、『おれは料理なんてできないから』っていうけど、あれはやろうとしないだけ。やろうとおもえば今はYouTubeでなんでも調べられるから。この時代にそんなこというのはただの言い訳だよ。」
家庭の料理番は尊い
毎日家族に家庭料理を提供し続けることは、本当に尊いことです。
・家計のことを考えて予算の範囲内で
(好きな食材を好きなだけってわけにはいかない)
・なるべく家族全員が嬉しくなる献立を考える
(食べる人が食べたいものを注文するレストランとは違うので)
・栄養も無視できない
(成長期の子がいればなおさら)
料理番は他にも、「洗い物がなるべく少ないように」とか、「ガス代・電気代節約」とか、「アレルギーがある」とか、「おじいちゃん世代と孫世代は食べられるものが違う」とか、いろんな”縛り”のなかで頭を使ってする超クリエイティブな役割です。これに携わるすべてのみなさんに感謝ですね。
それでも小学生は素直に感想を述べますので…
そんな尊い存在なのですが、我が家の小学生男子は容赦なく感想を述べます(カマチョの末っ子長男は特にタチが悪い)ので、母としてはせっかく頑張ってくれている娘のやる気をなくさないで…と、ヒヤヒヤすることも。
「うわっ。しょっぱ。」
「なにこれ、焦げてるじゃん」
「ママのほうが美味しい」←これは絶対ダメです!!!
など、言いたいことはわかるけど言い方に気をつけようね…ってことがしばしば起こってしまいます。娘はさすがにおもしろくない表情をしますが、ここは小学生男子に対しての家事育の絶好の機会です。
「それなら〇〇くんが作ったお料理も食べてみたいな~」
と、少し煽ってみると、「どれどれ」と息子は何を作ろうか考え始めます。
その場でその気になったらチャンス!です。とりあえず、卵焼きでもキャベツ炒めでも、何でもいいから冷蔵庫の中の食材で一品作ってもらいます。
自分で作ったものを誰かに食べてもらうドキドキや、喜んでもらえなかったら悲しくなることや、上手く作れなかったら悔しい気持ちになることを味わいながら、食事を作ることを自分事に考えることが家事育の第一歩です。
料理番就任6ヶ目目の腕前は
料理番も就任後6ヶ月が経つ頃、娘から私にヒントを求めることはほとんどなくなりました。
買い物に行く日曜日までの6日間、冷蔵庫の側面にマグネットで貼り付けたメモ帳に、買い足したい調味料や次週作りたい献立が書き出してあります。
料理番を始めたばかりの頃は、日曜日の朝の分までもたせたいのにも関わらず、食材を大盤振る舞いしすぎて金曜日頃には一度買い足さないとならないなんてこともありました。しかし、今では彼女の頭の中に一週間分の献立と食材のペース配分ができていて、食材が足りなくなることはありません。
そして、今夜はこんなかんじです(*^-^*)
今夜の献立は、私からのリクエストメニューです。
どうですか?おいしそうでしょ?
手羽先の下処理は大変そうでした。24本をさばくのに1時間近くかかっていました。これもYouTubeをみながら。
YouTubeはこちら↓↓↓
付け合わせは”じゃがいも揚げ”。まず蒸籠に並べて20分蒸します。
じゃがいも揚げポイントは、なんといっても蒸籠で蒸してから揚げること。茹でたものや生から揚げたものとは全然違います。蒸しあがったら無造作に割って180度で7~8分揚げて塩を振ったらできあがり。カリカリが美味しいから皮は剥かないのがオススメです。
生きていくために必要なことなのに
食べるものを用意したり、気持ちのいい環境で暮らすために掃除をしたり、清潔な衣服を身につけるために洗濯をしたり。
どれもこれも生きていくために必要なことなのに、大人になる前に身につけられている人ってどのくらいいるのでしょう。
計算をしたり読み書きしたりすることと同じくらい、大切なことなのになって思います。
家事代行サービスもありますが、現実的にそれを毎日のように使うためには相当な経済力が必要です。
なんとなくそれらの家事は、まだまだ女性がやることのようにカテゴライズされているのですが、性別に関係なく誰でもが、食べるものを用意でき、汚れた衣類を洗って干して畳んで、トイレや風呂を清潔に保つことの方法を身につけていることが生き物として自然なのにな。と、毎度寝そべってテレビを観ながらご飯が出てくるのを待っている夫をみながら思うのです。
付け加えなければいけないことは、スキルを身につけたとして、それを活かして家族など誰かのために貢献しようと思えるかどうかは、また別の問題ではあるのですが。
家事育がもたらすもの
料理ができるようになった娘は、家庭の中のいろいろにも関心を持ち始めました。
たとえば、料理のあとにパン粉や調味料が落ちている台所の床が気になり出したことがきっかけで掃除機をかけるようになりました。
また、今まで当たり前のように食べていた食事が、時間や手間をかけて自分の目の前に辿り着くことを知ったからこそ、その他の家事…洗濯や風呂掃除もやってくれるようになりました。
経済観念もしっかりしてきました。我が家の一週間の食費は家族6人分で上限2万円までと決めているので、その範囲内で買い物するために物価も意識するようになりました。その中で、安い物はどうして安いのか、高いのにはどんな理由があるのかも考えるようになりました。たとえば、ごま油とごま香味油の違い、ごま油のほうがごま香味油よりも高い理由などです。
家事育の”さらに”思いがけない効果
娘は家事に関心をもってから、今まで以上にやさしくなりました。フルタイムで働きながら家事や子育てをすることが簡単なではないことを理解し、母娘の会話も増え、娘と私の距離もぐんと近づいたように思います。
それだけではありませんでした。家事スキルを身につけることは生きていく力を身につけること。いろいろな家事ができるようになったことで彼女は自信を付けとてもたくましくなりました。
きちんと「こうなりたい」という自分の将来像を描くことができるようになったのです。
彼女は、この春中学校を卒業します。エスカレーターで進学できる系列高校には進まず、KADOKAWA・ドワンゴN高への進学を決意し、小学生の頃からの関心事だった動物福祉を学ぶため、ドイツ留学を目指し始めました。
そして、カマチョの末っ子長男にも、最近変化がじわりじわりと表れているのですが…。
このお話は、また別の機会に。
ありがとうございました(*^-^*)
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