見世物小屋の花魁人魚 -壱-
幼い頃、海賊に捕らえられた。
「人間が人魚の肉を食うと不老不死」の体を手に入れる事が出来るという伝説があると言う事はずっと聞かされていたから。
あぁ私も食われてしまうのかと。
そんな絶望を感じていた時、江戸の吉原という遊郭に連れていかれた。
何でも、人間は実際には人魚というものを見た事がないらしく、これは大層な見世物になるだろうと
それを、聞いた吉原の店主達は我先にと手を挙げる。
そしてしばらくして·····『人魚楼』という遊郭ができた。
夜見世が始まる時にその人魚は格子窓の張見世に並ぶ「見世張り」をする。
ほかに遊女はいない。
もちろん客はとれないが、その姿形だけでも十二分だった。
行き交う人々の好奇や恐ろしいと言ったような視線が刺さる。
To be continued...
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