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日本と海外の採用戦略の違いとSNS戦略の考え方について

日本と海外の求職・採用における意識の違い


日本からベトナムへ来て感じたことはたくさんあるが、働き方について違いを感じる機会が多くある。そのひとつが転職の考え方だ。
日本では終身雇用という概念があり、求職者がひとつの会社で引退するまで働き続けるというのも珍しいことではない。反対にアメリカの文化では転職することが一般的で、平均の転職回数も日本の倍以上あり、その意識の違いに驚かされる。
ベトナムもどちらかといえばアメリカのように転職をするのが当たり前という文化が根付いており、転職は一般的になっている。

日本は求職者の獲得が困難のため、採用マーケティングが普及している

現代の日本では少子高齢化がとても大きな社会問題となっているため、大学の卒業生を一括採用することに力を入れてきた多くの日本企業は労働者の確保にとても苦労しており、近年では多くの人材にアピールするために求職者専用の採用WEBサイトを制作して様々なコンテンツを発信するといった”採用マーケティング”が活発化している。
反対にベトナムでは、平均年齢が若いこともあり求職者同士の競争が激しい”買い手市場”になっており、転職することが一般的な文化であることも含め採用マーケティングはそこまで活発化していないように感じる。

採用マーケティングはB2Bマーケティングに近い考え方

ここでいう採用マーケティングは”B2Bマーケティング”と同じように考えられると思っている。
なぜなら、就職するというのは求職者にとって人生における重要な選択の機会で、いくら転職が一般的であるといっても毎日転職しているわけではないので、慎重かつ合理的に考える必要がある。つまり、採用マーケティングを行うときにはより多くの情報を求職者に提供する必要があるということだ。そのように考えると日本のように独立した採用サイトをもって積極的に情報発信する必要があるのも理解ができる。

SNS採用について

現在の日本企業の採用戦略としての独立した採用WEBサイトは既に一般化しており、各企業は新たな戦略を模索している段階だといえる。
私が最近注目しているのが”SNS採用”というものだ。
アメリカやベトナムでは”Linkedin”がビジネスSNSとして人気で、求職や採用においても利用されているが、日本ではあまり一般的ではなく、X (twitter) や Instagram 、Tiktok が日本で広く利用されており、SNS採用ではこれらのサービスを通して採用活動を行っていくことになる。
SNSの活用は採用サイトと何が違うのだろうか?
それは、情報発信のカジュアルさにあると考えている。

プロセスエコノミー

話がずれるが、これまでのマーケティングは「完成したサービスや製品」をターゲットに届けることを目的としていたが、現在のマーケティングにおいては「製品ができるプロセスや考え方自体も提供」することで付加価値を生み出す手法が多く取られている。
例えば”NIKE”はシューズの販売を行うメーカーだが、その広告はスポーツの素晴らしさを訴えることが多く、シューズ自体の性能についてあまり多くを語ることはしていない。つまり、シューズそのものではなく、ブランドの価値観に共感してもらい購買を促しているといえる。

SNS採用はプロセスエコノミーと相性が良い

上述の考え方を採用に活かすとどうだろうか?
企業の給与水準は業界トップであれば、求人広告を出すだけで応募者は多く集まるだろう。しかし、すべての企業がトップレベルの給与というのは難しいのが現実だ。そこで、企業は”なぜ存在しているか”、”なぜ採用活動をおこなっているか”といった独自の意見や価値観を公開していくことで他社との差別化を図ることができるだろう。
このような手法がSNSと相性がいいのである。WEBサイトはあくまで完成品として公開されており、求職者から見れば「悪いことなんて書いてあるはずがないし、真実とは思えない」というのが本音である。しかしSNSであれば、よりカジュアルな人事部の想いや社風などをリアルに見ることができる。 よくWEBサイトのマーケティング戦略として「良いことばかり載せていても、ターゲットの心は動かない」と表現されるが、ここでいう「良いこと以外」とは、「想いや価値観」を伝えることであるといえるだろう。
そして、そのような思いや価値観を言語化していくことで社風や文化の醸成にも繋がっていくのではないかと考える。

アメリカやベトナムでは既に”Linkedin”を利用したSNS採用が行われているが、あくまでコンタクトツールとしての利用としてであり、まだまだ戦略的に運用している企業は少ないのではないかと感じると同時に、今後は給与や休日数といった”条件”だけではなく、SNSなどで発信される”価値観”がより求職者に求められているのではないかと考える。


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