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寄稿 新卒定着率100%の会社の選考とは? 人事部の視点(7)

こんにちは。大型リチウムイオン電池のモノづくりベンチャー、エリーパワー人事部の玉井亜以子です。当社は2006年創業で、新卒採用は2013年卒から開始しています。中途社員と新卒社員の構成比は98対2。
ベンチャーのため新卒離職率が高いように思えますが、第一期生から現在まで新卒の定着率は2018年現在、100%!の会社です。

「採用手法の設計が良い?」
「会社に見る目がある?」
......残念ながら、それらが理由ではありません。その答えは、「勇気」です。

「就活」で「勇気」?......
「なんで??」となる回答かもしれませんが、これが「新卒社員定着率100%」の根拠であることは、間違いありません。

選考って「〇×」?

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採用は、「採用試験」とよく表記されます。学生時代の試験は、誰でも「〇×」を判定でき、「〇」の数が多いと点数が高い。同様に「就活も単純に〇を増やせば、採用試験に合格する」と思っていませんか?

学生時代は「正誤の〇×」を問われてきましたが、ビジネスでは「△△という条件での〇×」が問われはじめます。
当たり前ですが、「〇×」の判定には必ず基準となる「条件」が必要。同様に「正誤の〇×」にも前提条件はあるのですが、試験で問われることが少ないため、意識する機会が少ない。
そのため、前提条件の存在に気が付かず、「〇=誰にとっても正しい」「×=誰にとっても間違っている」という簡単な図式を想像しがちになっていませんか?
でも本当は「△△という条件」を前提とし、「〇=条件に適合している」「×=条件に適合していない」なのです。

就活における「〇×」判定条件とは?

選考が始まれば、ESや面接で合否判定が行われます。
就活における「〇×」判断条件をシンプルにいえば、
学生からは「自分に合う、そして成長・活躍できる会社」
会社からは「会社に合う、そして活躍できる伸びしろのある人」

人も会社も十人十色。
そのため、個人も会社も価値観や判断条件は多種多様。
選考は「異なる価値観の候補者・会社の中から、お互いに合うかどうか判断するため、価値観をすり合わせる過程」なのです。特に面接では、候補者の価値観を深掘りしやすい質問・環境が大切だと人事として考えてきました。

しかし、ある時「自分の本音を伝える、ってすごく勇気がいるよね」と言われたことで、重要なことを見逃していたことに気づいたのです。

初めて会った他人に、心を開けますか?

候補者にとっては、面接官は、家族でも友人でもない「ただの他人」、さらに「初対面」。
考えてみれば、友人にでさえ自身のことを伝えるのをためらうのに、「自分のことを全く知らない他人に、自分の価値観や心のうちを伝える」状況って、かなり特殊ですよね。
こんな状況で、私なら「本当のことを伝えて、相手にくだらないと思われたらどうしよう」と誰にでも言える無難な事を言ってしまうかもしれない。

その一言は「そもそも候補者が勇気を出して、面接官に自分のことを伝えてくれなければ、選考自体が出来ないのだ」ということに気づかせてくれたのでした。

本音だけはごまかさない

新卒社員の選考は全員記憶に残っていますが、特に印象に残っているメンバーがいます。
当社の事業目的・創業までのストーリーを聞いて、「『仕事を通じて社会貢献したい』と思ったから就活を始めたのに、目の前のことで一杯になって、本当に大切なことを忘れそうになっていた」と涙ぐんでくれたこと。「あなたが作りたい社会の先に、どんな世界が待ってるの?」という難しい質問に対し、しばらく考えた後、「技術で貧困や紛争をなくしたい、技術で世界を平和にしたい、それを蓄電でやりたい」と目をキラキラさせて答えてくれたこと。
価値観は、ともすると「こそばゆいこと」が含まれ、本音であるほど勇気がいる。しかし、本音だからこそ、生じたズレがもたらす入社後の影響も大きいものです。新卒社員が誰ひとり欠けず活躍してくれているのは、エリーパワーと価値観の合うメンバーであり、こそばゆいかもしれない本音を伝えてくれたからなのです。

あなたの勇気がもたらすもの

note ノート 記事見出し画像 アイキャッチ

とはいえ、勇気を出しても理解されない・否定されていると思う場面もあるかと思います。
選考で上手くいかなければ、人として「×」をつけられたように思い「伝えても意味ない」と無難なことを伝えたくなるかもしれません。
でも、大丈夫です。

選考が通らなかったのは、誰にとっても「×」なのではありません。「日本で400万社以上ある企業の中の、たった1つの条件に合わなかった」という事実だけ。そして、「あなたであること」を必要とする会社があなたを待っていることを忘れないでください。

もし選考で新卒社員が無難なことを伝えていたら、当社はそのメンバーを採用することが出来ず、結果、当社の未来の種が1つ消えていたのかもしれません。エリーパワーが1人1人を待っていたように、あなたを採用しようと待っている会社のチャンスをつぶさないであげてください。

勇気を出しても伝わらないかもしれない、でもその先には、「あなた」と「あなたを待っている会社」の未来が待っています。

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