僕が探求するのは「PV数:1」
メディアの存在意義を一言で定義するのは難しい。
そもそもメディアを立ち上げる意図がそれぞれ異なるので、存在意義もその分だけあるということ。
たとえば、「多くの人に知ってもらう」ことが目的なら「読んでもらう」ことが存在意義になるし、「購買までつなげる」のが目的なら「オンラインストアや店舗への誘導」が存在意義となる。
何が良くて何が悪いかは一切なく、それぞれが追い求めるものを自由に追い求めていいはず。
とはいえ、メディアはまず目にしてもらえないことには何も始まらない。
何をゴールと置いたとしても、スタートは必ず「読む」だ。
でも、でも、「読む」がゴールになるようにメディアを作ってはいけない。
そう思わされることが最近増えてきた。
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僕は、メディアの仕事に就く前、メディアに救われた。
社会人3年目となる昨年転職し、この編集者という職業に就いた。
周りから「思い切りいいね」と良く言われるが、正直この選択はビビってた。
「石の上にも三年」という言葉があるように、三年やって初めてつく力も多いのだろう。
いわばそれから”逃げる”ような形になってしまうので、そんな自分にちょっと嫌気が指して、転職しようかどうかウジウジと悩んでた。
でも、この記事を見た瞬間、僕の腹は決まったのだ。
この記事は本当にたまたま流れてきたものだけど、勇気をもらった。
「やりたいことあるんなら、やればいいじゃん」という気になれて、多分これを読んだ数日後から転職活動を開始した覚えがある。
あと、このnoteはもう10回ぐらい読んでいる。
東京の?日本の?筋肉質的な社会が定期的に嫌になる。
別にやる気がないわけではないが、「なんでそんなに頑張らなあかんねん」「意志のない仕事で人の意志を削ぐな」など、必要以上の頑張りを求められるとどうしても心がついていかないときがある。
(毎日ランニングをしているので、体は余裕でついていってしまうんですが…)
そういうときは、必ずこのしおたんさんのnoteを読むようにしている。
同じことを考えていて、そしてムーブメントを起こそうとしている。
そこに大きく共感すると同時に、僕自身が救われた気持ちになる。
「声をあげていいんだ」と。
だから、僕の実体験から、僕はメディアを「人を救うもの」と定義しているのだ。
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では、話を元に戻そう。
「読まれる」ことは確かに超大事だ。
PVが多いほど多く読まれたという証拠になるし、検索でも上位に出てきやすくなる。(つまり読んでもらえる確率が上がる)
SEOを意識したライティングをしていけば、その確率はさらに上がるのだろう。
これだけWebメディアが乱立した時代において、「読まれる」ことは相当価値があるし、それだけの競争を勝ち抜いている証拠でもある。
あるライターさんが「読まれなきゃ意味がない」と言っていて、SEOの重要性を説いていた。
確かに、納得できる。
聞けば聞くほど筋が通っている。
でも、僕は何かに引っかかっていたんだ。
「僕が追いかけたいのは、そんなことじゃない」と。
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あれこれ考えてる最中、ふとアイデアが降ってきた。
”発想の転換”だ。
「読まれないと意味がない」のは確かにわかる。
でも、「読まれた結果どうなの?」と考えるようにしてみたのだ。
そこで、答えが出た。
まず、僕が追いかけたくないのは、「読まれても意味がない」記事。
いくらPV数が跳ねたって、いくら検索上位に出てきたって、読者が何も感じなかったら僕にとっては「失敗」になる。
いわば「ふーん」で終わってしまっているから。
僕が追いかけているのは、「読んでくれた1人に寄り添う」記事だ。
つまり、1PVでもいい。その1人が出会えてよかったと思える記事をつくること。
メディアに救われた僕は、やっぱりメディアで誰かを救いたいと思っている。
そのたった一人の姿を想像し、涙を想像し、その後の行動も想像する。
それが読者に「寄り添う」ということになるのだと思っている。
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また、この意識は、メディアよがりの発信にならないことにもつながっている。
「うちはこういうことを発信してるから、こういう人に読んで欲しい」と作られているメディアが意外と多い気がしている。
全く問題ないように聞こえるが、実は落とし穴がある。
読者を後から獲得しようとしているのだ。
届けたい人がいてメディアを作っているはずなのに、順序が逆になっている。
つまり、自分たちが発信したいことを発信するのが目的になってしまうのだ。
だが、メディアはそうであってはいけない。
僕が書いた「メディアは人を救う」は、救ってあげたい人がいて成り立つものだ。
だから、その人が読みたいことを想像して逆算して記事を作っていく。
そしてメディアも作っていく。
1人の涙を想像しようとしたら、「どんな内容なら感動してくれるだろう?」「どんなことに困っているんだろう?」ということを頭に浮かべることが必要になるはずだ。
だから、万人向けに「読んでくださーい!」と発信するのではなく、たった一人に「どんなこと知りたい?」と寄り添っていくのが僕にとってのメディアである。
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こんなこと言ってしまうと同僚に怒られてしまうような気がするが、僕が編集する記事は、別に多くの人に読んでほしいと思っていない。
最近はPV数やコンバージョンなども全く気にしなくなった。
でも、それは、僕の中では常に「PV数:1」だからだ。
その1人の人生に新たな色をもたらす。
それが僕にとってのメディアで在り続けたい。
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