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ずっと心に残っている父のお説教

私は父と仲が良い。
もうすぐ80だというのに、体力も見た目も70代前半にしか思えない。

気が若くて、好奇心旺盛でなんでもやってみるし、頭もいいのでなんでもすぐにコツをつかんでこなす。

小さいころから父が大好きで、今でもいろんなことをよく話す。

実家にいた頃、二人で飲みに行ったり、家で晩酌を付き合って夜遅くまでいろんな話をした。

ある日。まだ私が10代後半か20歳前後だったころ。
父が私に説教をした。

私はこの時に父に説教されたことを生涯忘れないし、これからもずっと心がけようと思っている。

母が私に何かを頼んできた時だった。私はテレビを見てたか何かで「今せなあかんの?」とかなり面倒くさそうに嫌々引き受けた時だった。

「頼まれごとをされたら気持ちよく引き受けろ。嫌々引き受けると値打ちが下がるぞ」

「頼まれたときに『え~?今?』って言ったり、めんどくさそうな嫌そうな顔で引き受けられたら、頼んだ人はどう思う?

『あ~、すみさんに頼むんじゃなかったな。嫌々やってくれるならやってくれなくてもいいわ』って思わんか?

どうせやるなら気ぃ良くやれ。

『いいよ。なにしたらいい?』って気持ちよく引き受けてもらったら、『すみさんはいつも嫌な顔せずに引き受けてくれて気持ちいいわ。私もすみさんの頼みごとは気持ちよく引き受けよう』って思うんちゃうか?」

「嫌々引き受けると、せっかくやってあげても値打ちが下がる。もったいないやん。どうせやるなら『すみさんに頼んでよかった』って思ってもらったほうがええやん」

説教をされた直後は、正直「また面倒くさい説教がはじまった。うざいな」くらいにしか思っていなかったが、父のこの説教はじわじわとボディーブローのように効いていたようだ。

頼まれごとは気持ちよく引き受けようと、いつの間にか心掛けるようになっていた。

社会に出て、結婚して、親になって。
学生時代の仲の良い人たちだけではない、いろんな価値観の人と関わりを持つようになって、父の言っていることが良く分かった。

面倒くさそうに引き受ける人。しぶしぶ引き受ける人。
あれこれ文句言いながらも、仕方ないからやってあげるともったいぶって結局引き受ける人。

そんな人たちを見て「もったいないなぁ。せっかくやっても値打ちなくなるのになぁ」といつも思っている。

「いつも気持ちよく引き受ける」をモットーにしてるので、「すみさんには頼みやすい。いつもありがとう」と言ってもらえると私も嬉しいし、気持ちよく引き受けて良かったなと思える。

これがもし「やりたくない。めんどくさい。それ私がやるの?」という表情や態度をあからさまに出していたら、相手も私も気分が良くないだろう。

「なんで私ばっかりに頼んでくるん?」と不満に思う時も正直ある。
中には、私が断らないのをいいことに利用してくる人もいる。
むかつくなぁとは思うけど、それは態度にも表情にも出さない。

父に言われた「値打ちが下がる。もったいない。」という耳に残ってるから。

だからどんな時も、にっこり笑って「いいですよ」と引き受ける。

もちろん能力的や時間的に無理な場合は、はっきりと「時間的に無理です」と理由を説明してお断りする。

「それはできないけど、○○なら出来ますよ」と、できる部分を提示してサポートできることを伝える。

断るときも、言い方ひとつで相手も嫌な気分はしないし、また次に頼みやすくなる。私の値打ちも下がらない。

そして、なんでもにっこり笑って引き受けてきたおかげで、いろんな経験が出来て経験値も上がったし、いろんな縁にも出会えた。

やっぱり嫌々引き受けるのはもったいない。
これからも、気持ちよく引き受けることをモットーにしていこうと思う。


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