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[玉造温泉街 再生秘話⑥]売上が計画の1/10 見込み違いの初事業
皆様 いつもご覧いただきありがとうございます!
前回の記事もたくさんの反響をいただき嬉しく思います!
※周藤さんのすばらしさを表現できて満足しております。
さて、第6話は玉造温泉まちデコのお話です。
期待を背負って創業したまちづくり会社の初めての事業は大失敗。
角の事業計画の甘さから倒産寸前まで追い込まれます。
それでは最後までお楽しみください。
衝撃を受けたfax通知
2007年 7月
角さんが観光協会に移籍して1カ月目のことです。
朝10時に届いたfaxを見てショックを受けました。。。
倒産のお知らせ 〇〇旅館
15時より社員、債権者への説明会を行います。
このようなお知らせでした。
玉造温泉の旅館でも経営破綻が起きてしまいました。
ついに… うわさが現実となってしまった…
間に合わなかった… 無念でショックでした。
すぐに上司の周藤さんにfaxを持っていきました。
とても複雑な表情をなされていました。
2007年当時 玉造温泉は本当に厳しい状況で、決して明るい未来があるとは言い難い雰囲気でした。
▲2007年当時 さびれた玉造温泉街
それでも、前に進んでいかなければいけません。
ところが、出資者の覚悟を背負って創業したまちデコの方こそ最初の事業は大失敗して、倒産寸前だったので正直にお伝えいたします。
年間5万本!大ヒットの予感
まちデコの記念すべき最初の事業は温泉ミストの製造販売でした。
〔補足〕温泉ミストについて
リプラス社が開発した温泉ミスト事業。モデルはアベンヌウォーター(フランス)。温泉水を特殊なフィルターを通過させて肌への浸透力を高める特許技術がセールスポイント。80gのアルミ缶から温泉が細かな霧で噴射される。温泉そのものをお土産にできると好評となり三朝温泉の三朝みすとは発売初年度で3万本のヒットを記録。(出典:角の記憶)
なんといってもお隣の三朝みすとが年間3万本のヒット商品です。
玉造温泉なら5万本は売れるかも!と角さんは皮算用が楽しくて仕方ありません。
当時の(ワクワクする)計画です
これは非常にいい商売である(理論上は)
💀 ところが、そうはうまくいかないのであります。
さて、そうとも知らずに打合せも順調に進み
パッケージデザインやパンフレットも出来上がりました。
そして発注! 待望の商品5,000本が到着しました。
▲ピンクを基調としたデザインの初代キラキラみすと(懐かしい)
段ボール105箱の大荷物です。(金額にして300万円を超える仕入れです)
これが新しい玉造温泉の名物となるのかー♪♪
ワクワクがとまりません。
そして玉作湯神社で新商品ヒット祈願も行い地元マスコミにも来ていただきました。
翌朝の地元紙には「玉造温泉 期待の新商品」「さびれた温泉街の希望」など大きく掲載されております。
新聞を見た皆様からも喜びの声をいただきます。
各旅館も期待を込めて1箱、いや2箱!と仕入れをしてくださり、あっという間に3,000本もの在庫の箱が旅立っていきました。(感謝☆)
角「これはいい!やはりヒット商品だ」
ワクワクしながら ある事に気が付きます。
角「あれ?残り2000本しかない…という事は…」
角「やばい!次の発注をかけておかないと間に合わなくて品切れになるぞ」
そうなのです。
製造ロットが5,000本 に対して 見込み販売数が月4,000本。
ということは毎月のように発注と納品と販売の繰り返しをしないと在庫切れとなるわけです。
あわてて初回納品数の在庫が2,000本の時点で次の5,000本を注文しました。
(この時点では正しい判断だと思います)
ところが旅館からは次の注文が来ない
各旅館も最初はご祝儀的に1箱や2箱を仕入れしてくださいました。
ところが、ひと月経っても次回の注文がありません。
2カ月たって、ようやく1軒の旅館から1箱48本の注文がありました。
「おかしい…なぜ注文が来ないのか…」
不安な気持ちで旅館の売店へ伺うとスタッフさんからこう言われます。
「これさぁ全然売れないよ」
「売店の一番いいところに置いているんだけどねぇ」
「手には取ってもらえるけど何なのかわからなくて買われないのよ」
予想に反して売れないのです…
その結果、月4,000本売れるはずの玉造キラキラみすと でしたが
月300本~500本しか注文が入ってきません。
在庫はまだ6,000本以上残っています。
つまり、この6,000本がすべて現金化されるまで約1年もかかるわけです。
月の利益は45,000円~60,000円(計画では60万円)
なんということでしょう。。。
慌ててパンフレットを置いてもらい、脱衣所にテスターを置いてもらうようお願いします。
さらにはポスターをエレベーターに貼っていただきました。
色々な手段を尽くしますが、それでも効果は見られず…売れません…。
これはまずいぞ…
焦ります。
毎月、預金残高が減っていきます。
不安で眠れません。
観光協会の仕事も抱えながらです。
非常にストレスを抱えて仕事もプライベートも不安定になりました。
それでも会社はつぶせない。
出資者の皆さんの覚悟を背負っているのだ。
辛い毎日で表情もかなり暗くなっていたそうです。
押しつぶされそうなプレッシャーの毎日です。
もう、逃げ出したい日もありました。
少しウツになっていたのかもしれません。
そして苦しみ悩んだ末に…角さんは仕事を増やしました。
古巣に頭をさげてお願い
古巣の旅館ではブライダルの仕事もやっておりました。
実は結婚式や披露宴の司会を特技としておりました。
そこで、古巣の元部下に頭をさげ、助けてほしいとお願いをします。
「本当に困っていて助けてほしいです」
「どうか俺を披露宴の司会に使ってください」
「お願いします」
元 部下たちはとても素直ですぐに司会に入れてくれました。
しかも優先して角を使ってくれました。
▲司会をしている時間は辛いことも忘れる事ができました。
本当にありがたく感謝しながら仕事をいただいておりました。
おかげさまで土日には月に3~4本の司会をこなしました。
※観光協会とまちデコを同時にやりながら…なかなかハードです。
そしてその司会料もすべて会社の売上に入れました。
さらには新郎新婦様からいただいた祝儀もすべて売上として通帳に入れました。
それでもミスト事業の見込み違いの赤字を補填することはできません。
※幸い、赤字額は月8万程度に収まりましたが、それでも倒産までは時間の問題です。
登記してわずか3カ月後
早くも新規事業を考えないといけない状況に陥りました。
つづく
今回も長文となりましたが最後までご覧いただきありがとうございます。
このお話の時の角さんは大切な事にまだ気づいておりませんでした。←(いまだからめちゃくちゃわかる!)
とある方の言葉をきっかけに気づいて、そしてこのキラキラみすとはヒット商品に成長します(2019年現在はシリーズ合計が年間5万本)
そのお話は後程…
さて、次回第7話は新規事業「願い石・叶い石」のお話です。
のちにヒットして倒産の危機を救うことになるこの事業の誕生秘話をお伝えいたします。
第7話 まちの中に目的地をつくる
※第10話まで無料ご覧いただけますので安心ください。
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