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[玉造温泉街 再生秘話⑦]まちの中に目的地をつくる

皆様 いつもご覧いただきありがとうございます。

前回の記事もたくさんの反響をいただき嬉しく思います!

さて、第7話と第8話は玉作湯神社の願い石と叶い石のお話です。
※書いていたら7000字を超えたので2つに分けました😅

まずは、アイデアにたどり着くまでにかなり情報収集をしたお話です。

それでは最後までお楽しみください。

 

新規事業に悩む角

2007年 10月

角さんは悩んでおりました。

期待の新規事業としてスタートしたキラキラみすとが思っていた以上に売れないのです。

平日は慣れない観光協会の仕事をこなしながら、まちデコ、そして披露宴の司会と休む日(というか時間)もなく働く日々。

身体は割と丈夫なので疲労は感じませんでした。

ただ精神的には非常にキツく、このままでは精神病になるかも…という不安もありました。

22図1

▲一人で思い悩む日々…


そうだ。

周藤さんに正直に話しをして相談しよう。


6月から観光協会で一緒に働きはじめたのですが、実はちょっとややこしい組織だったため、この4か月間はそんなに会話はありませんでした。

相談したいなぁ、と探していると、建物の裏手でたばこを吸っておられたので話しかける事にしました。


角「周藤さん、ちょっとご相談いいですか?」

周藤さん「おお。大丈夫だよ」

角「実は…この前に発売した新商品がなかなかうまくいかなくて」


周藤さん「そげだったかね」


角「まちデコのほうでも新規事業を色々と考えてはいるんですが、、、なかなかうまくいかなくて…」

周藤さん「ほー どげなこと考えちょーかね?」

角「空き店舗を借りてお店を作って、例えば立ち飲み焼酎バーみたいな飲食店とかを考えています」

角「そうすれば温泉街にも賑わいができると思うんです」

周藤さん「・・・・」

角(あれ?なんかいけない事でも言ったかな?)

周藤さん「ちょっと10分ほど時間いいかね?」

と、周藤さんはタバコを消して小さなミーティングスペースに案内してくださり、こんなお話をしてくださいました。


視野を広げるアドバイス

「立ち飲み屋焼酎バーを作るのもいいかもしれん」

「でも、今はお店を作っても流行らないと  わしは思うよ」


え? なぜだろう?

疑問に思って質問をしました。


すると周藤さんは、また違う視点から街の課題を話ししてくださいました。

 

〔その時の周藤さんのお話〕

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「今はたしかに温泉街にお店は無いかもしれん」

「でもそれにはちゃんと理由がある」

「お店が出来ない理由の一番は、今お店を開いても赤字だからだよ」


「つまりお客さんが歩いてないから赤字になるんだよ」


「街の皆さんは街にお店が無くてさびれた街だからお客さんも歩かれんと、そう言われるだども」

「果たして温泉街にお店が無いからお客さんは歩かんのかね?」


「わしゃ ちょっと違うと思う」


お客さんが歩かれないから、お店が出来んのだねか?」

「逆に言えば、お客さんが歩きたくなるような街にして、実際に歩かれるようになれば、商店をされる方がお店を開かれるようになるだねか」

「だから、店を作る前にお客さんが歩きたくなるような街にしないと長続きせんと思うがの」

「お客さんが歩きたくなるようなものを考えてみたらどげなかね」

「例えば、温泉街の中に目的地があると歩きたくなるね」

「泊りにこられたお客さんが必ず立ち寄るような、玉造らしい目的地が出来たらお客さんは必ず歩くようになるもんだけんの」

「特に、都会から来られるお客さんが求めるものをよく考えらんといけんだの」

「都会に無いものが玉造温泉にはたくさんあるはずだよ」


などなど

以上、周藤さんのお話(約50分…)でした。 出典:角の記憶より


なるほど・・・


こういうイメージですね

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▲道後温泉は温泉街の中心に道後本館があり、宿泊者はそこで写真を撮りたくてそこに集っている。

 

周藤さんの視点はいつも長期的&俯瞰で見ていて目先の事にとらわれる角とは全然違うのです。


角さんは目先の売上を考えていました。


そもそも温泉街を活性化するために旅館から送り出していただいたのに…

会社の存続に悩んでいた自分を見つめなおしました。

こうして、良いヒントをいただいた角さんは温泉街をウロウロしてみます。


なにか目的地になるような場所…かぁ・・・


玉作湯神社にたどり着く

玉造温泉の南端に神社があります。

玉作湯神社(たまつくりゆじんじゃ)と読む古社です。
※1300年前の出雲国風土記にも登場するのだとか。

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ところが2007年当時の年間の観光参拝客(氏子除く)は大体100人くらいでした。←年間100人!つまり1週間に2人くらいです。

そのころ、ちょうどパワースポットというものが世の中で少しずつ話題になっていた頃です。

単純な角さんは「ここをパワースポットにすれば人が来て目的地になるんじゃないの?」と考えました。

そして、宮司さんに相談します
※実は宮司の遠藤さんとは前職の旅館時代からお付き合いがありましたのでお話しやすかったのです。


角「宮司さんこんにちは!いい事を思いついたんです!ここの神社の境内のどこかにオブジェを作ってパワースポットをつくりましょう!」

宮司さん

「はぁ・・・? パワースポットとはどんなものですか」

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▲とても穏やかで優しい遠藤融宮司さん(2007年当時)2020現在は名誉宮司

角「パワースポットというのはですね、そこに行くとパワーがいただける場所とかでして、都会の方では井戸とか石とかがパワースポットとして人気らしいんですよ!」

角「そこで、この神社の境内にですよ、オブジェみたいなものを設置して、パワースポットとしてPRしてみたらいけるんじゃないかと思うんですよ!」

(すみません、書いていて昔の自分の発言が恥ずかしくなってきました)

と、こんなおかしな事を必死で訴えていた角さんです。


すると宮司さんは大変お優しいので

宮司さん「角さんのおっしゃられる事は大変よございます(良いことですね)」

宮司さん「実は、角さんがお話されるものがですね、境内にすでにあるように思いまして」

角「え?」

宮司さん「ちょっとご案内をいたしますね」


宮司さんはなかなかのご高齢(80歳超え)なのに神社の階段58段をひょいひょいっと上がっていかれます。

そして本殿の横にある場所にご案内いただきました。

そこには・・・

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おおおおおーーーー!

なんとも霊験あらたかなお姿!

 

こちらの石は?と、おたずねすると

宮司さん「こちらは真玉さんという神さんの石でございます」

角「神様の石!?ですか」

宮司さん「もともとはこの上にある玉宮神社さんに奉っていた御神石でいつの頃にかここに移されたと伝わってございます」

宮司さん「発見は もうはるか昔でして、何百年もまえに、この裏の湯山(お湯の神様の山)からこのお姿のまま見つかったそうでございます」

宮司さん「このような丸い石が山から見つかる事は大変に稀なことでして、神さまとしてお奉りしてございます」

宮司さん「そのようにして昔から、はるか昔の村人が願いが叶うとご祈念をなされてございます」

角「どんな風にお参りをされるのですか」

宮司さん「御神水をかけたり直接触ったりして、お参りされてございます」

宮司さん「古くは勾玉の神さんとして村の職人さんがようお参りに来られたと聞いてございます」

角「勾玉の職人さんですか!」

宮司さん「こちらの玉作湯神社の御祭神が3種の神器の勾玉をお作りになられた神さんでございます。その関係で勾玉の職人さんの深い信仰がございます」

なるほど・・・

玉作湯神社には古くから奉られている御神石があったわけです。
※変なオブジェ案はここで消滅←良かったです☆

遠藤宮司さんの丁寧な説明をメモして神社を後にしました。

心の中では

『目的地はここしかない!』と確信していました。

あとはどうやってお客様に来ていただける仕掛けづくりができるか…

第8話へつづく



 なるべく皆様のストレスにならないようにわかりやすく、何度も読み返してからUPをしておりますが、もしご意見などございましたらコメントなどでお知らせいただけますと喜びます。


最後までご拝読をいただきありがとうございます。

さて。いよいよ次のお話で願い石・叶い石が誕生いたします。

そこには素晴らしいデザイナーの仕事がありました。

ご期待いただきましてお楽しみください。


第8話 デザイナーの仕事はコチラから
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