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ロンドンからの乗継ぎドーハ国際空港で飛行機に置いていかれた話②|新婚旅行2015

7年前の6月に、新婚旅行に行った。 行き先はイギリスで、私たちはマンチェスターとロンドンに滞在した。夫は海外旅行が初めてで、休みが取れたのは5日間。それでもイギリスを選んだのは、彼が好きな音楽と洋服の文化が楽しめる場所だと思ったからだ。 おかげで弾丸だった5日間、トラブル多発の5日間であった。 あれからもう7年も経ってしまったが、備忘録として忘れたくないことを記しておきたい。


ロンドンからの乗継ぎドーハ国際空港で飛行機に置いていかれた話①


ドーハ国際空港に取り残された二人は、あてもなく空港内をただ歩いた。お店を見たり、寝られそうな場所を探したり、とにかく歩いた。しかし、具合が悪い。イギリスが思っていた以上に寒く、厚い上着を持参しなかった私はどうやら風邪をひいたようだった。最終日、体調の悪さをだましだまし過ごしてきたがここにきてしっかりと風邪を認識してしまった。最悪のタイミングだ。

しなしながら、明確な目的がなかった散歩の途中、ドラッグストアを探すという目的ができた。そう苦労することなく薬が売っていそうな店を探し出し、スタッフに頭痛と寒気を訴え、風邪薬であろうものを買った。アラビア語が書かれた独特な赤のパッケージが異国を思わせ、本当に自分は風邪薬を買えたのか不安になる。この局面をどうにか乗り越えるべく、そのとても大きくて白い錠剤を水と一緒にのみこんだ。ただでさえ錠剤が苦手な私はその大きな薬を飲むのに勇気がいったのだ。

どうせなら延長された最後の日を楽しく過ごそうと、ちょっと高そうなワインバーのようなお店に入り、夫用に白ワインとシュリンプカクテルを注文する。ホールの男性は、たぶんゲイで接客がとても丁寧だった。彼は自分の美しい振る舞いに酔っていたかのようにも見えた。この日を思い出すと、必ずこのウェイターのことが頭によぎるほど印象深い人であった。

夕飯は半分社員食堂のようなレストランで取り、また白い錠剤をのむ。そして、デッキチェアのような細長い椅子が並ぶ場所で仮眠をとった。昼間歩いた時に目をつけていた私たちの寝床だ。ざっとこんなふうに一日を過ごし、意図せずほぼ空港内を網羅した私たちは起きてからすることがなくなってしまった。自由に使えるPCコーナーで家族や職場の人と連絡を取ってみる。まさかまだ帰国しておらず、カタールの空港にいるとは誰が想像できただろう。

最後の食事はあえて、どこでも食べられるバーガーキングを選ぶ。自国との違いを発見する楽しみもある。夫はハンバーガーとポテトを食べたが、体調が戻らない私はサラダとヨーグルトを食し、再び白い錠剤を飲みこんだ。

ようやく帰国できる飛行機に乗る時間がやってきた。こんなに長い24時間は久しぶりだった。なんともすっとんきょーな最終日だったが、今や愛しい思い出の一コマとなり強烈な一日として記憶に刻まれている。

今、自宅で使用しているシャンプーはロンドンのホテルのシャンプーと同じ香りのするものを使っている。


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