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君の膵臓をたべたいは「ラノベ」であって「ラノベ」でない
去年「君の膵臓をたべたい」が映画でヒットしましたね。その効果もあってか、小説もたくさんの人に読まれたようです。僕も映画は見ていませんが小説は読んで、いい作品だなと軽く感動しました。
作風は若年層向けのタッチで書かれているため、「陽だまりの彼女」などに近くわかりやすいですが評価を見ると浅いっていう意見も多いみたいです。
読んでいる人の評価にも寄せて書いてるというのがありましたが、著者の住野よるさんもライトノベルを意識して書いた作品のようです。ただ、君の膵臓をたべたいがライトノベルだと評価されることは、個人的には違和感を感じました。
話は少し変わりますが、僕の子どもの頃はライトノベルの全盛期であるくらい流行っていて、例にもれず僕も毎日のように読んでいました。
涼宮ハルヒの憂鬱が出版されてしばらくは、オタクと言えば「アニメ」「ボカロ」「ラノベ」の3つに分類できるといっても大袈裟ではないぐらいは流行になっていました。
当時のライトノベルは、「涼宮ハルヒの憂鬱」や「物語シリーズ」などファンタジー色が強かったですが、作品としての完成度は高く個人的にはふつうの小説と同じくらい中身があって好きでした。
特に「文学少女」という作品はお気に入りで発売日を楽しみにしていました。一部を除いては、現実的な展開が多く、登場人物の描写も繊細で、今でも好きな作品のひとつです。
中学生の頃、読書感想文で「恋空」は認められたのに、「文学少女」はダメと言われた時は担任に憤りを感じるほどには、僕の中では文学と捉えていました。
2010年以前のラノベは、僕の文学的な青春といっても間違いではありませんでした。
しかし、2010年以降ライトノベルは急激な「ビジュアル化」が進みます。「俺の妹がこんなにこんなに可愛いわけがない」に代表されるインパクトのあるラブコメやファンタジーが急激に増えました。
あまり多くの作品を読んでないので詳しくは語れませんが、全体的にアニメ化や映像化がしやすい描写が増え、印象的なキャラクターが前面に押し出された内容が今の主流な気がします。
僕の好きだった頃に主流だった作風は現在なりを潜めてしまい、大人になるにつれてラノベから離れていきました。
そんな中、去年出会った小説が「君の膵臓をたべたい」でした。
読んだ瞬間に、『これは学生の頃好きだったやつだ』と感じました。文章が直感的で少し拙い部分も、日常の中にフィクションを上手に織り交ぜる部分も合わせて僕の読んでたライトノベルだなと
君の膵臓をたべたいは、今の主流であるライトノベルと比べると主流ではない作風ですが、
僕の読んでいた2000年代のライトノベルの作風を完全に引き継いでいます。
さまざまな意見はありますが、こういう作品が若い人に読まれて、物語や活字を読むきっかけになってくれたら理想なのではと
ついでに、思い出に浸る瞬間を作ってくれるから、僕にとってもwin-winなので続いてくれたらと願ってます。
君の膵臓をたべたいは「ラノベ」であって「ラノベ」でない
だから、僕の心をつかんでくれました。