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バズるとか論破とか、そういうのと逆方向に日本語をアプデしたい。

別のエントリを更新していたら、

#ウェルビーイングのために

というハッシュタグをみつけたので、ちょうどいい!と思って、もう一本。何がちょうどいいかというと、
リカレントで通っている大学で仲間と一緒に始めようとしている
事業プランを整理するのにピッタリという意味で。

私たちのリカレントクラスのテーマは
ソーシャルビジネス・アントレプレナーシップ(社会起業)だ。
地域連携にも力を入れている大学ということもあり、
自分たちが暮らしているまちにある課題を、ビジネスの力で解決していきましょう! という目標設定で、今年4月から来年9月末まで(最大)学ぶ。

7月に30人ほどの受講生ひとり一人が、プレゼンをした。
私は、3年前からハマっている「音声配信」を軸に、
まちの情報を、在日外国人、障害のある人、認知能力が衰えた高齢者にもわかるような伝え方をしたい というプラン(コンセプトは「まちの総務部」)を発表。

マイノリティと思われている人たちにもコンテンツ制作に参加していただき、ゆくゆくは地元企業の人材育成/リーダーシップ研修にも使ってもらえるようにして、マネタイズしていこうという筋書きだった。

証券会社で法人外交の仕事をしていた私は、企業向けの営業に苦手意識がないし、ライターになったいまでも、経営者や企業のリーダーにお会いして話すことが多い。
また、四半世紀以上のプロとして文章を書いてきたノウハウもある。
それらを生かしつつ、地域貢献ができるビジネスになるんじゃないかなと思っていた。

ただ、亡くなった母が認知症であったという経験以外、
障害が身近にあったわけでもなければ、ハンディのある家族を支えた経験もない。外国人と交流があるわけでもない。

「なぜ、あなたがそれをする必要があるの?」

と問われたら、ちゃんとした返答ができない感じだった。

しかし、クラスメイトのプレゼンを聴き、そのビジネスプランのブラッシュアップを手伝ううちに、チーム戦でやれば自分にも貢献できることはあるし、事業にも幅が出せるような気がしてきたのだ。

「やさしく読める」の「やさしい」は、
易しいだけじゃなく、優しいも含んでいる?


きっかけをくれた事業計画は、
「LLブックを普及させたい」というものだった。

彼女のプレゼンを私のブログに公開するわけにはいかないので、ざっくりと概要だけを書く。

LLブックのLLは、スウェーデン語で「やさしく読める」という意味。

知的障がいをお持ちの方や日本語を得意ではない方、
一般的な日本語の情報提供では理解が難しい
さまざまな方に向けて作成された本。

アウトプットするのに、
「音声」と「紙の本」では、手法もコストもまるで違うのだが、
事業プランに関わる・・・というか、巻き込む(?)人のイメージは近いんじゃないかと感じた。

支援ビジネスでは「包摂的」とか「包括的」とかいうんだけど、
そんなのは専門職にしか伝わりにくい。
もっと、いい表現があればいいんだが、みつからない。

夏休みから、何度も何度も彼女とやりとりして、
本を貸してもらったり、自分でも図書館で借りたり書店で買ったりした。

なんともタイミングのいいことに、
「ハンチバック」が芥川賞に選ばれ
市川 沙央さんの印象的なスピーチ

によって「読書バリアフリー」なる制度が2019年にできたのに、ほとんど浸透していない事実を知り。

セレンディピティを感じた私は、
こちらの、オーディブル版と

紙書籍を両方とも買って、一気に読んだ(聴いた)。

NHKのこの番組も、面白かったな。

こうして、新たな切り口を得てみると、
身近にあったのに知らなかったことにも気づくもので・・・

仕事で何度もご一緒しているイラストレーターの日比野さんが
「音にさわる」という、すばらしいコンセプトの絵本に携わっておられることを発見。

灯台下暗しとは、こういうこと。

その後も、
市川さんのおかげで、関連書籍もビシバシ出版されたんだけど

「インクルーシブ」や「バリアフリー」を
事業コンセプトとして語ることが、なんかしっくりこない。
PR用のリーフレットをつくってみても、これで広まるような気がしない。
たぶん、こうした語を見聞きした瞬間に、
「それは、私に関係のないこと」
とシャッターを下ろしてしまう人が多いんじゃないかと、かつて自分がそうだった私が、不安を覚えていたからだ。

日比野さんから、
「デザイン」の領域でこの手の話をするときは、
「ユニバーサル」という語を意識的に選んでいると教えてもらった。
検索して自分なりに調べてみると、つくり手側から見たときに、ユニバーサルがより適切であると腹落ちしたし、
「バリアフリー」と言っただけで、いわゆる障害者を下にみたり、憐れんだりする意識がある(それが優しい気持ちであったとしても)ことから、離れられる気がした。

「マイノリティデザイン」や

「注文をまちがえる料理店」 kindleunlimitedだと0円だ!

のように、むしろ弱さが魅力になるようなことは多々あるし、
そういう風に世の中が見えるようになれば、
何も特別なことはしなくても

#ウェルビーイング

って実現するんだろうなと思ってて。
何がバリアなのか、バリアは弱いのか? そのへんがひっくり返るような対話やコミュニケーションが増えたらいいなと切に願う。

というわけで、
あくまでも2023年11月2日時点でのベスト✨でしかないけど、

ユニバーサルな情報発信

を増やすための、啓蒙活動をするビジネスを立ち上げますよ!
という言い方で、事業プランを広めていくことに落ち着いた(ひとまず)。

とくに女性は、年齢を重ねると
「もうBBAだし」と自虐気味にいってみたりするけれど、
本当は、若い頃よりイイ感じになっている自分を知っているし(周りがどう言おうとも)

諦める
許す
受け容れる

といったことが、生きやすさにつながることも体感としてわかっている。

福祉業界のオシャレ番長✨こと平林景さんが
「利用可能かどうか」と「使い方が分かりやすいかどうか」
の視点に加え、
「幸福感/満足感が得られるかどうか」
をNextUD として提案しているのもステキだよなぁ。

こうやって、マイノリティ側から強い発言をしてくれる人が増えてきたおかげで、SNSが普及して、承認欲求が高まるばかりだった世の中が、そろそろ変わりそうな気がしている。

論破する
バズる
コスパ・タムパよく広める

ために言葉を駆使する人が増える一方だったけど、
折り返しに来たというか、揺り戻しがきているというか。

不器用にゆっくりとしたアウトプットでも、
いろんな人に誤解なくつたわる
優しさを含んだ「やさしい日本語」を使える人が
たくさんの共感を得て、しあわせに生きていける時代になってきたんじゃないかな。

まぁ、ほかの誰かに賛同してもらうのを待つのではなく
自分自身が
「そういうこと!」
って思うには、自己肯定感の高さが必要で。
そのためには、うんと人に親切にしてみるとか、ネガティブを受け入れる力が大事なんだって。

https://note.com/sukimeshihattori/n/n6de753f4be6c?sub_rt=share_pw


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