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ええねん①


なにか新しい曲を聴く時は、一通り歌詞に目を通してから聴くようにしている。

ストーリーや言葉の意味や考えたり、曲の主人公を自分に置き換えて想像したりするのが好きだ。



そう思うようになったのは、高三の国語の授業がきっかけだと思う。



その授業では毎回、冒頭に「頭を柔らかくするための時間」があった。ある日はなぞなぞを解く。ある日はクイズをする。その中でも私は「歌詞の意味を考える」がいちばん好きだった。


まず最初に歌詞カードが配られる。そして歌詞カードを読みながら、教師が用意してきた曲をみんなで聴く。

そのあと教師が歌詞の一部分をピックアップし、その言葉の意味や登場人物の心情について全員で考える、というものだった。



たとえば、ゴールデンボンバーの「女々しくて」が取り上げられた日は、サビにある

恋に焦がれ いつもミスをした
女心 雲のよう


について、この「雲のよう」とはどういう意味かについて考えた。

回答はその日付に関連する出席番号の生徒から、縦や横一列に行う、というのがお決まりのパターンだった。


ある男子生徒が「女心が雲と同様に掴みどころがないことを表現している」と、高校生ながらねづっちもビックリの回答をした時は、立ち上がって拍手を送りたいほど感動した。




またある日は ゆず の 「夏色」が取り上げられ、

この長い長い下り坂を
君を自転車のうしろに乗せて
ブレーキいっぱい握りしめて
ゆっくりゆっくり下っていく


について、ブレーキをいっぱいに握りしめる主人公(おそらく男子学生)の心情について考えた。


まだ恋を覚えたての可愛い高校生たちは、


「彼女を守りたいという気持ちの表れ」「彼女と少しでも長く一緒にいたい気持ちの表れ」「彼女と一緒に居られる嬉しさを噛み締めるあまり、体に力が入ってブレーキを握りしめちゃっている」


とか言っていた。可愛すぎるだろうが。



人生に疲れ切ってしまった今の私なら

「坂道の勾配にダセェ男子がビビり倒す気持ちの表れ」

としか思えない。


「好き」の気持ち一つだけで恋愛ができたピュアなあの頃がなつかしい。


                                                             つづく。

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