見出し画像

経産官僚の内定を辞退して、「カッコ良さそう」だから民間企業に就職しました!

僕は、3年前、経済系官僚の内定を辞退した。

当時、受験者数から考えるとその省庁への内定率は約0.5%。そんな狭き門をくぐりぬけ、やっとのことで掴んだ切符を自ら捨てて、一般の民間企業に入った。周りからは、当然のごとく「なんでそんなことするの?」「何考えてるの?」と言われた。就職活動の時期に、僕が何を迷い、そして、なんで官僚を辞退して民間企業に入ったのか。当時の思いを色々書き連ねてみようと思う。

今コロナの影響で厳しい就職活動を強いられ大変な思いをしている就活生が、このnoteを読むことで前向きになってくれたら嬉しい。

官僚を目指し、迷った理由「産業をつくれるのはどっち?」

僕には、某電機メーカーに勤めていた父親がいる。僕が就職活動真っ最中の時期、業績不振により、父親が勤めていた会社は中国系企業に買収。
その影響から既存の社員のほとんどは、配置転換に。僕の父親も、定年を間近に控えていたが、工場勤務になった。今までのオフィス勤務に慣れきっていた父親からしたら、想像以上の環境変化だったと思う。自然と「辞職」という言葉が頭に浮かんだそう。

そして、父親は、40年間勤めあげてきた会社を、定年間近で退職した。相当悔しかったと思う。それでも、色々あったけど会社人生には満足してるようなことを言っていた。

就職活動期に重なりそんなことがあったので、僕は嫌でも日本の産業について意識せざるを得なかった。一時期は日本のリーディングカンパニーとなっていた会社が、外資系企業に買収されるという一幕は、もちろん時代の潮流・分野にもよるとは思うが、日本の産業競争力の低下を痛感させられた。

そんな経験から、公務員になって日本の産業競争力を高めていきたい、次なる日本の主要産業を生み出し、持続的に発展させていきたい、という思いをもって就職活動を行っていた。官庁の面接でも、人事の方に配慮いただき、ヘルスケアやエネルギーなどの分野において「産業創造」という文脈で活躍されている第一線の方々と議論をした。本当に楽しく、尊敬できる方々ばかりだった。

ただ、僕は、彼らの言う「産業創造」という言葉に違和感を持っていた。産業を創造しているのは、誰なのか。そんな疑問を持ちつつも、面接は順調に進み、ありがたいことに内定をいただいた。

僕は、思い切ってこの疑問を当時お世話になっていたメンターの方に相談してみた。そして、メンターの方から返ってきた言葉にハッとさせられた。

「厳密に言ったら、官庁は産業をつくれる場所じゃない。いくら関与しようとしても、0から1は事業者がやるしかないんだよ。それに、事業者は0から1を作るときに、官庁の方を向いて仕事をしていると思うか?そんなことはない。事業者は内から湧いてくるものを信じて仕事をしてるんだよ。そうやって1をつくった事業者を、10にも100にも引き上げて一大産業化していくのが官庁。その意味では、事業者も官庁も、産業をつくりあげる主体って言えるかな。で、廣瀬はどっちをやってみたい?」

僕が当時持っていた違和感がスーッと晴れる気がした。僕の解釈を言うと、民間企業でも、官庁でも、新しい「産業」はつくれる。ただ、「産業」として成立させるまでの役割が違うんだ、と。(イメージは下図)

【産業のライフサイクルイメージ】

画像1

導入期:産業として成り立つまでには、個社による革新的なビジネスモデルの発明・技術開発などが起こる。(このとき、新サービス・新技術を事業化するまでの道を整備してくれているのは官庁が主体だと考えている(準備期))

導入期~成長期:導入期においては、通常法規制等がまだ整っておらず、企業にとっての後退要因として機能している場合が多い。それでも、自社のサービスを信じて起業家は突き進む。既得権益による反対、世間的な批判を浴びながら、サービスをつくりあげていく。そのうち、他の企業からも新規参入が相次ぐ。こうして個社が発端となった1事業領域に、プレーヤーが次々参画していく中で、いわゆる産業の萌芽が出来上がってくる。

成長期:ここからがいよいよ官庁の役割。後退要因となっていた法規制や、既得権益の反対等、とてつもないステークホルダー間の調整を行い、産業の萌芽を守る。時には、一気に後押しするような法改正を行い、1大産業として育てていく。この時、官庁は企業群にとっての成長要因として働く。そして、企業群はその業界の市場を開拓すると同時にトップシェアを獲得するために、しのぎを削る。やがて、市場が飽和してくると、衰退期に突入する

僕は、産業の成り立ちについて、製品ライフサイクルになぞらえてなんとなくこんなようなイメージを持った。じゃあ、改めて、産業をつくってるのは民間なのか、官庁なのか、どっちなんだろう。

なんか、かっこよさそうだから民間に行こう!

メンターからの言葉を受けて、改めて自分の持っていた疑問について考えてみた。「産業をつくっているのは民間なのか、官庁なのか。」愚問の様な気がした。そんなもの両方に決まっている。どちらか一つで成り立つものでもない以上、どちらも産業をつくっている。どちらがつくれるかという視点ばかり気にしていたけど、どちらでもできると確信した。だったら、メンターが言うように、僕自身どちらの役割にワクワクするかが重要なんだと感じた。

そして、僕は官僚の内定を辞退した。新しい産業が勃興する下地をつくる役割、新しい産業の萌芽を守り、成長を促進していく役割もかっこいいけど、反対されても、批判されても、笑われても、世の中に無いような、わけがわからないモノ・サービスをつくり出した方がなんかかっこいいなって思った。

最後の決め手は、「なんかかっこよさそうだから」というシンプルな気持ちだった。

自分の人生を生きていきたい

決断の時、邪念が無かったかというとウソになる。事実、合コンの時に官僚って言った方がモテる?とか、周りの受けがいいのはどっち?とか、ほんとに一瞬よぎったりもしたけど、それって他人の価値観に支配された他人の人生を生きていることでしかないなって思った。自分がワクワクする人生を生きようと思ったら、「自分が今世界にたった一人だったら、その選択をするかどうか」を自身に問うと良いなと感じた。

そして、当時の僕がとった選択は、民間企業への就職。
入社してすぐ、社内起業制度というとてもありがたい制度をつかって、サラリーマン起業家という道を歩んだ。
卒業後すぐに起業したら絶対失敗するなーとか色々考え、社内起業制度が整っている一般の企業(制度さえ整っていればどこでもいい)に就職するのが当時の僕にとってベストチョイスだと思った。

今振り返ってみても、当時の僕の選択を「よくやった!」と褒めてやりたい。

余談にはなるが、僕が就職活動をする中で経験したのだが、「この会社を志望する理由は?」と面接官に聞かれ、「○○という理由からです」って答えると、「それって他の会社(競合)でもできるよね?」っていう決まり文句のスタンプを押される。うんざりしていたが、実際その通りだと感じた。僕のやりたいことってどこの会社でもできるなーって。

ただ、当時僕が思っていたのは、物事がきっぱり0か100かで決まっていることなんてなくて世界はもっと曖昧で、グラデーションになっている。その中で自分はこの役割を担いたいからこんな感じの所に行きたいってのは言えたとしても、あなたの企業である必要はないってのが本音。

だから最後は直感だった。「なんかかっこよさそう」とか、「なんか好き」とか、言葉にできない良さがあるから。そういう思いが率直に言えるような世界になって、「あとは実力で評価してください」って言える社会になったらいいなって思ってる。

こんなこと言っても、就活生にとって参考にならないかもだけど、より教訓めいた事を言うのであれば、

【自分にとって一番わくわくすることを他人の目なんか気にせずやっていこうよ】

って伝えたい。今行こうとしてる企業、本当に世界が自分ひとりになっても行きたいと思うか。第一志望の会社に行けたら幸せだけど、行けなくなったからって自分のやりたいことって絶対にできないか。そういう判断軸を持っていてもいいのかなーと思う。

まだまだ実力不足な自分だけど、これからの世界の主役は僕たち。
一緒に頑張っていきましょう。

【就活のお悩み相談等、こんな僕でも役に立てることがあるのであれば、なんでも相談してください】

TwitterでDM(allenkei0131)を送ってくれれば、誠心誠意お答えします。

この記事が参加している募集

自己紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?