ぽん乃助┆心を抉る(えぐる)猫

吾輩は猫を被る繊細なニンゲンである。巷で流行りの自己肯定と論破の無限ループから抜け出す…

ぽん乃助┆心を抉る(えぐる)猫

吾輩は猫を被る繊細なニンゲンである。巷で流行りの自己肯定と論破の無限ループから抜け出すため、エッセイを綴り始めることにした。┆ふつうに働いて、ほどほどにつまらない人生を謳歌している。┆箱の中で死を待つのではなく、箱の外に出ることを選択するシュレーディンガーの猫になりたい。

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  • 5分で心を抉るエッセイ

    安易な自己肯定や他者否定ではなく、自分の心を抉った(えぐった)先に生きる強さを見出していく、5分で読めるエッセイです。

  • 心に残る本屋さん

    みんなに行ってほしいという思いを込めて、街の散歩で見つけた素敵な本屋さんを紹介するつぶやきです。

  • 3分で心を癒す日記

    センチメンタルな夜に読みたくなるような、心の中の微かな不安をほんのりと昇華していく、3分で読める日記です。

  • 5分で心に刺さる短編小説

    ニンゲンの善意や悪意をテーマとした、短いながらも意外な展開で心に刺さる、5分で読める短編小説です。

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5分で心を抉る(えぐる)エッセイ、はじまる。

吾輩は猫を被るニンゲンである。名前はぽん乃助という。 かつて処世術っぽいことをブログで発信していたが、ふとした瞬間、エッセイを書きたくなった。 テーマは、5分で心を抉る(えぐる)エッセイ。以前、発信していた処世術とは、一見逆行するような自虐的テーマに見えるだろう。でも、これは前向きな社会的実験だ。 群雄割拠で厳しいこの世の中では、自己肯定感が大事だとされる。これは、他人に厳しく自分に甘いニンゲンが蔓延っている中で、自分の居場所を確立するための処世術なのだろう。 でも、

    • 「プライドが高い」って言われましても。

      嫌なことを言われると、そのことがずっと、頭に残り続ける。 やがて、嫌なことを言ってきた人を見ると、吐き気がしてくる。 そんな感覚を久々に味わった。 多少の嫌味では狼狽えることはないと思ってたけれど、私はまだまだ未熟のようだ。 みんながいる前で、執拗に見下すような言動を繰り返され、私の中の閾値を超えた瞬間、その人と目を合わせることもできなくなってしまった。 私はこういうモードに陥ると、誰に対しても心が閉鎖的になる。 誰にも弱みを見せないように、言葉を選ぶようになる。

      • 台風一過のお盆の終わりに、高円寺の本屋さん「蟹ブックス」に行ってきた。小さなフロアの中、落ち着きのある明るい空間と知的な本の並びに囲まれて、とても居心地が良かった。私の好きな人文系の本も多く、良い本と出会うこともできた。

        • あの日、あの時、パルコ前で待ち合わせをした。

          浦和で、友人と待ち合わせをした。 浦和といえば、馴染みがない人には浦和レッズくらいしかイメージがないと思うが、埼玉県人にとっては必ず行ったことがあると言っても過言ではないだろう。 そんな約束の地に、私は学生以来、おそらく15年ぶりに足を踏み入れた。 駅の西口には、昔のような活気はないものの、大きく居座り続ける伊勢丹。 そして、なんと言っても駅の東口の視界いっぱいに広がるパルコ。 あの時から、何も変わっていない気がした。とにかく、懐かしかった。 ふと、涙が出ていた。

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          言語化よりも大事なこと

          「言語化」という言葉。 タコができるほど、最近よく耳にするようになった。 それは、人に気持ちをうまく伝えられずに、悩んでいる人が多い証左のようにも思える。 昨今は、テレビやネットでも、言語化が上手な人にスポットライトが当てられることが多い。 言語化が上手になりたい。 言葉の力で、みんなの目の前の靄を振り払えるような人間になりたい。 私は、ずっとずっと、そう祈っていた。 けれど最近、私は疑問に思う。 何でもかんでも言語化することを目指すことが、果たして正しいのだ

          お日様燦々な青空のもと、吉祥寺にあるお洒落な古本屋さん「百年」に行ってきた。アート寄りの本が多くて、創作意欲がとても漲る。吉祥寺が熱いのは古着だけじゃない、古本もだ。

          お日様燦々な青空のもと、吉祥寺にあるお洒落な古本屋さん「百年」に行ってきた。アート寄りの本が多くて、創作意欲がとても漲る。吉祥寺が熱いのは古着だけじゃない、古本もだ。

          稼げなければ遊びに過ぎないのか。

          私にとって、書くこと。それは、遊びとは形容し難いもの。 けれど、そこにお金が発生していなければ、周りから見れば遊びに過ぎない。 主観と客観の食い違いに、私はずっとアンビバレントな気持ちを抱えていた。 今年に入ってから、転職に続いて結婚をして、私は人生の分岐を迎えた。 そして、思った。 お金も時間も大切なものであり、同時に余裕がないものであるということに。 なので、「稼げない自分の時間」は極限までに切り詰める必要がある。 世の先人たちがたくさんの足跡を残すこの至難

          稼げなければ遊びに過ぎないのか。

          明日が来てほしくない、そんな雨夜に。

          梅雨の季節。雨が止んだって生乾きのコンクリートの匂いが漂ってくる。 今日も、仕事で夜遅くなってしまった。陰鬱とした気持ちに、追い打ちをかけてくる。 駅から自宅までは、幾分遠い。賑やかなの駅前は嘘のように、周りには誰もいなくなる。 人間関係で何度も苦労してきたはずなのに、それでも私は今でも苦労している。 夜道で一人になると、心の傷は、とても沁みて痛くなる。 その瞬間、私のシャツが血で滲んだ気がした。あるはずもない痛覚が、私の歩みを止めた。 おもむろにイヤホンを鞄から

          明日が来てほしくない、そんな雨夜に。

          渋谷の喧騒を抜けた先にある奥渋谷の本屋さん「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS」に行ってきた。雰囲気と商品の陳列にうっとり。素敵なエッセイ本との出会いもあった。

          渋谷の喧騒を抜けた先にある奥渋谷の本屋さん「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS」に行ってきた。雰囲気と商品の陳列にうっとり。素敵なエッセイ本との出会いもあった。

          明日死ぬかもしれないと思って生きること。

          「明日死ぬと思って生きなさい。」 かつての偉人がこんなことを言ったらしい。 今でも、この競争社会を駆け上がった者たちは、同じフレーズを口にする。 このフレーズ、頭ではよく理解できる。 昨日までの人生を悔いなく生きられているかというと、そんなわけがない。なので、今日からの人生はもっと悔いなく生きたいと、いつもそう思う。 けれど、どうしても心では、もやもやとした違和感が生じてしまう。 いくら「明日死ぬかもしれない」と思っても、普通に生きているだけで余裕がないから、怠惰

          明日死ぬかもしれないと思って生きること。

          文字を書くこと、休んでます。身内の死と過労が祟り、心に穴が空いたままだから。だけど、人が生み出す創作を見ると、幾許か生きることを肯定してくれる気がする。私もそんな創作をしたい。回復したら、また綴ろう。

          文字を書くこと、休んでます。身内の死と過労が祟り、心に穴が空いたままだから。だけど、人が生み出す創作を見ると、幾許か生きることを肯定してくれる気がする。私もそんな創作をしたい。回復したら、また綴ろう。

          他人の子どもを叱れない

          吾輩は猫を被るニンゲンである。名前はぽん乃助という。 子どものときに、叱られたことはあるだろうか? 「親父にもぶたれたことないのに!」という例外もあるかもしれないが、子どものときに親に叱られた経験のある人が大半だろう。 善悪がつかないから、無邪気な行動をしてしまう。親から叱られて、それが悪いことだと知る。 そんなのは、通学路と同じように、誰もが子どものときに通る道だ。 ただ、子どもとて、いつも親の近くにいるわけじゃない。 外で友だちと一緒にいるとき、ついつい無邪気

          【20字小説】憎かった父の病床にて

          今更ありがとうって。 最期まで憎ませてよ。 【あとがき】 虐待、いじめ、ハラスメントなど。 法で裁けない悪もあれば、法で裁くほどでもない悪もある。 こうした悪の牙に噛まれたニンゲンにとって、心を保つ唯一の合法的な手段。 それは、「憎む」という感情を抱くことだ。 でも、憎んでる奴の死に際をいざ目の当たりにして、最期まで憎み切れるだろうか。 たぶん、私にはできない。死ねば奴の罪など消えてしまうと、わかっているのに。

          【20字小説】憎かった父の病床にて

          「新生活20字小説」企画で、推し作品に選んでいただきました。これでまた、明日も創作頑張れる。ゆる企画ということなので、一人でひっそりとニヤニヤしていよう。 https://note.com/suke_of_pon/n/nce81a20ee906

          「新生活20字小説」企画で、推し作品に選んでいただきました。これでまた、明日も創作頑張れる。ゆる企画ということなので、一人でひっそりとニヤニヤしていよう。 https://note.com/suke_of_pon/n/nce81a20ee906

          魔境『東京』で生き残るために

          吾輩は猫を被るニンゲンである。名前はぽん乃助という。 目の前の席に座っていた人が徐に立ち上がった。 新生活に疲れていた私はそこに座ろうとしたら、隣の人から無助走のタックルを受けた。 隣を見たら、もうその人の姿はそこになく、気づけば目の前の席に座っていた。 ―嗚呼、東京に帰ってきてしまった。 満員電車の中で、桜の散り際を窓から見ながら、私はそう思った。 東京で生きてきた私は昨年、仕事の関係で東京から離れることになり、今年の2月まで大阪に居た。 大阪だって大都会だ。

          魔境『東京』で生き残るために

          「金稼げば幸せになれるんかな」 「金じゃねぇよ、つながりだよ」 地元のサウナの中で、刺青を入れたふたりの若人の会話がじんと心に沁みた。

          「金稼げば幸せになれるんかな」 「金じゃねぇよ、つながりだよ」 地元のサウナの中で、刺青を入れたふたりの若人の会話がじんと心に沁みた。