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5分で心に刺さる短編小説

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ニンゲンの善意や悪意をテーマとした、短いながらも意外な展開で心に刺さる、5分で読める短編小説です。
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記事一覧

【20字小説】憎かった父の病床にて

今更ありがとうって。 最期まで憎ませてよ。 【あとがき】 虐待、いじめ、ハラスメントなど。 法で裁けない悪もあれば、法で裁くほどでもない悪もある。 こうした悪の牙に噛まれたニンゲンにとって、心を保つ唯一の合法的な手段。 それは、「憎む」という感情を抱くことだ。 でも、憎んでる奴の死に際をいざ目の当たりにして、最期まで憎み切れるだろうか。 たぶん、私にはできない。死ねば奴の罪など消えてしまうと、わかっているのに。

慣れない日々【新生活20字小説】

あったかくなったのに。 なぜか、眠れない。 【あとがき】 朝は、希望に溢れて、桜の下を笑顔で歩く。 夜は、「春眠暁を覚えず」の諺のとおり、ゆっくり眠る。 そんな新生活を送れなくなったのは、いつからだろう。 でも。不安なのはきっと、自分だけじゃない。 「新生活20字小説」の参加作品となります。 #新生活20字小説

【20字小説】エイプリルフールの前日

別れたいって? 明日のセリフだよね…それ。 【あとがき】 人は別れを告げるとき、どうして誰でもバレるような作り笑いをするのだろう。 あの作り笑い、嘘では演じられない。でも、嘘であってほしかった。

【20字小説】インスタ映えランチ

今日もバズったぞ。 でも味は忘れちゃった。 【あとがき】 他人に共有できる「記録」があれば、自分の中だけに留める「記憶」は必要ないのだろうか? AIがニンゲンに近づいているのではなく、ニンゲンがAIに近づいているのかもしれない。 私は最近、そんなふうに考えてしまう。

今年の漢字は「幸」でした。【書き初め20字小説】

そんな初夢を見た。 今日こそは告白しよう。 小牧幸助「書き初め20字小説」企画の参加作品となります。

【短編小説】あなたのことが好きだった私を許してください。

「咲希のことが好きだ。今週会える?」 このLINEの一文が、私の色褪せた視界に色を取り戻してくれる。 私の心は、満たされた気持ちで脈打っていた。 でも、私の頭は、いつものように罪悪感に満たされていた。 夫にどのように嘘をつこうか…なんで私はいつもこんなことで悩んでいるんだろう…。 私は夫から2年前にプロポーズを受け、この結婚に後悔はなかった。 夫は容姿端麗で、気遣いもできる。学歴もとても良く、仕事も安定している。 他人から見たら、私は幸せ者に違いない。 そんな

【短編小説】最期の日

僕は今日で、終わりを迎えることになる。 この街の桜は綺麗だけど、散り際がとても悲しい。 そんな言葉は、嫌になるほど、何回も聞いてきた。 でも、いざ自分が終わるとなって、やっと分かった。 散り際は、悲しいということを。 ◇ 僕が住む街は、かつては活気があった。 人の笑い声が聞こえたり、悲しむ声が聞こえたり、人々の喜怒哀楽を感じることができた。 人が集まる場所には、色んな声が集まる。 「今度、花火見に行こうよ!」 「一緒にあそこで飲んだコーヒーが懐かしいね。」

【短編小説】正義は時に、人を追い詰める。

17歳の女子高生が立川駅のホームで投身自殺。SNSでの誹謗中傷が原因か。 - WAMOOニュース 激務で疲れた体が電車で揺らされる中、スマホの中で無機質に映される悲惨なニュースを目にし、脳が揺らされる。 そうこうしている間に、立川駅の騒然とした動画がSNSのタイムラインにたくさん流れてきて、心が揺らされ続ける。 そしていつものように、夜の窓の光に虫が集まるが如く、たくさんのユーザーがコメントを貼り付けている。 まだ若いのにかわいそう。ご冥福をお祈りします。 慈悲の言

【短編小説】罪悪感と優しい嘘

「人の罪悪感と優しい嘘に、疲れてしまったよ。」 彼が自死を遂げる1ヶ月前、彼の口から聞いた、初めての弱音だった。その言葉とは裏腹に、表情は苦笑を浮かべていた。 社会人になってからは猛烈な忙しさの波に攫われ、気づけば30歳になっていた。私生活で会っていたのは、昨年に結婚した妻がほとんどだった。亡くなった彼とは、学生のときは週1回くらい会っていたが、今では年1回会うくらいのペースになっていた。 1ヶ月前、彼と会ったのは、年末に向けて仕事で佳境を迎えており、久々に休みが取れた