不動産テックで新たにユニコーンになった「EliseAI」とは?
不動産テック「EliseAI」が8月14日、シリーズDラウンドで7,500万ドルの資金用達を発表。評価額は10億ドルを超え、ユニコーンの仲間入りを果たした。
この記事ではEliseAIがどんな企業なのかを紐解いていく。
原点は入居者とのやりとり
展開する事業は住宅業界向けの会話型AIプラットフォームだ。設立は2017年で、AIブームが始まる前から事業を展開してきた。
共同創業者のMinna Song氏(CEO)はケンブリッジ大学を卒業後、住宅不動産会社で管理アシスタントとして社会人生活をスタート。Song氏は賃貸・リース業界の非効率性、特に入居者や入居希望者とのやり取りの非効率さが、経営陣の疲弊や燃え尽き症候群につながっていることに気づいたという。
この課題を解決するために、Song氏は学生時代から交流があったTony Stoyanov氏(CTO)とコミュニケーションを自動化するAIソフトウェアの開発を始めた。
12戸のうち1戸はEliseAIを利用
EliseAIは、アパートの内覧、メンテナンスの依頼、賃貸契約の更新、滞納などのやり取りをサポート。チャットボットは入居者や入居希望者の質問や会話に関してトレーニングされており、必要に応じて自動的に人間に引き継ぐように設計されている。
EliseAIは3つのプロダクトから構成される。
「LeasingAI」:見込み客を24時間年中無休で管理し、90%の作業自動化で賃貸契約の成約率を125%以上向上させる
「ResidentAI」:すべての入居者とのコミュニケーションを管理し、エンゲージメントが 40%以上向上し、滞納が50%以上削減され、更新通知が15日早まる
「EliseCRM」:見込み客と入居者のすべての情報、ワークフロー、レポートのハブとなる無料のCRM システム
今では米国の集合住宅12戸のうち1戸はEliseAIを利用する。昨年のシリーズC以降、年間経常収益は2.5 倍以上拡大。ユーザーは内見予約を125%増加させ、延滞金を50%削減している。
ヘ、ヘルステック?
そんなEliseAIが次に進めるのは、意外にもヘルステックだ。ここまで読んでいて混乱する読者もいるだろうが、同社の技術スタックの多くは、予約のスケジュールや請求、支払いなど、医療クリニックの管理ニーズに応用できるという。
2023年にHealthAIというプロダクトをリリースし、すでにサービスを提供している。HealthAIは患者との会話、予約のスケジュール設定、請求と支払いなどの非臨床タスクを自動化。患者からの問い合わせの95%を24時間365 日、待ち時間なしで処理する。
EliseAI はニューヨーク本社に150人以上の従業員を抱え、現在、エンジニアリングと製品、営業とマーケティング、運用の各分野での採用を強化している。
引用
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