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20世紀最後のボンボン  第一部 東京篇  第六章 ざくろ


 

 

金曜日の夜は私も仕事を早く切り上げ、

 

赤坂のホテルニューオータニのロビーで待ち合わせをした。

ニューオータニの写真 お借りしました。

 

これからいろいろみんなに紹介に行くということで、

 

まず服をそろえるということになった。

 

下の階のモールに行き、

 

ハナエ・モリのブティックで、紺のジャージーのツーピースと

 

桜色のジャケットを合わせたものと、

 

薄茶のスーツを一そろいとそれに合った朱色の花の模様の

 

スカーフを購入した。

 

私も3年くらい前までは仕事柄、ケーキの食べ過ぎで、

 

成人病の一歩手前まで行ったのだが、

 

思い立って、エステに通い、最近ではサイズも

 

9号まで戻していた。

 

 

それが全て幸いした。

 

どの服もぴったりだった。

 

そしてさらに隣のイタリアのブティックで、

 

ボディコンシャスなミニのワンピースを購入した。

 

これはバブル当時とても流行っていたものだが、

 

かたい仕事をしている私にはまったく縁のないものだったし、

 

第一、ディスコに踊りに行くのは、高校生の時に、

 

すんでいる儀式だった。

 

 

私はふだん、スカートには縁のない仕事をしているので、

 

ここで購入した、ものはすべてとても新鮮だった。

 

ミニスカートを履くといきなり女性になったような気分で、

 

逆にああゆう風にすかすかしたものをエスコートする男性なく

 

外を歩くのは大変危険な気がした。

 

おそらく私が古風だからだろうか。

 

しかし、そのカッコウで一人で、原宿の竹下通りに出かけ、

 

そののち、スカウトされたので、やはり相当、危険な衣服だと思う。

 

 

ボンボンの家はニューオータニからほど近く、

 

タクシーで服を置きに戻った。

 

そして、それからご飯を食べに行くとボンボンは言った。

 

そしてハナエ・モリの紺の上下に桜色のジャケットを着て、

 

赤坂の「ざくろ」という老舗の日本料理屋にでかけた。

ボンボンは昔から来ているところらしく、

 

なじみの仲居に声をかけ、ポチ袋を渡していた。

 

そしてその仲居がテーブルにお茶を持って挨拶に来ると、

 

ボンボンは今度結婚するんだと私のことを紹介した。

 

 

私は「よろしくお願い致します。」と言って頭を下げた。

 

ボンボンは「いい子でしょ?」と仲居におどけてたずねると、

 

どの仲居にも「よすぎるんじゃない?」と言われ、

 

からかわれていた。

 

私は童顔だし、態度があまりにも生真面目で、

 

その場で浮いていたと思う。

 

けれども、ボンボンはよすぎるとはどういう意味だと

 

何度も仲居に問いただし、仲居は素直に、

 

「とてもしっかりした人だ。」とこたえていた。

 

確かしゃぶしゃぶか何かを頼んだように思うが、

 

おぼえていない。

 

何を食べても全部おいしかった記憶だけしかなかったように思う。

 

 

ボンボンはみんなに褒められてご機嫌で、

 

TBSのそばの坂道を歩いているときも

 

実に楽しそうであった。

 

私も久しぶりにのんびりした金曜日の夜で楽しかった。

 

 第七章 元々結婚式をしようと思っていなかった。


続く

 

 

 

#イタリア#結婚式#ポチ袋#エステ#結婚#アラサー#東京#仲居#ざくろ

What an amazing choice you made! Thank you very much. Let's fly over the rainbow together!