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企業再生メモランダム・第69回 プロフェッショナルマネジャー

「企業再生メモランダム」では、私が、20代の時に、複数の会社の企業再生に従事する過程で作成したメモを題材として、様々なテーマについて記載していきます。

メモの56枚目は6年前に作成した「プロフェッショナルマネジャー」と題したメモです。

これはハロルド・ジェニーン「プロフェッショナルマネジャー」の巻末にあったファーストリテイリング(ユニクロ)の柳井正社長のコメントの転載です。

メモの背景

私は、経営者には、経営哲学が必要だと考えています。

昨今は、新型コロナウイルス感染症問題など、VUCA(Volatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)の頭文字をつなぎ合わせた造語)時代ということもあってか、どうしても経営戦略やテクノロジーに脚光があたりがちです。

会社経営においては、もちろん、それらも重要なことではあると思いますが、やはり私たちは人と向き合って生きているのです。

そのため、経営者には、哲学と呼べるぐらいに昇華された人間観、職業観、倫理観などが求められるような気がします。

経営者の全人格的な情報がしっかりとまとまっていれば、中長期的な顧客関係・雇用関係をはじめ、中長期的な人間関係を築くことができると思います。

私が尊敬する経営者は、ファーストリテイリング(ユニクロ)の柳井正社長と日本電産の永守重信社長の二人です。

経営者、特にターンアラウンドマネージャーを志す人には、彼らの著書や発言は本当に参考になると思います。

メモ「プロフェッショナルマネジャー」の内容

1.僕は社員に「高い志や目標を持て」とよく言う。人は安定を求めると成長が止まってしまう。高い目標を掲げて、その実現に向けてなすべきことを確実に実行することこそ重要なのだ。目標は低すぎてはいけない。大事なのはあきらめないことだ。やり続けることである。これは、企業にもいえる。

2.現実的な確固たる目標を決め、その実現のための方法を行動単位で考えて、会社全体で実行していくことが経営だと考える。

3.現実の延長線上で考え、できるか、できないか、よくわからないうちに、「自分にはできない」と規定してしまうことは誤りだと気づいた

4.終わりから始める逆算発想の素晴らしい点は、節目ごとの目標を達成するためにしなくてはならないことを次々と示してくれることだ

5.僕は、基本的に、誰も経験していない成功のノウハウは、ほとんどありえないと思っている。他企業や他産業にできたことは、我々にもできると信じている。

6.「俺がやってやる!」という強い気持ちがない限りは、やってもムダである。

7.実行した個々の内容を具体的に分析し、因果関係が明らかになるまで考え抜く。

8.実行しなければ、何も生まれない。

9.成長し続けていくには、会社の事業目的と経営理念を明らかにし、それに共鳴してくれる人材を集めることも重要になる。仕事をするための組織と、社員と熱い情熱を語り、共有できる関係を築かなくては、組織は機能しない。

10.「組織図に含まれるすべての人びとを、共同一致して機能させ、何よりも肝要な、緊密な人間関係によって結束させた時に、初めて真の経営は始まる」

11.僕は、会社で仕事をする限り、経営トップと各事業部のメンバーは、役割は違っても、対等であると思っている。

12.会議は何でも言い合える雰囲気になっている。お互いに聞く耳を持ち、伝えるべきことは伝える。・・・情報のヒエラルキーをつくることは、まったくのナンセンスだ。

13.「経営者は自分の会社と市場の現実を知ることによってのみ、満足のいく経営をおこなうことを期待できる」

14.お客さまの顔が見えないときは、経営が危機に瀕している

15.人間はお金のためにだけ働くわけではない。働くことのやりがいは、正当に評価され、認められることにある。・・・真の経営はチームワークと正当な人事評価だと今も昔も思っている。

16.お客さまとの接点の最前線である現場が重要

17.大切な前提は、社長でも社員でもパートでも「対等」であることを、働く人々が現実に実感できることだ。お互いに努力して一つの目標を実現したいと思えるのは、全員が対等だと信じられるからだ。

18.僕は、「リーダーシップの質」とは、全員が対等で、現場の人が自分で考え、本当の自分の意見を出し合えるようにすることだと考える。

19.「楽しい繁栄の雰囲気をつくるのに最も重要な要素は、経営組織の上下を通じて、開放的で自由で率直なコミュニケーションを定着させることである」

20.目標と戦略、方法論は示すが、「あとは個々に考えて、一緒にやりましょう」と社員に言う。

21.社長の言いたいことの本質を理解し、現場では自分なりにその本質を見極め、どう具体化するかを考え、そして実行する。もちろん、実行した結果については報告を求める。

22.義務と責任を果たす意思がなければ、一緒に仕事はできない。

23.事業は社員全員の力を結集しないとできない。全員の力を結集するということは、僕は他人の存在を認め、正当に評価することだと思う。

24.経営者はリーダーシップを学べる環境づくりや、優秀な若い人材の登用という方向でもリーダーシップを発揮すべきだろう。

25.経営者が本業に専念すればするほど、必要な人材は自然に集まってくる。人脈もできる。

26.数字を見続け、読み解くことはひどく退屈な作業であるが、僕は経営者が絶対にやらなければいけないことだと思う。

27.数字を見るのが早ければ早いほど、そして数字が正確であればあるほど、それだけ早く必要な対策を打てる。そこが肝心だ。

28.数字の背後にあるものを変える発想法を学ぶことができる



本連載は事実を元にしたフィクションです。

株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介
 2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。

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