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企業再生メモランダム・第71回 皆さんにお伝えしたいこと②

「企業再生メモランダム」では、私が、20代の時に、複数の会社の企業再生に従事する過程で作成したメモを題材として、様々なテーマについて記載していきます。

「企業再生メモランダム・第70回 皆さんにお伝えしたいこと①」では、「皆さんにお伝えしたいこと」と題したメモの背景とメモの中身の一部について記載しました。

残りのメモの中身について、引き続き、ご紹介したいと思います。

メモ「皆さんにお伝えしたいこと」の中身

3.こうなりたいではなく、これをしたい!

「こうなりたいではなく、これをしたい!」

夢の定義をこのように変えてもらいたいと思います。

社長になりたい、プロ野球選手になりたい、パン屋になりたい・・・小さい頃に、多くの人は、この「こうなりたい」という話を夢だと教えられてきたと思います。

しかし、大人になって気付かされるのは、この「こうなりたい」には続きがあるということです。

社長になったら、お客様や社員の幸せのために、何をしたいのか・何ができるのかが求められます。プロ野球選手になったら、お客様を感動させるプレーや成績を求められます。パン屋になったら、お客様を満足させる美味しいパンが求められます。

つまり、その夢が叶ってからが新たなスタートなのです。

対象会社でも同じです。対象会社には、どうにか対象会社で働きたい。就職したいという若者が沢山きます。しかし、就職した先の夢は何かということをもっと考えなければなりません。

そして、このことを改めて考えていくと、ある考え・気持ちに行きつくと思います。

それは「(自分は)これをしたい!」という考え・気持ちです。本来あるべき”夢”は逆なのです。

お客様やスタッフの幸せのためにやりたいことがあって、実際にそれができる人が社長と呼ばれます。お客様を感動させるプレーができて、成績が残せる人がプロ野球選手と呼ばれます。お客様を満足させる美味しいパンを作ることができる人がパン屋と呼ばれます。

スタッフの皆さんには、毎日の仕事の中で「これをしたい!」を見つけて欲しいです。

そして、その仕事を好きになって、日々没頭して、極めてもらって、その結果、夢を叶えた人として、周りの人に紹介されるような人になってもらいたいと思います。

4.会社は人が全て

現在の対象会社の好成績の理由は何でしょうか?それは簡単です。現在の経営陣やスタッフが優秀だからです。

対象会社には強みがあります。それはブランド力・知名度であったり、立地であったりです。しかし、これらを持ちながらも、過去において、何度も倒産の危機に瀕してきた事実があります。

つまり、当時の経営陣やスタッフは、強みを活かしきれなかったのです。

なぜ強みを活かしきれなかったのか・・・逆説的ではありますが、当時の経営陣やスタッフが優秀ではなかったからです。

会社は人が全てです。

どんなに素晴らしいブランド力・知名度であったり、資産であったりを有していても、どんなに素晴らしいビジネスモデルでも、経営戦略でも、実行できなければ価値はありません。

もちろん実行するのは、会社にいるスタッフです。そのため、どのようにスタッフを強く・優秀に成長させていくかが、経営において一番重要なことなのです。

例えば、大成功した価格改定。意思決定の過程では多くのスタッフが不安を口にしていました。しかし、不安を乗り切って、しっかりと実行することができたから、今のこの大成功があるのです。

実は私は対象会社の企業再生に関与したときから、この価格改定をするべきと考えていました。ただし、この経営戦略を実行に移すには、数年もの月日と多くのスタッフの仕事に対する自信であったり経営戦略の理解であったり
成長を待たねばなりませんでした。

人を大事にする会社でなければ、会社は長続きしません。人と真正面から向き合う会社でなければ、良い会社にはなりません。

皆さんには、対象会社をより良くするために、もっと人を意識してもらいたいと思います。

昨今の対象会社の好成績は、今いる皆さんが創り出した経営成績です。

今いるスタッフはもっと自信を持って下さい!

自分に自信があれば、周囲の人にも優しくなれるし、新しいチャレンジ、新しい実行ができるはずです。



本連載は事実を元にしたフィクションです。

株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介
 2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。

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