「鉄拳制裁事件」の妄想かも的解釈

カープ緒方監督の選手への鉄拳制裁事件。
その騒動の伏線となった週刊新潮を入手して、さっそく当該記事を読んでみた。

この記事を読むまではと、事件のいたずらな推測は控えていたのだが、読んでみてもなお、それまで感じていた違和感は払拭されることはなく、疑問はさらに深まってしまった。

まず、新潮の記事の意図がよくわからない。
緒方監督暴行事件を非難するスクープ記事なのだろうと予想していたのだが、そんな勇ましいものではなかった。

『広島「緒方監督」の鉄拳制裁は是か非か』

まるで市民活動家のレポートのようにお行儀のいい見出し、そして記事の内容。
鉄拳制裁容認派と否定派の何人かにコメントをもらって適当に散りばめてのバランスの良さというか、予定調和というか、どっちつかずの切り口。
こういってはなんだが、勝負どころでヘロヘロのナックルボールを投げる情けないストッパーが登板したかのような、はぐらかされた気になってしまった。

ここに全文を転載するわけにはいかないので、記事を読まれていない方にはこちらの一方的な感想の押し付けになってしまうのだが…。

 ーなぜこのような記事を新潮は特集したのか?

そんな疑問を念頭に性懲りも無く事件の経緯をふり返って見て、ふと、ある推論が頭をもたげた。
それはこの記事がスクープではなく、カープ球団側からのリークではないのかという疑念だ。

記事によれば、事件は裏方含めてカープ球団のほぼ全員が知っていたという。
であれば、「内部報告によって事件が発覚した」とされる7月5日の意味がまったくちがったものになるのではないか。

ここであらためて経緯を整理してみたい。(詳しい内容は前回の記事にて)

〈以下、経緯〉

6月30日 横浜戦の試合後に緒方監督が野間選手を平手で殴る事件発生
7月 5日 事件が発覚 
     「監督の手が6回飛んだ」と球団関係者が新潮サイドにリーク
7月15日 緒方監督が選手全員を前に謝罪 球団が厳重注意
7月24日 事実関係を球団が公表 
      記事が出る前から「記事には誤りがある」と球団本部長が談話
7月25日 週刊新潮発売

「球団のほとんど全員が事件を知っていた」のであれば、「7月5日に事件が発覚した」のではなく、この日に事件が発覚したことにしたと理解した方がいいのかもしれない。いい換えれば球団が事件をオープンにすることに決めたのがこの日ということなのかも知れない。(その目的は後述)

そして球団関係者がそれとなく、事件をいくつかの媒体にリーク。それにたまたま週刊新潮が食いついたのではないか。

唐突な緒方監督続投表明

ところで緒方監督が選手を集めて謝罪した15日の前日、7月14日に松田元オーナーが、とってつけたように緒方監督続投を表明していた。
ちょうど11連敗をした翌日のこと。そろそろファンの堪忍袋が切れただろうと、またぞろ「ファンがいくら騒いでも監督はわしが決める」の独善スタンドプレイかと見ていたのだが、今こうして時系列のパズルにはめてみると、ちがった意味合いを帯びてくるから面白い。

緒方監督が厳重注意を受け、選手に謝罪するというセレモニーが翌日に控えていたことから考えれば、常識的にこのタイミングでの続投宣言はない。
とすれば、これは緒方監督の責任論、辞任論へと世論が傾く前に予防線を張ったという意味あいがあったのではなかったか。

つまり、緒方監督を「暴力監督」として内部告発する代わりに来季以降の監督の座は保証する。スケープゴードになってもらう代わりの論功行賞。つまりバーターというやつだ。

ではなぜ、あえて球団みずから身内の暴力事件をリークするようなことをしたのか?

それは、不祥事に積極的に向き合い対処したというポーズ、カープ球団のコンプライアンス意識の高さをアピールするためだったと考えられないこともない。(実際、カープ番記者を長くつとめたライターがWEB記事でそれらしい趣旨の記事をアップしていた)

オーナーが緒方監督続投を表明した日の前日には、こんなこともあった。

7月13日 「ズムスタ、本日も満員御礼!」発売

同書は、カープ球団がチケット販売のための抽選券配布で社会を混乱させたトラブルや公正取引委員会から勧告を受けるような不祥事など、カープ球団の非民主的な運営、コンプライアンス意識の低さを指摘する内容も含んだものとなっている。

もしここで推理というか妄想したように、一連の騒動が同書の発売に合わせての対抗措置だったとすれば、その影響を買い被っていただいたことになるわけで、その著者としては光栄といわなければならないだろう。


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手作り野球場DREAMFIELD元管理人。現ホーリー農園オーナー兼物書き。主な著書に『わしらのフィールド・オブ・ドリームス』(メディアファクトリー)、『衣笠祥雄はなぜ監督になれないのか?』(文工舎)、『初優勝』(プレジデント社)など。 —noteでの著書は下の「プロフィール」に
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