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12月26日

面白いタッチの漫画本だった。といって本紙はなく表紙だけ。それこそギャグ漫画のようにドタバタのバス旅行をしていて、ガソリンスタンドに給油に寄ったとき、車掌が知り合いの兄ちゃんから買ったのを特別に譲ってもらったのだ。コミケかなんかに出してる女流漫画家か、名前は見覚えがなかった。(そもそも漫画家をほとんど知らないが)内容は自虐ネタだろうと、そのタッチからおおよその展開は想像できた。同乗のおばさんが完成本を買っていたのでざっと見せてもらった。なるほど、なストーリーだった。「これなら日記に解釈を書ける」と夢のなかで納得していたのだから、偉いもんじゃないか。いつの間にか日記が血肉化しておるようだ。そういえば、きょうで日記をはじめてちょうど一か月のアニバーサリーだ。3日ももたないだろうからそのときは自虐ネタで締めようと思っていたのだが、「継続は力なり」なーんて箴言を宣えるやつになってしまった。

4時に起床。5時から「8月6日のバット」(仮題)校正作業。さすがに年内には済ませないと、とネジ巻いて3時間近く集中。ようやくゴールが見えてきた。

日中は年末の大掃除。今日は本の整理をした。すると眠っていた探し物がいくつか出てきた。鉛筆画家の吉村芳生さんが描いてくれたポートレートが先日見つかったばかりだが、そのご本人の連作自画像の画集が出てきた。これも以前、「売れるかも」と探していたものだ。700部限定で自己出版したものらしいから希少価値はありそうだ。(笑)

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また、思わぬものも出てきた。「TO FUTURE」という冊子。ハードコアパンクバンドのボーカリストにしてレコードショップのオーナーである大小田伸二氏が発行人で、被爆・平和・反原発などをテーマにしている意識の高い系刊行物。いわゆるプロの編集者の手によるものではないのだが、企画もしっかりしているし、何よりよくつづいている。立派なものだ。
2015年8月6日発行の第9号をペラペラやっていたら、自分の原稿があった。「被爆70年からの未来」のテーマで、詩のようなものを寄稿していたのだ。あらためて読んでみて驚いた。6年前のそのとき、すでに「8月6日のバット」の構想を持っていたのを確認したからだ。
これも備忘録として、ここに転載しておこう。

滅び行く帝国のための詩的祈り


おれたちはG.H.Qという禍々しい鷲に
「罪悪感」の呪いをかけられた
キノコ雲の下で、恐怖のなかで
原子爆弾の投下という忌まわしい行為の
「最悪感」を塗り替えるために
人類史上最悪の罪の告発をさせぬために
おれたちは七十年間
ありもしない罪の「罪悪感」によって立ちすくんできた
こころに秘めていた正義を
発動することができなかった
ありうべき国になれないのは
本当の夢がつかめないのは
この呪いのためだ
七十年間守られてきたものを疑え
権威も価値観も、そして人間も
それは洗脳されたふにゃふにゃの
白い脳が映じてきた幻影だ

昔、詩人は「父を返せ」と叫んだ
「母を返せ」と働哭した
しかし奪った者は、返すことはない
還らないものを求めるな
みずからが変われば
父も母も微笑んでくれるだろう
呪いによって入れられたスイッチを
シャットダウンしろ
過去に封印されたスイッチを
オンにしろ
もやもやの霧がはれるように
七十年の幻影は消滅する
おれたちは呪いから解放され
成し遂げるべきビジョンが
大いなる光の向こうに見えるだろう
一歩前に

いまから七十年の未来に

イキってるというかリキんでいるというか、そこはご愛嬌だが、コンセプトの核がここに表現されていた。   

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