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睡眠負債?ガン予防?「寝る」健康法とは

最近、健康関係のことをよく調べているのですが、今回は睡眠の健康への効果についてまとめようと思います。想像以上に重要な事実が分かりました。

睡眠負債の脅威

最近、よく聞くワード「睡眠負債」。睡眠不足で起こると言われていますが、どういうものか、どう対策すべきか、見ていきましょう。

睡眠負債は、日々の睡眠不足が借金のように積み重なり、心身に悪影響を及ぼすおそれのある状態を指します。睡眠負債が溜まると、癌、高血圧、認知症、心疾患のリスクが高まるとされています。

Wikipedia情報によれば、ペンシルベニア大学で睡眠負債に関するいくつかの研究報告があるようです。それによると、

● 6時間睡眠を2週間続けた被験者グループの脳の働きは、2晩徹夜したグループと同程度まで低下する(2003年報告)。
● 寝だめなど短期間の長時間睡眠では、眠気が解消されることはあるが、注意力や集中力の回復は期待できない(2013報告:30人の被験者に行った13泊の睡眠実験)

6時間の睡眠では不十分であり、寝だめは睡眠負債の解消にはならない、というのが、上記の研究の重要なポイントといえます。

睡眠負債の解消には、日々、少なくとも6時間半~7時間の睡眠が必要のようです。また、15分程度の昼寝をすること、メラトニン分泌のために朝の日光を浴びること、夜間のスマホ画面等のブルーライトを避けることなどは、睡眠負債軽減に有効とされています。

ただ、睡眠そのものの健康との関係性は未だ研究途上で、メカニズムとして理解するには、今後の研究成果を待つ必要があるといえます。

良質の睡眠に重要なホルモン・メラトニン

睡眠負債を調べた中で、メラトニンというホルモンが重要であることが分かりました。実はこのホルモンは、免疫力向上に非常に重要な効果があるようです。

睡眠の問題は大きく分けて、一つは睡眠を十分とって睡眠負債を溜めないこと、もう一つは、生活リズムを整えてメラトニン分泌を阻害しないこと、この2点に集約されると思います。

前者は先に述べたように、具体的な健康への影響は研究途上の段階といえますが、後者については、免疫力の向上がん予防の点で既にメカニズムが明らかにされています。

睡眠の生活リズムを支えるホルモン・メラトニン

メラトニンは眠気をつかさどるホルモンです。脳の松果体という部分から分泌され、メラトニンが体内に産生されると眠気を催します。

明るい光にさらされるとメラトニンの分泌は抑えられ、暗くなると促進されます。夜眠くなるのは、暗くなってメラトニンが分泌されるためであり、照明で部屋が明るいと眠りにくいのは、光によってメラトニン分泌が抑制されるためなのです。

生活のリズムが乱れ、睡眠障害が起きる時は、メラトニンが十分に分泌されていない状態でもあります。

重要なのは、メラトニンは抗がん作用などの免疫力にもかかわる物質であることで、そのため、メラトニン不足は単なる睡眠障害の問題にとどまらず、免疫力の低下やがん発生リスクの高まりなどにつながる重要な健康問題と関係します。

加齢とともに低下するメラトニン

東京銀座クリニックのウェブサイトには、睡眠のメカニズムやメラトニンの効果について詳しくまとめられています。それによると、メラトニンは一日の中で夜の2時頃に最も多く産生されるようです。また、若いほど産生量が多く、加齢に伴って減少していきます。

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おじいちゃんやおばあちゃんが、なかなか眠れない、とか、朝とても早く起きる、という話はよく聞きますが、それはメラトニンの量と関係していると考えられます。

また、メラトニンが抗がん作用があることを述べましたが、高齢になるほど、一般にがんが発生しやすくなるという傾向も、メラトニンの産生量と関わっていると理解できます。

メラトニンと免疫の関わり

自己免疫力の主力であるリンパ球は、メラトニン受容体というパーツを持っていて、メラトニンが分泌されると活性化されるようになっています。

風邪をひいたら、薬を飲んで寝る

よくある対処法ですが、メラトニンの作用の観点で見ると、この「寝る」という部分が非常に重要なのだと改めて理解できます。メラトニンを分泌して、眠くなり寝る→自己免疫がメラトニンで活性化する→風邪が治る 病気が治るプロセスにおいて、寝ることは非常に重要で、寝て治る理由は免役の作用であり、その免疫をメラトニンが強化しているというのです。

がん治療に重要!細胞性免疫力を強化するメラトニン

免疫力には大きく分けて2種類があります。

病原菌やウイルスに対し、抗体を産生して攻撃する液性免疫と、体内に潜むがんやウイルスに感染した細胞を直接攻撃する細胞性免疫の二つです。人体の免疫力は、液性免疫か細胞性免疫、どちらに軸足を置くか、というバランス調整を常に行っています。基本的に両方強化されるということはないようです。

上述のように、がん治療については、液性免疫ではなく細胞性免疫が重要になります。がんが治りにくい病気である主要な要因は、免疫機構の偏り発生があるようです。上述のように、がんに対しては細胞性免疫が効力を持ちますが、がんが存在する身体はなぜか液性免疫優勢になってしまいます。つまり、がんを攻撃しにくい免疫体制になってしまうのです。

これに対し、メラトニンは免疫バランスを細胞性免疫側に作用させる効果があり、がんを攻撃しやすい免疫の体制づくりを行います。

他にもあるメラトニンの重要な効果

この他にもメラトニンには重要な効果が幾つもあります。

がん細胞増殖の抑制効果
がん抑制因子といわれるp53というたんぱく質の産生を促進し、先ほどの免疫力の活性化とは別の機構で、がんを抑制します。

動物実験では、乳がん、前立腺がん、悪性黒色腫、白血病などで、がんの増殖を抑える効果が確認されています。人間の場合でも、多くの固形がんで生存率を向上させる効果が報告されています。

活性酸素撃退の効果
あらゆる病気の原因とされる活性酸素ですが、メラトニンにはこれを取り除く効果があります。

活性酸素以外にも、一酸化窒素、過酸化脂質などのフリーラジカルを持つ物質の除去能力を持ちます。同様の効果を持つビタミンEよりもメラトニンは効果が高いとされています。

また、その他の体内の抗酸化作用を持つ酵素(グルタチオンペルオキシダーゼ、スーパーオキシドデスムターゼ、カタラーゼなど)を活性化させる効果もあり、身体全体のアンチエイジング能力を底上げします。

サプリ等によるメラトニン接種は重要か?

こうしたメラトニンの機能を活かした健康増進は、どうも寝ればいい、ということではなさそうです。

寝ることは重要ですが、これは、寝ないとメラトニンの産生量が落ちる、という意味で重要といえます。ちゃんと寝ていても、メラトニン自体は加齢とともに落ちることは先に述べたとおりです。

このことを考えると低下したメラトニンをサプリ接種で補強することは、長期的な健康を考える上で重要と考えられます。

先に紹介した銀座東京クリニックの記事によれば、睡眠障害には1~3mg、老化防止・がん予防には5~20mg、進行がんの治療には40mg程度のメラトニン接種が効果的であるようです。

副作用は?

基本的にメラトニンの副作用は少ないようです。ただし、以下の点には要注意です。

リュウマチ等の自己免疫疾患
リュウマチ、悪性リンパ腫、白血病などは、細胞性免疫の過剰反応による病気です。細胞性免疫を強化するメラトニンはこれらの病気を悪化させる作用となります。

血友病などの疾患
メラトニンには血液凝固作用を弱める効果があります。健常者は気にする必要はないですが、血液凝固作用の異常疾患や血液凝固作用を抑制する薬物(ワーファリンなど)を使用中の場合、メラトニンの摂取は控えるべきです。

その他
ラットの実験では、一日辺り100mg/体重kg のメラトニン投与で明確な副作用がないことが確認されています。人間に換算した場合、一日に数グラムを摂取しても問題ないレベルです。最も多量の服用が必要な進行がん治療の服用量(40mg)でも、副作用を心配する水準より、はるかに低いといえます。

終わりに

睡眠の健康への影響と睡眠に関わるホルモン、メラトニンについてまとめました。

問題は大きく2つで、睡眠をとること、メラトニンの量を多くすること、の二つが重要といえます。

前者は睡眠負債の問題で、後者は生活リズムの問題です。ただし、生活リズムを整えていても加齢によってメラトニンは減っていくので、サプリによる補充も重要かもしれない、ということが分かりました。

メラトニンを摂取することの副作用はほとんどないようですので、サプリの購入は真剣に考えたいなと思った次第です。

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