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業界·企業研究①業界·企業を知るなら、営業利益率を見ろ!〜知ってほしい会計知識〜

始めに

 お忙しい中、本稿を読んで頂きありがとうございます。

 最後まで読み終わったら、既読の証として♡マークを押していただけると励みになります。宜しくお願い致します。

 本稿のテーマは、業界·企業研究①「業界·企業を知るなら、営業利益率を見ろ!」〜知ってほしい会計知識〜です。
 本稿と後日掲載する業界·企業研究②「3つの視点で業界構造を理解しよう」は、関連性があるので、2稿セットで読んで頂けると理解深まると思います。よろしくおねがいします。


本稿の目的~企業研究の補助線に~

まずは、業界·企業研究の初回ということで、業界·企業研究をする目的から考えていきましょう。

 そもそも就活の理想型とは、「自分と自分に最適な企業がマッチングすること」と定義付けられるでしょう。

  • 自分→自己分析で明確化

  • 自分に最適な企業→業界·企業研究で明確化

という風に考えると、業界·企業研究の重要性を理解できるでしょう。
 自己分析と業界·企業研究がきちんと行えれば、就活が成功する確率は、かなり高まります。

 しかし、業界·企業研究は難しいです。
就活生の皆さんは、会社で働いたことがないわけです。業界·企業のことが分からなくて当然です。
 企業で働いたこともないのにホームページの企業紹介ページを見たり、就職説明会で30分程度の簡単な説明を聞くだけで業界·企業を深く理解できる人なんていません。

 そのため、本稿では、「業界·企業研究の理解を助ける補助線」を皆さんに提供することをゴールとして執筆させて頂きます。

 但し、注意して頂きたいことがあります。あくまで「理解を助ける補助線」ということです。
 先程就活の定義の中で「自分に最適な企業」と書かせて頂きました。どんな企業が最適なのかは、人それぞれ違います。
例えば、、、

  • 「世界中を飛び回りたい人」

  • 「潰れない会社に就職したい人」

  • 「給料が高いほうがいい人」

  • 「残業少ない会社がいい人」

  • 「育児関連の制度が充実している会社がいい人」

など挙げ始めたらキリがありません。

 本稿では、業界·企業研究のやり方を一から十まで全てお伝えするようなことはしません。
 何故なら、ゴールが人それぞれ違うわけですから、当然その過程として必要な研究も人それぞれ違うからです。
 皆さんは、自分に最適な企業を見つけるために自分に必要な研究を行ってください。

 しかし、いきなり自分なりの研究なんて言われても難しいと思います。
 本稿は、皆さんが行う研究における一歩目の踏み出す方向を指し示す内容になっていると思いますので、最後までお付き合い下さい。


利益率の重要性

 では、いきなりですが、私が考える「業界·企業研究の理解を助ける補助線」とは何かをお伝えしようと思います。

それは、「決算書において企業活動の結果である利益率(営業利益率)を調べ、その原因を逆算して市場規模·コスト·シェア割合の3つ視点から分析すること」です。
※前段に関して本稿で説明します。後段は、次稿で説明します。
※利益率=利益/売上で定義します。

では、なぜ利益率に注目するのでしょうか。
高い利益率がもたらすものを考えていきましょう。

 
利益率が高いということは、効率良く利益を得ているということになります。
 効率がいいわけですから、労働時間は短くて済みますし、有給休暇や産休だって取得しやすいでしょう。

 また、規模の割に高い利益が出ているのですから、同規模の会社に比べて、福利厚生も手厚く、給料も比較的高くなりやすいです。

 最後に経営面からも見てみましょう。利益率が高ければ、投資家からの人気が高まり、株価が上昇します(上場企業限定)。その結果、資金調達が容易になることで、新規事業などやりがいを感じやすいチャレンジングな仕事が創出されます。
 また、資金調達によって、財務基盤も盤石になるので、会社の安定性も高くなります。

 このような環境下ですから、経営者·社員共に心に余裕を持った状態で活き活きと働くことができます。パワハラなどの理不尽なことを受ける可能性も比較的少ないでしょう。
 以上のことから、高い利益率は、ホワイト企業の源泉であり「利益率が高い業界≒良い業界」だといっても過言ではありません。


利益についての会計知識

ここまでで利益率の重要性を理解して頂けたかと思います。
 では、ここからは利益率を見る上で知って頂きたい知識をお伝えします。

まずは、利益とは何か。
利益=得たお金−出ていったお金です。
この「得たお金」と「出ていったお金」という範囲をどこまで含めるかによって、利益は3種類に分類されます。

  1. 営業利益(本業で得た利益)

  2. 経常利益(本業以外の取引まで含めた利益)

  3. 当期純利益(最終的に残った利益)

それぞれ解説します。

1.営業利益(本業で得た利益)

 各会社には、本業があります。ケーキ屋さんなら、ケーキを販売すること。自動車メーカーなら、自動車を販売することです。
営業利益=本業で得たお金−本業で出ていったお金
になります。
 会社員で考えれば、勤めている会社からのお給料と考えて下さい。
 この営業利益は、本業の収益性を表します。

2.経常利益(本業以外の取引まで含めた利益)

 経常とは、「常に」という意味です。つまり、経常利益とは本業ではないが、毎年発生するお金のやり取りまで含めた利益になります。
 代表例でいえば、「負債にかかる利息の支払い」や「株の取引などで得た配当金や売却益」などです。
経常利益=営業利益+本業以外で得たお金−本業以外で出ていったお金となります。
 経常利益は、「通常1年間を通して得た利益」を表す指標となります。

3.当期純利益(最終的に残った利益)

 当期純利益は、最後に残った本当の利益です。経常利益との違いは、「今年だけ発生した特殊なもの」に関するお金の出入りも含めることです。火災や地震、台風などの災害などがこれに当たります。
例えば、「毎年赤字続きの会社」と「毎年黒字なのに地震発生によって自社工場壊れ、補修に費用をかけた結果、赤字になった会社」があるとします。
同じ赤字とはいえ、倒産の危険性も同じかと言われると違和感がありますよね。
当期純利益=経常利益+今回だけ発生した特殊な事象で得たお金−今回だけ発生した特殊な事象で出ていったお金となります。
 メディアで一般的に使われる利益というのは、この当期純利益のことを指します。

以上、3つの利益を解説しました。

~注目すべき利益は、営業利益~

 この3つの利益の中で注目して頂きたいのは、営業利益です。 
その理由は、本業が傾いている会社には、未来がないからです。
 本業の赤字をその他の黒字でカバーして、当期純利益を黒字化させたとしても、そんな小手先のテクニックでは、近い将来に終わりが来ます。(設立したての企業は、除く。)
 逆に本業が黒字なら、当期純利益が赤字になっても、立て直すことは十分可能です。

 メディアで「〇〇株式会社赤字!」という記事が掲載されると「〇〇株式会社ヤバい!」とこれまで思ってきた方が多いと思います。
 今後はメディアに踊らされず、「営業利益がどうなっているのかな?」と冷静に考えて頂きたいと思います。


営業利益率の活用法

 さて、ここまでで利益率が大事であること。特に営業利益率が大事であることがお分かり頂けたかと思います。
※営業利益率=営業利益/売上

 では、気になる業界や企業の営業利益率をどう活用していけばいいのでしょう。
次にやることは、他の業界や企業と営業利益率を比較することです。
営業利益率の日本全体における平均は、約3%と言われています。自分の気になる業界や企業は、この平均を超えているのか調べてみてください。

 ネット上には、利益率ランキングが掲載されているページが沢山あります。業界単位であれば、当期純利益ベースの利益率ランキングで十分ですので、是非参考にしてみてください。(但し、コロナ禍の影響が大きいので近年のランキングには、ご注意を。)

 下記に当期純利益ベースのランキングが掲載されているページリンクを添付します。↓


 いざ利益率ランキングを見てみると、「なんでこの業界って利益率がこんなに高いんだろ?」という疑問をもたれた方も多いのではないでしょうか。

「なぜこの業界·企業は、利益率が高いのか」

この疑問は、「決算書において企業活動の結果である利益率(営業利益率)を調べ、その原因を逆算して市場規模·コスト·シェア割合の3つ視点から分析すること」
この一文の後段にあたる部分を使ってお話したいと思いますので、次稿をお待ちください。


最後に

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