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理系大学生の10日間瞑想合宿体験記 vol.1


▶ヴィパッサナー瞑想合宿に参加


先日、千葉の山奥で行われている、ヴィパッサナー瞑想を学ぶ10日間のコースに参加した。現場までは、自宅から公共交通機関を用いて4時間以上かかった。

この十日間、参加者は肉や魚を食べることが出来ず、スマホやパソコン、テレビなどを見ることも出来ない。また、コース中は施設の敷地外に行くことは許されず、10日目の朝まで他の参加者とのコミュニケーションも禁止される。

以上のような制約は非常に息苦しいもののように感じられるが、徹底的に瞑想を実践し、己と向き合うことが出来るのである。

▶参加を決意した理由


私は、「スポーツ、音楽、仕事、勉強などの様々な場面で、自身の実力を最大限に発揮するにはどうすればよいのか?」という事を高校時代から研究してきた。
現時点で、私が実力をフルに発揮するために重要な事の一つとして確信しているのは、「今現在起こっていることを、何らの評価、判断を加えずにありのままに見る」という事である。
物事をありのままに見ることが出来れば、「これは正しい」「これは間違っている」「こういう風にしなければいけない」「恥ずかしい」といったプレッシャーや固定観念が、単なる思い込みに過ぎないことが分かってくる。すべては思い込みであることが分かれば、思い込みを取り払い、本当の自分のスウィング、自分の振る舞い、行動が出来るようになる。自分に正直に生きることが出来るようになる。

ヴィパッサナー瞑想は、この「物事を評価せずに見る」ことを実践する瞑想である。あるネット記事でヴィパッサナー瞑想体験記を読んだときに、「これはぜひとも体験したい!」と思い、ちょうど大学が春休みに入って時間が有り余っていたこともあり、すぐにコースに申し込んだ。

▶びっしり埋まった時間割


以下に、コース中の一日の時間割を示そう。

4:00 起床
4:30~6:30 瞑想
6:30~8:00 朝食及び休憩
8:00~9:00 グループ瞑想
9:00~11:00 瞑想
11:00~13:00 昼食及び休憩
13:00~14:30 瞑想
14:30~15:30 グループ瞑想
15:30~17:00 瞑想
17:00~18:00 ティータイム及び休憩
18:00~19:00 グループ瞑想
19:00~21:00 講話
21:30 就寝

見ての通り、朝から晩までびっしりと時間割が組まれている。洗濯やシャワー浴びは、休憩時間に行うことが出来る。一日に10時間以上瞑想するという、何やら受験時代を彷彿とさせるスケジュールだ(受験生の時でも一日に10時間などめったに勉強しなかったが笑)。

ただ、いつもは8時間ほどの睡眠をとっている私にとって、6.5時間の睡眠はいささか短すぎたようだ。早朝の瞑想時間には、寝てしまう事も少なくなかった。休憩時間は、専ら寝て過ごした。それ以外に特にやることがないのである(笑)。

▶0日目 いざ行かん


それでは、ここからは実際の体験を書いていこう。

●施設につくまで

水曜日のお昼過ぎ、ご飯を食べたのちに出発。現地へは電車やバスを乗り継いで4時間以上。長旅である。荷物は、指定された持ち物のみ。筆記用具や本は、持ってこないでくださいと言われていたので、素直に置いていった。約4日分の着替えがあるので、そこそこの重さと体積にはなる。

最寄り駅につくと、バス停には長い人の列が出来ていた。皆、キャリーケースやボストンバッグを持っており、自分と行き先が同じであることが容易に分かった。コースが始まる前くらいは人としゃべっておきたいと思ったのだが、なぜかみんな黙っている。その雰囲気に合わせるように、私も押し黙ったままバスに乗車した。バスが目的のバス停に到着すると、施設まで送迎してくれるトラックと人がいた。重い荷物をその人に預け、私は施設まで20分ほど、他の参加者3人と歩いた。道中では、各々の身の上トークでおおいに盛り上がった。

●施設に到着

施設は、本当に下界から隔絶されていた。「これから十日間、ここで過ごすのか」とワクワクドキドキな気持ちになった。

到着したら、まず受付でコース参加登録書を書いた。「コースの規律をきちんと理解し、それに反しないことを誓いますか?」「10日間、この施設から出ないことを誓いますか?」といったような確認事項が記載されていたと思う。めちゃめちゃ厳重だな、とちょっぴりひるんだ。

その後、財布とスマホを係の人(奉仕者と呼ばれる)に預けた。10日間スマホを触らなかったことなど、スマホを手に入れてからは一回もなかったので、非常に楽しみだった。

それが終わると、宿舎のほうに行き、自分の個室で荷物をおろしたり、持参した枕カバーやシーツをセットしたりした。個室は、三方を壁、出入り口をカーテンで仕切られており、非常に快適だった。

18:00からは夕食の時間だった。バイキング形式で好きなだけ食べれるのだが、メニューの中に肉や魚は入っていなかった。が、野菜と穀物、米だけでも十分においしい食事であった。
この時印象的だったのが、男女のおしゃべり具合の差である。女性のブースからは賑やかな話声が食事中ずっと聞こえていたが、男性の方は誰一人としてしゃべろうとしなかった。あれ~、と思いつつみそ汁を黙ってずずず~とすすっていた。

●いよいよコース開始

食事が終わると、コースを受けるにあたっての注意事項や、施設の紹介などがされた。「ここからは10日間この施設から出ることは出来ません。今ならまだ帰れます。帰りたい人は言ってください。」的なことが言われたと記憶している。だがしかしここで帰る人はさすがにいなかった。

20:00ごろから、コースが開始された。ここから、10日目の午前までは「聖なる沈黙」として、生徒間でコミュニケーションをとることが出来ない。普段あまりしゃべらない自分なのでそこまで生活に影響はないだろうと思っていたが、コース終盤には人と話したくて仕方が無くなった(笑)。

1日目から4日目の午前までは、アーナパーナ瞑想といって、呼吸や、鼻腔の周りの感覚に意識を集中する瞑想を行う。
0日目の夜は、瞑想ホールに全員が集まり、S.N.ゴエンカ氏(ヴィパッサナー瞑想の指導者)から任命を受けたというアシスタント指導者の方二名から、アーナパーナ瞑想のやり方を教えていただいた。

21:00になると、アシスタント指導者から「お休みください」と言われ、一瞬戸惑ったが皆無言で宿舎のほうへと向かっていった。

●10日間の始まり

ここから、長い長い10日間の合宿が始まる。私はワクワクしながら床についた。

次の記事からは、10日間の合宿の様子を覚えている限り仔細につづっていきたいと思う。

瞑想合宿体験記vol.2(つづき)はこちら


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