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きっとここにしかない喫茶店で

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「きっとここにしかない喫茶店で」という小説のまとめマガジンです。 以下あらすじです。 22歳の沼田ミカは短大を卒業後、第一志望の会社に就職し、順調な日々を過ごしていた。しかし、…
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記事一覧

【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】 きっとここにしかない喫茶店で(16)

第十五話はこちらです。 エピローグ:フラットホワイトのお姉さん第十六話  沼田ミカは二十…

藤花スイ
9日前
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【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】 きっとここにしかない喫茶店で(15)

第十四話はこちらです。 第十五話 「話には聞いていたけど、おもしろい人たちだったね」  …

藤花スイ
11日前
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【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】 きっとここにしかない喫茶店で(14)

第十三話はこちらです。 第十四話  今日は秋祭り。ミカとタクミは二人で訪れていた。さまざ…

藤花スイ
11日前
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【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】 きっとここにしかない喫茶店で(13)

第十二話はこちらです。 第十三話  夜、ai's cafeに二つの人影があった。ミカとマスターだ…

藤花スイ
12日前
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【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】 きっとここにしかない喫茶店で(12)

第十一話はこちらです。 第四章:秋祭り限定! 木の実のキャラメルブロンディ第十二話  沼…

藤花スイ
13日前
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【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】 きっとここにしかない喫茶店で(11)

第十話はこちらです。 第十一話  三日前に梅雨が明け、夏がやってきた。七夕には間に合わず…

藤花スイ
2週間前
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【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】 きっとここにしかない喫茶店で(10)

第九話はこちらです。 第十話  春の陽気にも久しく会わず、曇りや雨の日が多くなってきた。梅雨の季節だ。  自称恋愛中、名実ともに会社員の沼田ミカは、今日も仕事を終え、傘を片手に歩いている。雨の日の日暮れ直前、背景は灰色で、紫陽花の赤紫が目立つ。ヘクソカズラの黒紫色の花でさえも、この景色には映えるようだった。  ミカは「今日こそあの人に会えるかな」と思いながらいつもの道を歩いている。先月、覚悟を決めたミカは相談屋の予約をした。あの男とぶつかってみようと気持ちを整え、準備

【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】 きっとここにしかない喫茶店で(9)

第八話はこちらです。 第九話  はてさてと、二人の馴れ初めを改めて頭の中にインストールし…

藤花スイ
2週間前
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【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】 きっとここにしかない喫茶店で(8)

第七話はこちらです。 第三章:夏期限定! スリランカ式スパイスカレーと紅茶セット第八話 …

藤花スイ
2週間前
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【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】 きっとここにしかない喫茶店で(7)

第六話はこちらです。 第七話  春が本格的にやって来た。桜が一斉に咲き、そして夢であった…

藤花スイ
3週間前
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【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】 きっとここにしかない喫茶店で(6)

第五話はこちらです。 第六話  マスターを一人にしておこうという男の意向のもと、二人は店…

藤花スイ
3週間前
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【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】 きっとここにしかない喫茶店で(5)

第四話はこちらです。 第五話  試食会が始まって二十分ほどが経ち、いまは三人で話し合って…

藤花スイ
3週間前
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【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】 きっとここにしかない喫茶店で(4)

第三話はこちらです。 第二章:春期限定! サクラコーヒー&ケーキセット第四話  沼田ミカは…

藤花スイ
1か月前
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【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】 きっとここにしかない喫茶店で(3)

第二話はこちらです。 第三話  部屋を出てから数秒間、ミカは立ち尽くしていた。全てがジェットコースターのようで、大切なものが頭から抜けてしまったような、逆に大切なものを胸に取り戻したような、そんな新しい感覚に呆然としてしまっていた。 「あのぉ、大丈夫ですかぁ?」  ミカの様子に気がついたのかマスターが声をかけてきてくれた。なぜか話し方が芝居がかっている。 「おつかれさまでした。その顔を見るに得るものがあったようですね」 「えっ、私の顔何か変わってますか?」  ミ