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行動経済学を学んでデザインをブラッシュアップしよう!

Google、Apple、Facebook、Amazonといった誰もが知る企業では行動経済学を企業文化として取り入れ、商品開発やマーケティングなどのデザインに活用しています。

行動経済学は比較的新しい学問で、学ぶ事で人がどのような観点や心理から物事を判断しているのかを理解できるようになります。

私のnoteでは主にUIデザインに関する内容を発信していますが、今回はもう少し広義の意味でのデザインのお話をします。

デザイナーはもちろんエンジニア・リサーチャー・商品開発・マーケティングといった様々な職種の方が行動経済学に興味を持つきっかけとなり、今後のプラスになる事を期待しています。

UIでの活用例

これはみんなが大好きなAppleのiPhoneです。この画面のUIデザインには行動経済学が活用されています。どこか分かりますか?

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iPhoneはどういった順で並んでいるでしょうか。私たちは商品一覧や料金プランなどをつい安易に安いものから順に並べがちですが、iPhoneは高い金額のものから並べています。

これは52,800円を見た後に106,800円を見るととても高く感じますが、106,800円を先に見せるとそれが基準値となり52,800円が安く感じられるからです。

このように先に与えられた数字によってその後の判断や印象が歪められるバイアスをアンカリングと言います。

この事からAppleの開発者には行動経済学を理解している人がいることが読み取れます。

なおAmazonの二重価格はその代表例です。

サービスでの活用例

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こちらは2009年にamazonが買収し話題となったZappos!のサイトです。
今では靴のオンラインショップでは当たり前となりつつある「送料と返品を何回でも無料」にする事によって安心して靴を買える販売方法を(世界で初めて?)行ないました。

人は何かを得るよりも失う事を嫌う傾向があり、損失を最大限回避しようとする損失回避というバイアスがあります。

そこでZappos!では送料と返品を無料にする事で、靴のサイズが違う、色が違うといった失敗による損失をゼロにする販売戦略を行いました。

また送料と返品を無料にすると返品が多くなり誰も買わないのではと懸念する人が必ず現れますが、人は自分が所有したものは本来の価値に見合わないほど価値を高く感じ、手放すのを損失と感じる保有効果というバイアスがあります。

そのため一度手にした商品は返品したくなくなるわけですね。2つのバイアスを上手に活用した販売方法です。

なおサプリメントや映像音楽サービスの初月無料などもこれらのバイアスを活用しています。

習慣化した行動に対する活用例

日本の経済産業省や環境省も政府内に行動経済学をベースとしたナッジユニットという団体を設置しました。
彼らは現在30万世帯に電気料金の使用状況のレポートを送付しその効果を検証しています。

低炭素社会への移行は国にとっても人類にとっても重要な課題です。
しかし人は地球や未来のためになると分かっていても、それをモチベーションに省エネを継続的に行う事はなかなかできません。

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そこでナッジユニットは人は自分に近しい人の行動を真似るという社会的証明というバイアスを利用しました。
レポートの左側には「よく似たご家庭の使用量を8%上回っています」と一番目立つように書きました。

また「省エネをすると20,000円お得です」ではなく「よく似た家庭よりも20,000円出費増です」と書く事で損失回避のバイアスも利用しています。

他の家庭と比較する事で省エネが促進されるという事は既にアメリカやインドの政策で実証されています。

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この取り組みにより平均2%のCO2削減効果が出ており、金額にして年間でおよそ3兆円もの電気代の削減になると環境省は試算しています。

こういった些細な取組みで人の行動を大きく変える事ができるのはとても凄い事ですよね。

まとめ

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このように行動経済学は、UIやサービスのデザインをブラッシュアップできるだけでなく、習慣化した行動を変えるのにも効果的です。

そして世の中にある成功している製品やサービスは既に利用しています。

人はそもそも変化を嫌う生き物。さらに今の時代は情報過多のため、単に情報を発信するだけでは期待するリアクションを得る事が難しい事も多いはずです。

人の購買行動を左右するバイアスを理解する事で、課題解決のための最適なデザインを手にする事ができます。

今後もこのnoteでは行動経済学をデザインに利用する方法を書いていく予定ですが、自ら書籍やネットを通して行動経済学を学ぶ人が増えるきっかけになれば嬉しいです。

必ず今後のあなたの武器になります。

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