ヨガで体を痛めてしまう理由
「ヨガで体を痛めました」という声をよく聞きます。
せっかく練習しているのにケガをしてしまうのはもったいないし、ヨガってそもそもケガをするようなものではありません。
僕はヨガインストラクターの方に解剖学の講座をしています。からだの構造にのっとった正しい動かし方を伝えています。
「そのやり方では体を痛めてしまう」という場面を見かけることもあって、大袈裟かもしれませんが、ケガに向かって体を痛めつけるようにアーサナをしている人もいます。
今回は、ヨガでからだを痛めてしまう取り組み方について3つ書いていきます。気をつけてほしいです。
ポーズの完成形を目指している
無理にポーズの完成形を目指していることが一番大きな理由かと思います。
教科書にのっているようなポーズを見ると、キレイでかっこいいので「わたしもカッコよくポーズをとりたい」(気持ちはわかります)
見た目としてはいいお手本なのですが、その通りに実践すると痛めてしまいます。
なぜなら、体も心も人それぞれ違うからです。その個性に応じた進み方があります。急にポーズの形を目指そうと思っても、難しい人もいます。
個性は別々のものなので、みんなが完璧に同じポーズを取れるかといえば、それは無理があります。
見本となる人は参考にしながらも、自分の感覚を大切にしてください。
人のからだは負担があると苦しかったり、痛みがあったりきちんと訴えてくれる能力があります。
でも、外のことに注視することに慣れすぎて、その感覚が鈍っていたり、気づきにくくなっていたりします。
ヨガを正しくしていると、からだの感覚が研ぎ澄まされてくるので、ヨガでケガをすることはなくなるのが本来です。
負担があるようなことは自分で気づくようになります。
先の結果(ポーズの完成形)に執着せずに、今の自分のからだが少し楽になるかんじ、ゆるむかんじ、正しい位置におさまる感覚などを優先します。
そのうち勝手にポーズが変化するのが、からだのすばらしいところです。
体が持っている能力を信じられない
身体の反応に従うことができず次々に進めていこうとするのも、からだを痛めてしまう理由です。
自分の持っている能力を知らずに、がむしゃらに実践して酷使していることもあります。
からだを信じてあげられていないのです。
からだのことを学ぶと、自分が持っている能力のすばらしさに気づきます。
新しいものをどんどん手にしようとする必要はありません。
では、自分が持っている能力とは?
例をあげてみます。
骨折の場合
人には、骨が折れたら「治る」という能力がありますよね。がんばったからといってすぐに治るわけではありません。
「骨が折れた。修復しよう」と、体が勝手に時間を使って行っています。
身体は徐々に必要な変化をして骨折は治ります。
筋トレしたいけど出来ない場合
例えば、腕立て伏せができないのであれば、まずは腕で体を支えるだけでもいいんです。体はその刺激に対して強くなろうとします。
毎日少しずつ刺激を加えると「またこの刺激が来た。腕で支える力も必要なんだな」と、体は勝手に強くなるように変化してくれます。
腕立て伏せをするのは、その次のステップでいいんです。
体は、ただがむしゃらにがんばったからといって、すぐに変化するわけではない、ということです。
がんばりすぎてリラックスを忘れている
努力をすることが美徳とされていた日本では、それがいきすぎて、
「がんばらないといけない」
「努力しないと成果が出ない」
「人よりも何倍も練習しないといけない」
と、思う方が多いように感じます。
でも、体はそのようにはできていません。(心もそのようにできていません)
体はポジティブな感覚、楽しい、気持ちいい、リラックスしている、という感覚と共に緩んで、拡張していきます。
筋膜は、辛い、怖い、痛いなどの感覚があると、身を守るために緊張して伸び伸びと自由に緩むことができなくなります。
ヨガはリラックスして行うのが基本です。
「がんばりすぎる」「焦る」など心の緊張。
体の痛みやツッパリ感。
緊張しているのにストレッチをする行為は、アクセルを踏みながらブレーキを踏んでいるのと一緒です。
体が硬いから、ということだけが体を壊す理由ではないのです。
長くなってきたので、次回はこの3つの理由をふまえて、どのように取り組んでいったらいいか?を書いていきます。
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