杉山まさる/東京サドベリースクール

一般財団法人 東京サドベリースクール ファウンダー・代表理事 こちらの記事は個人のペー…

杉山まさる/東京サドベリースクール

一般財団法人 東京サドベリースクール ファウンダー・代表理事 こちらの記事は個人のページであり、東京サドベリースクールの公式ではありません。

最近の記事

「勉強」が気になる保護者さんへ

TSSが一般的な学校にあるカリキュラムや教科、そして先駆的といわれる教育の学校やスクールにあるプロジェクトなどをあえて設定していないのは、 生徒が個人の活動を全く自由に行えることで、自分で気づき考え行動する経験ができるようにしているためです。 また自由に1つのことをとことん探究したり、様々なことを試してみたり、他者と関わりコミュニケーションを積み重ねられるためでもあります。 そのため、生徒の”個人的活動”に優劣をつけず、また評価もしていません。 いわゆる一般的に勉強と呼ばれ

    • イルカとネコと、ツバメは違う

      以前の学校に通うことに疲れていたお子さん(Aさん)のことを、 ある日の学校見学会に親御さんだけで参加された方が教えてくださいました。 そのお話しから考えたことが、何かしら同じような境遇のご家族のお役に立てるのではと考えたため、 内容を控えながらお伝えできればと思います。 相性という事実 まず最初に、Aさんが通われていた以前の学校を責めるつもりは全くありません。 それはその学校を大好きな子もいるはずだからです。 ではなぜAさんはストレスに感じていたのか。 理由は様々あるで

      • 話し合いをあきらめない

        「答えのないことに答えをつくる経験」 スクールで話し合いをしていると、あっという間に長時間になっていることがあります。 例えばスクールの経営についてのミーティングも、ディズニーランドに皆で行く話し合いも、途中で「もうやだー!適当でいいよ!」とならず、大変そうではありながらも粘って粘って話し合いを続けています(もちろん結論がなかなか出ず、時には「もうやだ~」となっている生徒もいますが)。 長時間やればよいというものではありませんが、人生には時にとことん話し合うことが必要な場

        • 【何も学んでいないわけじゃない】

          ある日の10代後半の生徒たち。 17歳の男子生徒の上に、16歳と17歳の女子生徒が乗っかり遊んでいるところです。 10代後半であっても、このようにじゃれて遊んでいます。 とっても楽しそう! しかし、真剣な話し合いが始まると、皆一転して真剣な表情。この日は「ルール違反について解決するルールミーティングのルールを改定する必要があるか」という議題。 「ルールはさ、そもそも少なければ少ない方が、みんながお互いを思いあって過ごしているわけだから、少ない方がいいと思うんだよ。だからル

        「勉強」が気になる保護者さんへ

          決算報告会も生徒と共に

          スクールの23年度決算報告会が、生徒議長のもと滞りなく行われました。 各財務書類の報告も生徒も担当し、事前に財務諸表の内容理解から、何にどうしてそのお金を使ったのか。予算との差額や理由はなぜか。それらを元に24年度の予算はどのように作ったかをわからないところはスタッフに聞きながら、1つひとつ理解しながら準備して、当日報告していました。 TSSは2009年の開校以来、生徒が将来「自分たちの社会は自分たちの手で」つくっていけるように、生徒自身が自分たちの社会である学校運営に主

          【教育コラム】学び・吸収・没頭

          サドベリーで生徒たちを見ていると、何かを「学ばされている」という状況を目にすることがありません。本人の興味や好奇心、必要だと考えたことを「吸収している」という表現の方が適していると感じます。その夢中になっている状態が「没頭」です。没頭はフローやゾーンという表現をされることもあります。 時折、学校体験中の子や、入学して間もない生徒が、教科書や塾の宿題のようなものをしていたりします。「親にやりなさいと言われているから」や「勉強しないと自分がだめになっちゃうと思うから」と本人は言

          【教育コラム】学び・吸収・没頭

          タイミングは人それぞれ

          「つまり、今はそれをやりたくないんだね?」 ある日、生徒とスクールに本棚を作ろうとなりました。スクールでたくさんの本を頂くのですが、置き場所がなくなってしまったのです。図書委員の生徒とスタッフで一度、どんな本があるのか全て調べたら、同じ本が2冊(多いものは3冊)ありました。頂いてありがたく感謝しながら、また申し訳ないとも思いながら、その本を持っていないサドベリースクールに寄付をさせてもらったり、古本屋さんに売らせていただき、そのお金でスクールに欲しい本を買わせてもらおうと

          なんで勉強しないといけないの?

          みなさんは「なんで勉強しないといけないの?」と思ったことはありませんか? およそ誰しもが、一度は生徒という立場で教育や勉強というものを経験しています。まさに今、子ども時代真っただ中にいる方も、「なんで勉強しないといけないの?」と思ったことがあると思います。 そしてこれは、元子どもであるすべての大人も、一度は思ったことがあるのではないでしょうか。私は一度どころか、数えきれないくらい思いました。とくにテスト前日に。。 また、子どものいる保護者の方も、小中高校の先生方や、塾で

          なんで勉強しないといけないの?

          日本のサドベリースクールの歴史

          サドベリースクールや、サドベリー教育という言葉を聞いたことがありますか? 2009年に東京サドベリースクールを開校してから、様々なところで「あ!サドベリースクール知っていますよ!」というお声をいただくようになりました。ありがとうございます。 とはいえ、まだまだその存在すら知らない方がほとんど。ましてや教育内容や、日本での状況などについてまでご存知の方はほんの一握りだと思います(いや、ひとつまみかも)。 そこで今回は日本のサドベリースクールの歴史について、簡単にご紹介します

          日本のサドベリースクールの歴史

          「与えない」という愛情

          現代では、子どもに何かを「与える」ということが簡単になりました。 そこで今は「与えない」という愛情があることを知る必要があります。 それから「本当に与える」とはどういうことかを考えてみましょう。 「与える」ことは簡単になった 現代において、子どもに何か、特に物を与えてあげるのは簡単になりましたね。もちろん色々な事情で難しいご家庭もあるでしょう。それでも過去数十年を振り返っても、しやすくなったと思います。 物が少なかった時代は、とにかく我慢するしかありませんでした。 私

          いつかその時

          毎週の電話 毎週、静岡の実家に電話をしている。 固定電話があるので、家にかけると、父か母が出る。 「元気?」と聞き、「元気だよ」と返ってくる。そして、30分から1時間、今週何があったとか、家族の誰々がどうだとか、近況の話をして盛り上がる。 毎週、それの繰り返し。 時々そういう話を外ですると「偉いね」とか「仲がいいね」と言ってもらえるのだが、もちろん、昔から毎週電話をしてきたわけではない。 実家に住んでいる頃は、育ててもらっておいて「ん~・・」と思うこともあった。いい年頃

          難しさに共感できること

          先日、『やりたいことが、わからないときは』という記事を書かせていただきました。 その中で「色々やってみたらいい」ということを生徒に伝えていると書きました。 いつだって、人をバカにしちゃう人は自分でやらない人で、実際にやっている本人は自分がしていることをバカにしたりしません。 だって、それが難しくて、大変なことを知っているから。 同じようにそれをやったことがある人はその難しさを知っているので、基本的には相手をバカにしたりはしないものです。 冒頭の通り、生徒には「色々やって

          やりたいことが、わからないときは

          「自分は何がしたいかわからないんです」 というご相談を時々いただきます。 私はよく「色々やってみてはいかがでしょうか?」とお答えさせていただいています。 初めてお会いした方に自己紹介をするとき、私は「東京サドベリースクールという全日制の学校(厳密には“学校”という単語は使いませんが)を始めて、今も働いています。そこでは生徒達が自分のしたいことを見つけて追及していることが多いです」という話をするからだと思います。 「いったい自分は人生で何をしたいのか」 というのはなかなか深

          やりたいことが、わからないときは

          教育に上下はない

          サドベリー教育に関わってきて、よく他の教育(特に公教育)についての批判を聞く。また公教育以外を選んだ人がなりやすいことに、「自分たちはすごい」と言う人も多い。この教育を選ぶ親子は次元が高いとか低いとか、そういうことを言う人もいる。 でも、私はそれぞれの教育に合う・合わないはあると思うが、人権侵害がないことを前提にすれば、教育自体に良い・悪いはないと思う。 ましてやサドベリースクールに通っているから偉いわけじゃないし、公教育の学校に通っているからダメなどということもない。もち