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日本のサドベリースクールの歴史


サドベリースクールや、サドベリー教育という言葉を聞いたことがありますか?

2009年に東京サドベリースクールを開校してから、様々なところで「あ!サドベリースクール知っていますよ!」というお声をいただくようになりました。ありがとうございます。
とはいえ、まだまだその存在すら知らない方がほとんど。ましてや教育内容や、日本での状況などについてまでご存知の方はほんの一握りだと思います(いや、ひとつまみかも)。

そこで今回は日本のサドベリースクールの歴史について、簡単にご紹介しますね。



2000年頃

デモクラティックスクールという、生徒もスクール運営に参加できる民主的な学校(スクール)が、2000年頃日本(主に近畿圏)に誕生します。

世界で初めてサドベリー教育を始めたアメリカのサドベリーバレースクール。ここをモデルにした(インスピレーションを受けた)日本のデモクラティックスクールは、サドベリースクールという名前ではありませんが、サドベリーバレースクールとコンセプトが似ているところが多いです。

当時日本では、デモクラティックスクールを名乗るスクールが多く、サドベリースクールという名前のスクールは多くはありませんでした。各スクールの個性として、スクール名にデモクラティックを使用したり、サドベリーを使用したりしています。

なお世界では、デモクラティックスクールにも生徒が校則を変える権利はあるけど運営権はないなど生徒の権利などに幅があったり、小中高校などのように年代で分かれているなど、様々な面でサドベリースクールと似ていたり違ったりするスクールもたくさんあります。


世界的に有名なのはイギリスのサマーヒルスクールです。設立者のA・S・二―ルのお子さん(現運営者)とお話しした際にサドベリースクールもご存じで、「うち(サマーヒル)も運営については生徒も権利があるが、人事についてはない」などとおっしゃっていました。
こちらはフリースクールとも紹介されることが多いのですが、運営に生徒が参加できるので、デモクラティックスクールと呼ばれることも多いです。

つまり簡単にいうと、大きなデモラティックスクールというジャンルの中に、より民主主義を徹底したサドベリースクールがあるというイメージです。



2010年頃

2010年頃になると、サドベリースクールが日本各地に誕生します。東京サドベリースクールも2009年に開校したので、ちょうどこの頃と重なります。

またデモクラティックスクールからサドベリースクールに校名を変更するスクールや、インターナショナルサドベリースクールといった名称のスクールなども誕生し、各地でサドベリースクールが増えた時期でした。

当時、著名な作家である本田健氏が、お子さんをサドベリーバレースクールに通わせていて帰国された頃で、「日本にもサドベリースクールを」という機運が高まったのが背景にあります。

なお、日本の一般的な教育でも、教科やカリキュラムが増えたり減ったりする、波のようなものがあります。サドベリースクールもブームというわけではありませんが、何年かごとに何かのきっかけで増える時期のようなものがあります。



2020年

現在日本では、10校程のサドベリースクールが開校しています。

10校程とあいまいな表現になっているのは、日本でも世界でもサドベリースクールの明確な定義がないためです。そのため、厳密に「ここはサドベリースクールで、あそこはサドベリースクールではない」といった区切りがつくりにくいという面があります。ですので、世界共通の「これがサドベリースクールだ!」というものがなく、また世界共通のサドベリー協会のようなものもありません。このあたりについては、また詳しく書きますね。

サドベリースクールは、インターナショナルスクールやシュタイナースクールなどと同様、公的支援などが乏しく(無く)、またあえて授業を設定していないなどといった教育の特性、通わせることに勇気が必要な方も多く、生徒が増えづらいといった面があります。そのため、多くのスクールが学費を主軸に運営されているので、経営が難しいのが現状です。様々な要因の1つとして、残念ながら閉校となってしまうスクールもあります。

しかしながら、各スクールとも経営努力を行い頑張っています。
経営が難しい、設定された授業がない、地域によっては学費が私立並みといった様々な面もあります。しかし裏を返せば、サドベリースクールでは生徒が経営の難しさや面白さを経験できる。自分の興味のあることをとことん追求できる。地域の特性を活かして日本一がたくさんある東京圏で生徒が興味を持ったものにアクセスできるといった他の教育にはないメリットもたくさんあります。

さらには各スクールそれぞれにも強みがありますので、ぜひ様々なサドベリースクールのウェブサイトをのぞいてみてください。

今回、日本のサドベリースクールの歴史を振り返ってきましたが、未来に続いていかなければ過去も生まれません。
私は日本の子ども達がこれからも、サドベリー教育を選択できるようにしていきたいと考えています。

親子であれば見学や体験に足を運んでみてください。

教育に興味のある方はぜひスクールを広めたり、ご寄付などの応援をお願いできれば嬉しいです。一緒に楽しみましょう。


未来のために。

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