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マーケター富永 朋信さんから学んだこと


1.はじめに

富永 朋信さんは日本コカ・コーラなど9社で
マーケティング業務を歴任しているプロのマーケター。

GLOBIS学び放題という動画学習サービスで富永さんと元エステー宣伝責任者 鹿毛さんとのコンテンツがあり存在を知るに至りました。

動画内ではペルソナ・カスタマージャーニー・ブランドなどのマーケティング関連業務で頻出する言葉について定義から説明をしてくれています。

プロフェッショナルの方々の定義や理解を聞いてみたいと思っていたので大変参考になりました。

富永さん自身が「マーケティングの核=人間理解」というメッセージを発信していることからも分かりますが、講義動画を通してこの人は「人間の行動変容」を探究することが好きなんだろうなと思いました。

個人的に学びになったポイントを備忘録として
まとめておきたいと思います。

2.機能するペルソナ作りとは?

ペルソナは何のため使うのか?
商品企画やコンセプト作りを進める際に、ペルソナが無いと幕ノ内弁当にみたいになんでも盛り込んでしまう。

社内関係者で視点を合わせる為、訴求ポイントを合わせる為に必要。

ブランドや商品企画する時、「本当に誰に向けているのだろう?」と、考え抜いて決める
誰に向けた商品なのか?が曖昧だと機能がモリモリの商品になったりする。なので具体的な像が必要になる。これは良いペルソナの使い方。

どんな商品でもいいが、その人がどんな味だったら笑顔になるか、それはいつ食べてくれるんだろう、その為にはどんな要素がいるんだろう、つまり感情移入する先を決めるという事。

相手の立場になって、どんなものがいいのか?考える。

顧客を想像妄想する
顧客その商品をどこで知って、どう好きになって、最終的にどう買って、愛着をもっていくのか。

その一連の流れ(=カスタマージャーニーのようなもの)を想定するのに考える時にペルソナを作る。

最初は自分で感情移入して作る、そこから調査して解像度を上げていく。

プロフェッショナルのマーケターは、誰でも徹底的に感情移入しなければいけない。  

ペルソナを踏まえて準拠集団にマーケティング施策を打っていく話
コンセプトを作る時にペルソナを考え、マーケティング施策は準拠集団(※)に対して打っていく。つまり下記2層になる。

※準拠集団とは
個人の意見,態度,判断,行動などの基準となる枠組みを「準拠枠(frame of reference)」といい,この枠組みを提供する集団を「準拠集団(reference group)」という。
 
ペルソナを作ることでニッチな商品になってしまう可能性は無いのか?
あるものの、ニッチになってもよい。
上記は問題ではない。

ブランド成長にはフェーズがある。ブランドはニッチから始めてマジョリティーになっていくもの。

アサヒのドライビールでもスマートフォンでも最初はニッチだったが、徐々にカテゴリーをつくっていった。

ペルソナがあれば理屈ない上司の言葉も適切に退けることができる
例えば飲料メーカのビール商品の企画会議で、社長が理屈なく「ちょっと苦い方がいいんじゃない」と言った時に、ペルソナがあれば「それは違う。なぜなら対象のペルソナはこんなものを求めているからです」と言える。

上記のようなシーンで適切に利用する為にもペルソナは中途半端であってはいけない。中途半端だと説得力を無くす。

マーケターはこのペルソナにこの商品を、こういうコミュニケーションターゲットに売るんですと、そこまでは準備しておく。初年度の量は
一定言う必要がある。

社長が分かってなくても、担当者・CMOが分かっていればよい。

ペルソナの利用シーンとアップデートを行うタイミングについて
ペルソナはまずは商品開発で必要とする。

また、商品購入実績において想定外含めたいくつかのパターンが出てくる。商品ポテンシャルの売上最大化をするためにはすべての動機をとっていくことが大事になる。

一度市場に出た商品や顧客の動きを分析して
ペルソナを変化させ、より精度の高い施策にする。

理論上ペルソナは変わる。そんな時は遠慮せず変えていい。

一番大事なのは顧客動向。顧客動向によって
ペルソナやコミュニケーションデザインを修正する。

顧客がどう買ってくれて、どう使っているのかが一番大事なこと。それに合わせてペルソナもコミュニケーションプランも変えていく。

恐らくペルソナという言葉が使われる前から同定義の言葉はあったはず。でないと魂の入ったコンセプトや商品はできないはず。

3.インサイトとは?

インサイトとは「買う理由がお客様の心の中にある」こと
ただ顧客は自分が欲しいものを必ず知っている訳ではない。

インサイトは普通の調査や定量調査ではなかなか出てこない。

どの会社でもインサイトを見つけるプロセスは共通している。

ポイントは観察と一般化。例えば観察と一般化を繰り返す中で顧客には値段を「価格のシグナル」と「クオリティのシグナル」で見る見方があるなど分かってくる。

観察の中でいろいろ妄想することが大事。

4.ブランディングとは?

ブランドとはお客様の心にあるもの
ブランディングは、基本的に
コミュニケーションによって作られる。

ブランディングの第一歩は、
現状の認知のされ方を受け入れること。

お客様の中にあるブランドは、
ブランディングによって変化させることができる。

ブランドステートメントは妥協の産物
そもそもブランドはブランドステートメントとかブランド価値規定に書いているような形はしていない。

ちなみにブランドステートメントがどんな形をしているかというと、コンセプトはこう、情緒的な価値はこう、機能的な価値はこう、などメタレベルのタイトルがあって、それを埋めてドキュメントにしている。

でも消費者の心の中にはメタレベルの事はなくて、「美味しい」とか「酸っぱい」とか「さわやか」とか無数のイメージがあるだけ。

ブランドマネージャーがもし無数のイメージを全部分かって、理解できて一個一個ダイナミックにコントロールしていけたら、そんなステートメントいらない。

だけど何千とあるイメージを把握して一個一個はチェックはできない。

だから、その妥協の産物としてブランドステートメントができる。企業主語でブランドステートメントが立ち返る場所にはなっている。

ブランドステートメントの使い方が縛られることでブランドが狭まる可能性がある
一回決めたペルソナが時代遅れになり、ブランドの鮮度が落ちてるケースがある。

ブランドの寿命30年説の中でペルソナが時代遅れになる可能性ある。なので5年単位で変えていくなど検討する必要。

一方でコンセプトやコアバリューは変えちゃいけない。ポジショニングは同じフィールドで勝負している限りはかえちゃいけない。

それ以外は全部変えちゃってもいいくらいだと思う。ブランドはあらゆるタッチポイントで醸成されるが、コアバリューやコンセプトは守っていくべき。

5.ブランドは壊れやすいのか?

「ブランドはただただ守るもの」なのか?
ブランドは壊れやすい傷つきやすいから、
ちょっとでも危険なことはとにかくやらぬが吉という作法は違う。

マクドナルドは3年前評判が地に落ちていた。それが今は破竹の勢いで戻ってきている。

死にかけたランドでもちゃんとマーケティングすれば生き返ると思っている。三菱自動車、雪印もそう。

ちゃんと戦略をもって、緻密にマーケティングして、緻密にクリエイティブをしたらブランドは生き返るはず。

だから相当ダイナミックにアジャイルにやっていいという前提で、ブランドは大事と思わないといけない。

どんどん消費者は変わっていく中で、ブランドはどうやっていけばいいのか?
ペプシとコーラの戦いを見ると、ペプシはいつも均衡しているが、ペプシが1位になると均衡をとるような訴求はできない。それは弱者いじりになる。

でもそこで何かに挑戦するペプシをやめてしまうと、それはペプシではなくなってしまう。

なので今度は違うものに挑戦する、違うものをいじるなどマーケットを変えて違うものに挑戦する、違うものをいじるという風に同じパーソナリティ・戦略だけど違うものに挑戦するというのは自分としては正解なのではないかと思う。

そこをうまく設計していくと、ブランドが今までのブランドの強さ・鮮度を保ったまま面白くなると思う。

競争の図式を制限してしまうと、どんどんつまらなくなる。ブランドがどんどん死んでいく例がユーザーの代替わり。

だんだんマーケットが飽和状態になっていった場合、ブランドはどう振るまえばいいのか?
大抵のプレイヤーはいままで市場にこだわって狭い中で戦おうとしてしまう。そこでダメになってしまうのでないか。

また、競合との差別化の先に消費者が求めないものまで作り壊れていくブランドもある。競合との差をコミュニケーションしたい、というのは人間の性なので分かるが※。

ただ、競合が何をやったか?という点は上の人間は関心事だったりする。

ただ大事なのはお客様が何を欲しがっているかということ。自社はお客様のほうを向いて判断していかないといけない。

つまり競合との差異がお客様の関心事であれば訴求する。

※男性が女性に告白する時も同じ
女性に告白する時に、ライバルとの差分を語っても意味があるのか。相手の女性にとってどんなが重要ではないか。

時代に応じてメッセージの表現も手段も変えていく
過去はラブレター手書き、今はLINEがあったり。時代によって印象や捉え方が変わる。お客さんのまわりの変化に合わせる。

富永さんが過去勤めた会社でも時代に合わせて表現や手段を変えつつ、マーケティングコミュニケーションを行い西友へのアテンションを喚起させ、お客様の中に「気になる」を作り、心を動かそうとした。

富永さんは担当商品の売り上げを最大化したい、「○○○といえば△△△」など純粋想起を作りたい等の目的に合わせて常に逆算の妄想をしている。

お客様になりきって、様々な想像をすることが大事。そしていろんなものを使い、いろんな人と話す。するとインサイトを拾っていける。

マーケティングはテクニカルに走らないほうが良い?
マーケティングは愛であり、手法ではない。
手法から入るとテクニカルに走ってしまう。

なんでそれをやっているか分からなくなるし、
お客様にも見透かされてしまう。

一番大事なのは好きになってもらう事、ただ好きになってもらうのは難しいのでまずは気にしてもらう。

そして「笑ってもらえる」は気にしてもらうの最たる形。なので笑ってもらうはwin。

人の心は動かないので徹底的に妄想しないといけない。

以上です。
引き続き勉強を続けます。

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