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Google検索連動型広告をクリエイティブ主体で運用する

はじめに

Google検索連動型広告は複数ある獲得広告の中で依然として存在感が強い主力メニュー。

同メニュー運用の肝を理解したいと思い、いくつかの支援会社のWeb記事や本をパラパラと読んでみましたが、どうも断片的な理解しか進まず、モヤモヤしていました。

そんな時に、信頼する広告運用コンサルタントの方から紹介されたのがTomoyuki Yonemitsuさんのnote

記事を書かれている方はもともとGoogleで広告プロダクトをリードしてきた方。

なので、検索連動型広告の構造・仕組みを踏まえて、プロダクトのベストな使い方を説明してくれています。有り難いです・・・!

今回はTomoyuki Yonemitsuさんのnoteから得た学びポイントを整理してみたいと思います。

記事のタイトルはTomoyuki Yonemitsuさんの連載記事に通底するメッセージである「クリエイティブ主体の広告運用」にしました。

1.広告ランクの仕組みは進化している

まずUnlocking the power of Google Ads 01で紹介されている広告ランクの説明は下記。

広告ランクについて(Tomoyuki Yonemitsu
広告ランクはユーザーの検索語句に対して予測されるクリック率(推定クリック率)、広告の関連性、ランディングページの利便性と1クリックあたりいくらまで出せるかを表す上限クリック単価によって決定されます。すなわち広告クリエーティブに関する"質"と"お金"によって算出されます。

Unlocking the power of Google Ads 01

また広告ランクの決定要素は
下記のように図解し説明されています。

広告ランクの決定要素

noteの記事『Unlocking the power of Google Ads 01』が書かれたのは2019年10月なので、2年以上経過しています。

では、公式 Google広告ヘルプは広告ランクを
現在どのように説明しているのでしょうか。

広告ランクについて(Google 公式ヘルプ)
広告ランクは、ページ上でどの広告をどの位置に表示するかを決める数値です。広告ランクは、広告が表示対象になるたびに再計算されます。広告はオークションにかけられるため、その時点での競合状況、ユーザーが検索を行ったときの背景(コンテキスト)、その時点での広告品質に応じて毎回変動します。

~中略~

広告ランクは、おおまかに次の 6 つの要素で決まります。

入札単価
入札単価とは、広告のクリック 1 回に対して最大でいくらまで支払ってもよいか、広告主様が指定したものです。通常、最終的な支払い金額はこれより少なくなります。入札単価はいつでも変更できます。

広告とランディング ページの品質
広告とそのリンク先のウェブサイトがユーザーにとってどれほど有用で関連性が高いものであるかも判断基準となります。広告の品質評価の結果は、品質スコアでわかります。品質スコアは Google 広告アカウントで確認し、改善することができます。

広告ランクの下限値
常に質の高い広告を掲載するため、表示される広告が満たすべき最低限の基準を定めています。

オークションにおける競争力
同じ順位で競合する 2 つの広告の広告ランクが同じ場合、それぞれが同じ順位を獲得する確率はほぼ同じになります。2 つの広告主の広告間の広告ランクの差が大きくなると、ランクの高い広告は勝つ確率は高くなりますが、その位置を獲得する確率を高くするために高いクリック単価を支払うこともあります。

ユーザーが検索に至った背景(コンテキスト)
広告オークションにおいてコンテキストは重要な要素です。広告ランクを算出する際は、ユーザーが入力した検索キーワード、検索時のユーザーの所在地、使用しているデバイス(例: モバイル デバイスやパソコン)、検索した時刻、検索語句の性質、同じページに表示される他の広告と検索結果をはじめ、さまざまなユーザー シグナルと属性が考慮されます。

広告アセットやその他の広告フォーマットの効果
広告を作成する際は、サイト内の特定のページへのリンクや電話番号など、特定の情報を広告に追加できます。この機能を「広告アセット」と呼びます。Google 広告では、広告主様が追加したアセットやその他の広告フォーマットの見込み効果も考慮されます。

Google広告 ヘルプ

ここからは個人見解になりますが、恐らく2019年10月から基本的には広告ランクの算出ロジックは変わっていないように思われます(入札単価など)。

一方で、ユーザーが検索に至った背景(コンテキスト)などから算出に活用されるシグナルは増えていると想定されます。

広告運用者主語では、カスタマーに対して視認性が高く、ベネフィットが適切に伝わる広告パーツを作り、機械学習をフル活用したターゲティング・ビッティング・クリエイティブ最適化を行っていく点は変わりません。

一方で、Google側の広告ランク算出ロジックにどんな要素が使われているか?は短期-中長期の運用戦略に影響を及ぼすため、引き続き捉えていければと思いました。

2.ターゲットキーワードについて学び直す

Tomoyuki Yonemitsuさんはターゲットキーワードに関して下記のような文章を書かれています。

何のためにターゲットキーワードが存在しているのか?改めて理解できる内容かと思います。

ターゲットキーワードとは
どのような検索クエリに対して広告を露出させるかの幅を制御するもの。

ターゲットキーワードを追加する意義
【自動入札機能が実装されるまで】
そのターゲットキーワードにより広告を露出させ得る検索クエリに対する
ビッディング、クリエイティブのコントロールをするため。

【自動入札機能が実装されてから】
自動入札では検索クエリと広告クリエイティブに対して入札を行うため、
ビッディングのコントロールという点でのターゲットキーワードの役割はなくなった。

Unlocking the power of Google Ads 05


Google 検索連動型広告の処理とターゲットキーワード立ち位置
運用者視点では、ユーザーの検索した文字列=検索語句とターゲットキーワードが照合され、そのキーワードが追加されている広告グループの広告クリエーティブが露出しているように見えるかもしれないが、実際にはそのような処理ではない。

ターゲットキーワードの設定がユーザーの検索語句をターゲットできる条件下において、ユーザーが検索した検索語句に対して広告を露出するべきキャンペーン、広告グループはどこかを特定、広告クリエーティブの露出およびクリックの結果を、広告グループ内の検索語句と文字列の合致度合いが高いターゲットキーワードに戻すという処理をしている。

Unlocking the power of Google Ads 05

この構造を理解すると、むやみやたらに検索クエリを追加し、品質スコアの高いものだけを残していくというのは、本質的な改善には繋がらない業務であることが分かります。

むしろ、重要なのは①広告クリエイティブ、②ランディングページ。

3.キーワード主体ではなく、クリエイティブ主体の広告運用

クリエイティブ主体の広告運用 図解
では、①広告クリエイティブ、②ランディングページを中心に据えたGoogle検索連動型広告の運用とは何でしょうか。

クリエイティブ主体のGoogle検索連動型広告の運用に関して、Tomoyuki Yonemitsuさんの記事を自分なりに解釈し図解してみました。

クリエイティブ主体の広告運用のポイント
①~④のどこから起点になっても良く、サイクルを回し最適化を繰り返すことが重要。

広告クリエイティブを主体として、運用者の目視や主観的な感覚も加味しながら定点観測していく。

検索クエリに対する広告クリエイティブ(視認性・訴求軸)が改善したかどうかは先行指標として③を見ていく。

②の後に③を見る理由は広告クリエイティブを変えてもすぐに品質スコアは変わらない為。

品質スコアは広告配信後の実績値を基に品質スコア(推定クリック率、広告との関連性、ランディングページの利便性)が付く為。

重要なランディングページ/エントリーリフォーム最適化
Google検索広告を主語にした広告運用である為、図解資料上に記載は無いが、ランディングページ/エントリーリフォーム最適化は極めて重要。

なぜなら広告ランクで高いスコアを取る為には、広告ランディングページのコンテンツ・表示スピードの速さが重要になってくる。

Tomoyuki Yonemitsuさんは広告クリエイティブとランディングページの関係性に関して下記のようにコメントしている。

広告クリエーティブとは、クリック後のランディングページの内容を凝縮したものであり、ユーザーのニーズ(=検索語句)にぴったりと合致していると認識してもらう必要があります。

Unlocking the power of Google Ads 05

広告運用者はGoogle ads上で改善する事と分けて、ランディングページ/エントリーリフォーム最適化も並行で検討していく。

4.広告グループに追加したターゲットキーワードのステータス

ターゲットキーワードのステータスとは下記図解資料の赤字部分。

ターゲットキーワードの文字列に対して広告クリエイティブ上の問題点があるキーワードおよび文字列とは何かを特定する際に品質スコアとともに確認すべきステータスは「有効(制限付き)」のもの。改善期待値が高い。

広告ランク観点でのインプレッションシェア損失率を改善していく為にもキーワードのステータス「有効(制限付き)」を見つつ、改善していくことが重要になる。

“有効 (制限付き)”のステータスのキーワードには3つの種類が存在する。

主な改善方法を下記。記事から抜粋。

①ほとんど掲載されていない(品質スコアが低いため)
品質スコアが低いキーワードについてはその文字列に対して広告の視認性が悪いということを示しているため、そのステータスのキーワードを特定し、広告クリエーティブに含めることで改善する可能性があります。

また文字列が広告に含まれているにも関わらず、品質スコアが低いと評価されている場合、説明文に含まれている状態であればタイトルに含める、もしくは文章中央や右端に位置している場合は左寄りに持ってくることで改善する場合があります。

②推定入札金額(1ページ目)を下回る
推定入札金額(1ページ目)を下回るキーワードについては、文字通り上限クリック単価が低いという意味ですが、広告の予測クリック率が低いことによってクリック単価の効率が悪化した結果、推定入札金額(1ページ目)が上がっている場合も多く、品質スコアの低いキーワードに対する改善と同様、広告クリエーティブへの改善を加える必要があります。

それらの改善の結果、クリック単価の効率が改善できれば、間接的に予算によるインプレッションシェア損失率の改善も可能です。

このステータスはキーワードレベルで入札金額を設定している場合に確認ができるステータスであり、自動入札機能(tCPA もしくはtROAS)を利用している場合には発生しません。自動入札は広告と検索語句のユニットに対して入札金額を決めているためです。

③検索ボリュームが少ない
検索ボリュームが少ないキーワードについては、検索数が1週間に5未満であることを示しており、このステータスは1週間に一度見直しが入ります。

文字通りこのステータスの場合、ユーザーが検索していないということを意味しますが、キャンペーンや広告グループを細分化しすぎたために広告のインプレッションが少なく、広告の想定クリック率が計算できないような状態の場合、ターゲットキーワードが存在するにも関わらず、広告が露出しない場合もしくは他の広告が露出することで意図した広告にインプレッションがつかない場合があります。

その結果、その広告クリエーティブが紐づく広告グループ配下のキーワードに対してインプレッションが付かない状態となり、1週間に5未満のインプレッションの場合に、このステータスとなることがあります。

その場合はアカウント構造の見直しや広告カスタマイザーの利用により、分ける必要のない広告グループをまとめ、広告クリエーティブのインプレッションボリュームを担保することによって広告を露出させることが可能です。

Unlocking the power of Google Ads 04

ターゲットキーワードのステータス単位の改善は広告アカウントの規模にもよるが、一定工数を要する取り組み。

事業会社主語では支援会社側と認識を合わせて適切にリソースを確保し取組んでいきたい。

5.品質スコア(ランディングページの利便性)とページ表示スピード

Tomoyuki Yonemitsuさんの記事を参照すると、品質スコアのランディングページの利便性においては、主にランディングページの表示速度が大きく関わっているとの事。

ランディングページの利便性については、2009年から品質スコアに加味されるようになりました。主にランディングページの表示速度が大きく関わっていると思われます。

管理画面のリニューアル後はモバイルデバイスによって評価方法が異なり、PCは減点法、モバイルについては加点法でした。

減点法ということは、表示スピードが遅すぎるなど余程のことがない限りパフォーマンスに影響しないということですが、モバイルについては加点法ですので表示スピードを含む利便性が良くなれば良くなるほどパフォーマンスも良くなると考えられます。トラフィックの中心がモバイルであれば尚更重要です。

Unlocking the power of Google Ads 02

表示スピードはシンプルにカスタマーのストレスに繋がりやすい点である為、品質スコアの話に関係なく、社内開発側と連携しミリ秒単位の改善ができるように取り組んでいきたい。

ちなみに、Repro中澤さんのnoteでも触れられているが、AKAMAIが2017年に発表したレポートによると、ページ読み込み時間がわずか100ミリ秒遅れるだけでCVRが約-7%、1秒の遅れで約-20%もCVRが低下するという結果が報告されているとの事。

ページ読み込み時間を改善するために、
社内側でPage Speed Insightsを使いながらjavasccriptの記述位置変更や画像ファイルの規格変更など検討できますが、社内予算に余裕があれば、ページスピード改善ツールのRepro Boosterの利用検討やページスピード改善コンサルティングをしてくれるDOMOさんへ相談してみたい。

以上です。
勉強を続けます。

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