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【読書】羅生門(芥川龍之介)『なら、しゃあないよなぁ!』
※学校の教科書的な読みは、頭のいい人にお任せします。
これは、奴隷が盗人にクラスチェンジする話だ。
下人(奴隷)は、羅生門で老婆にこんなことを言われる。
わしは、この女のした事が悪いとは思うていぬ。せねば、餓死するのじゃて、仕方がなくした事であろ。されば、今また、わしのしていた事も悪い事とは思わぬよ。これとてもやはりせねば、餓死をするじゃて、仕方がなくする事じゃわいの。じゃて、その仕方がない事を、よく知っていたこの女は、大方わしのする事も大目に見てくれるであろ。
3回も「仕方がない」が出てくる。
「しゃあないんじゃ」と連呼しているババアが浮かんできてちょっと笑える。
それを聞いた下人は、「じゃあ、俺もしゃあないよな!」ってババアの着物を剥ぎ取る。
笑い話か?これは。
同時に、ババアの言い訳で勇気をもらう。
しかし、これを聞いている中に、下人の心には、ある勇気が生まれて来た。それは、さっき門の下で、この男には欠けていた勇気である。そうして、またさっきこの門の上へ上って、この老婆を捕まえた時の勇気とは、全然、反対な方向に動こうとする勇気である。
どうやら「勇気」にも色々あるらしい。
恐怖、不安、躊躇、あるいは恥ずかしいなどと感じることに対して、恐れることなく積極的に立ち向かう、あるいはそれらを敢えて行う強い意思。
勇気に善いも悪いもなかった。
この場合、勇気とは「言い訳」だろう。
下人はババアに勇気をもらい、盗人にクラスチェンジした。
* * *
簡単に読むこともできるけど、高校の教材になるくらい読みどころがつまっているようで。
時代背景、下人のニキビ、心情の変化、出てくる生き物・・・そういうことを知った上で読むとまた面白い。面白かった。
最後の『夜の底』『黒洞々たる夜』という言葉は、中二病的でカッコイイ。
どこかで使いたくなる。
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