2022ファジアーノ岡山にフォーカス41『Rodo to J1 22~23補強ポイント』Part10(3-4-2-1考察編)

 まずは、前回のPart9から今回のPart10までの移籍動向の整理から入りたい。

移籍動向(12/20~12/30昼まで)
新加入
高橋 涼(湘南で契約満了後に岡山へ完全移籍:左WB、左SB)
川谷 凪(清水より期限付き移籍:右WB、右WG)
坂本 一彩(G大阪より期限付き移籍:FW全般)
契約更新
5柳 育崇、7チアゴ・アウベス、8ステファン・ムーク、19木村 太哉、
移籍先決定
3阿部 海人(秋田に期限付き移籍)
10宮崎 幾笑(いわきFCに期限付き移籍)
11宮崎 智彦(岡山と契約満了後に福島へ完全移籍)
川本 梨誉(清水から岡山への育成型期限付き移籍満了。改めて群馬と、岡山ではなく契約の権利の保有元である清水から直接期限付き移籍契約を締結)
18齊藤 和樹(クリアソン新宿へ完全移籍)
デューク・カルロス(長野への期限付き移籍満了、相模原へ完全移籍)
下口 稚葉(今治への期限付き移籍延長)

移籍動向(12/19以前)
新加入
GK:山田 大樹(鹿島より期限付き移籍)
DF:高木 友也(横浜FCより完全移籍)
MF:鈴木 喜丈(水戸より完全移籍)
MF:井川 空(札幌より期限付き移籍)
MF:山田 恭也(高知よりレンタルバック)
MF:田部井 涼(横浜FCより期限付き移籍)
MF:高橋 諒(湘南より完全移籍)
MF:川谷 凪(清水より期限付き移籍)
FW:櫻川 ソロモン(千葉より期限付き移籍)
FW:坂本 一彩(G大阪より期限付き移籍)
FW:福元 友也(FC大阪よりレンタルバック)
契約延長
MF:仙波 大志(期限付き移籍延長)
完全移籍に移行
FW:永井 龍(広島からの期限付き移籍から完全移籍に移行)
※長くなるので、契約更新は省略。※

 Part10からB~A契約とC契約の明記していきたいと考えている。そこで、この3種の契約形態が切り替わる基準と違いを簡単に説明しておきたい。

整理しておきたいポイント
①A契約選手は、25人まで(自クラブ下部組織=ユースに3年間在籍した選手はここに含まれない)。
②B契約は、A契約の25人枠に含まれない。
③ルーキーはC契約からで特定条件を満たすとB契約かA契約に移行しなくてはならない。
④移行条件:出場時間(J1:450分、J2:900分、J3&JFL:1,350分)プロC契約3年経過、対象試合(リーグ戦・リーグカップ・スーパーカップ、天皇杯)
⑤HG(ホームグロウン)選手は、各カテゴリーで定められた人数(2023シーズンはJ2では2名)を登録しなくてはならない。
⑥HG選手になるには、12歳~21歳に第1種~4種登録の期間が3年間なくてはならない(早く言えばユースかトップチームに登録されていなくてはならない)。
⑦他クラブに期限付き移籍した場合も移籍元のクラブで日数はカウントされる。
⑧HGや契約形態は、年度で計算するので、途中で21歳になった場合でもそのシーズンの最後までカウントされる。

  では、整理していこう。まずは、確認し易い、「プロになって3年間経過している」という条件を満たした選手。

3年間経過している選手(公式の登録ポジション)
GK:13金山 隼樹、35堀田 大暉、山田 大樹(期限付き移籍)
DF:4濱田 水輝、5柳 育崇、16河野 諒祐、23ヨルディ・バイス
MF:8ステファン・ムーク、25野口 竜彦(公式発表待ち)、27河井 陽介、34輪笠 祐士、山田 恭也(レンタルバック:HG&育成枠)鈴木 喜丈(完全移籍)、高橋 諒(完全移籍)
FW:7チアゴ・アウベス、9ハン・イグォン、15ミッチェル・デューク(公式発表待ち)、38永井 龍(完全移籍)、福元 友也(レンタルバック:HG
HG)、櫻川 ソロモン(期限付き移籍)

 次に、出場時間(J1:450分、J2:900分:J3&JFL:1350分)を満たしている選手。シーズンを跨いだ上でカテゴリーが変わって、計算が必要な場合は、J1:J2:J3の比を3:2:1で換算して計算する。

出場時間を満たしている選手(公式登録ポジション)
GK:該当選手無し
DF:26本山 遥(1年目のJ2で、22,764分)、高木 友也(1年目のJ1で1,753分:完全移籍)
MF:14田中 雄大(1年目のJ2で2,892分)19木村 太哉(1年目のJ2で1979分)22佐野 航大(1年目のJ1で1,558分)
FW:坂本 一彩(参考:出場時間:J3で572分、J1:414分→J2換算:J1だけで818分あり、特別指定時のJ3で572分出場しているため900分以上になる)

 上記の2条件を満たしていないC契約の選手も紹介する。

上記の条件を満たさないC契約の選手(公式登録ポジション)
GK:谷口 璃成(プロ期間:1年、出場時間:0分)
DF:該当選手なし
MF:田部井 諒(プロ期間:1年、出場時間:J2で750分)
MF:井川 空(プロ期間:1年、出場時間:確認できないが3試合)
MF:仙波 大志(プロ期間:1年、出場時間:J1で90分=180分、J2で296分、計476分)
MF:川谷 凪(プロ期間:1年:出場時間:J3で32分)
FW:該当選手無し

去就が未発表のレンタル中の選手
GK:該当者なし
DF:杉山 耕二(特殊なキャリアのため不明:1年目がルーキー扱いであれば、C契約)
MF:松木 駿之介(プロ3年以上のためA契約)
FW:ハディ・ファイヤッド(不明:マレーシアをプロ期間を含むのであれば、A契約)

レンタル移籍が発表された選手
GK:該当選手無し
DF:3阿部 海人(プロ3年以上のためA契約+HG)
DF:下口 稚葉(プロ3年以上のためA契約+HG)
MF:28疋田 優人(A契約かC契約か不明:プロ期間2年、出場時間は2年間で、780分。天皇杯フル出場なら180分でJ2換算に変更すると120分でジャスト900分のためA契約だが、判断が難しい)
MF:デューク・カルロス(プロ3年以上のためA契約)
MF:10宮崎 幾笑(プロ3年以上のためA契約)
FW:該当選手無し

以上を整理する。

23シーズン編成(未発表選手を含む公式登録ポジション)
GK(A契約:2~3人、C契約1人)
13金山 隼樹(A)31谷口 璃成(C)35堀田 大暉(A)山田 大樹(期:AorB)
DF(A契約:6人)
4濱田 水輝(A)5柳 育崇(A)16河野 諒祐(A)23ヨルディ・バイス(A)26本山 遥(A)高木 友也(完:A)
MF(A契約:8人、C契約:4人、HG枠+育成枠1人、未発表:A契約が0~1人)
8ステファン・ムーク(A)14田中 雄大(A)19木村 太哉(A)22佐野 航大(A)25野口 竜彦(未:AorB)27河井 陽介(A)34輪笠 祐士(A)44仙波 大志(期延:C)山田 恭也(復:AorB:HG+育成)鈴木 喜丈(完:A)高橋 諒(完:A)田部井 涼(期:C)井川 空(期:C)川谷 凪(期:C)
FW(A契約:5~6人、未発表:A契約1人、HG枠1人)
7チアゴ・アウベス(A)9ハン・イグォン(A)15ミッチェル・デューク(未:A)38永井 龍(完:A)福元 友也(復:AorB+HG)櫻川 ソロモン(期:A)坂本 一彩(期:AorB)
統計
確定:A契約(21~23人)C契約(5人)HG枠(1人)HG枠+育成枠(1人)
未確定:A契約(1~2人)
期限付き移籍中(未発表)
DF:杉山 耕二(不明)
MF:松木 駿之介(A~B契約)
FW:ハディ・ファイヤッド(不明)

 いつも以上に情報整理に時間を割いた。整理してみると、23シーズンの編成は、最終局面に突入したと言えるだろう。そこで、項目は変えないが、今後の切り口も代えて、補強ポイントを整理していく。Part1からは、補強予想のポイントだが、Part10からは、補強した理由に迫る補強ポイントとなる。それでは、よろしくお願いいたします。

22/12/30昼(金)情報まで。
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1、フォーメーション分析

2022ベースのフォーメーション分析
1、4-1-2-3:適性(6位)伸び代(2位)
2、4-2-3-1:適性(5位)伸び代(5位)
3、4-4-2:適性(3位)伸び代(4位)
4、3-1-4-2:適性(1位)伸び代(3位)
5、3-4-2-1:適性(4位)伸び代(6位)
6、3-3-1-3:適性(2位)伸び代(1位)

 限定的な採用となった3-4-2-1。22シーズンベースの適性が(4位)であった理由と伸びしろが(6位)であった理由から入っていきたい。

22シーズン適性(4位)

 適性順位が低めである一番の理由は、ダブルボランチを採用する上で、攻撃でアクセントをつけられる選手が不足していたことにある。一方で、攻撃的なサイドの選手や対人守備の強いCBが揃っていて、ダブルボランチで組める選手は、守備に特徴のある選手が揃っていて、そこを強みに戦えた試合では、攻守で圧倒することもできた。

 ただ、3-4-2-1のポイントは、主導権を握った時に、どれだけポゼッションを得点力に変換できるかが、1つのポイントである。その点で、中央からの攻めに対してやロングパスを主体として攻撃に対して、強かったのに対して、中央をあまり経由しない攻撃やロングパスはロングパスでもサイドの背後を突かれた時の対応力に問題があった。

 その理由は、最終ラインと中盤での組み立てる力3-4-2-1の中盤の厚みや1トップを軸にした攻撃での連携プレーでの攻撃を22シーズンの岡山は、苦手としていたからである。そのため強みを出すという点では適性は高くなかった。

22シーズン伸び代(6位)

 22シーズンの岡山は、2トップの個の力と前からの雉プレスといった前から行くサッカーを得意としていた。また、パスを繋いで主導権を握る。パスで崩すという攻撃は不得意で、どうしてもロングパスやセットプレー頼りの攻撃になりがちであった。

 これは、岡山が組み立てよりも所謂縦ポンといったロングパス主体という攻撃がしたかったからではなく、チーム編成上そういったサッカーの方が強みを出せたからである。

 ボールを持てた試合で勝てた試合やそもそもパス数やポゼッションで相手を上回った試合も少なかった。前から行くが、どちらかと言えば、カウンター適性が高く、そういった編成では、岡山として伸び代の限界は見えていた。

適性と伸び代の改善ポイント
①攻撃により関与できるボランチの獲得
②後ろでの備えるタイプの総合力の高いCBの獲得
③前線で溜めを作れるFW

2、22シーズンの3-4-2-1

 適性と伸び代が高くない中、どうしてこのシステムを採用したのか。また、どうして断念したのか。ここもしっかり整理しておきたい。

採用理由

 対横浜FC対策で、準備していた形である。残念ながらコロナのクラスターで、その全貌が見えないまま終わる事となってしまったが、同じくコロナの影響が残っていた横浜FCに対して、岡山は善戦するもベストメンバーでなかったことが響き、勝ち点1どころから勝ち点を得る事ができず、あと少しと迫ったが、横浜FCには届かなかった。

 岡山としては、最終ラインを明確に3枚とすることで、3人でしっかり守る守備ブロックを構築し、中盤を厚くすることで、横浜FCに対しても主導権を握り、攻撃でも人数と幅を使った攻撃で、横浜FCに迫るという狙いもあった。

 その後もメンバーが戻るまでも採用を続けたのは、横浜FCに善戦できたこともあるが、編成的に、これがベストであった側面もある。

断念理由

 メインシステムとまでは言えなかった理由として、採用期間が短かったことにある。理由としては、ボールを持てても中央を経由しないサイド主体のチームに対して明確に弱く、良い所なく敗れた試合があったことにあるだろう。

 中央の構築力やポゼッションした時に強くなかったことが一番の明確の理由である。そこへの理解があったのか、ポイントポイントでの形であった。また、監督としてもボランチに向けて、本職の選手ではなく、26本山 遥のコンバートから始まった通り、手薄であった事も関係している。

 その辺りから木山 隆之 監督の考えの1つとして、メインではなく、オプションとしての線引きされていた可能性が高く、採用する選択肢は、自然消滅した。

採用するためのポイント
①3バックで主導権を握るサッカーを志向する場合。
②前3枚もしくは5枚でプレスをかける狙いを持ちたい場合。
③左右のCBの攻撃参加を増やしたい場合。
④時間帯によって、5バックで守る場合も良しと我慢できる場合。

3、補強経過とポイント

全体の補強ポイント
GK:絶対的守護神の確保(堀田が期限付き→完全移籍・山田獲得)。
DF(CB):後で備えるタイプのCB(鈴木・井川を獲得)。
DF(SB):方向性に沿ったタイプのSB(高木・高橋・川谷を獲得)。
MF(DH):得点に絡めるタイプのDH(田部井・井川を獲得)。
MF(SH):FWよりの武器を持ったSH(高橋・川谷を獲得)。
MF(OH):正確無比のプレーができるOH(田部井を獲得)。
FW:(WG):1対1で勝負できるドリブラー。(川谷・坂本を獲得)。
FW:(CF):足の速いストライカー(坂本を獲得)。
+αの補強:溜めを作れるストライカー(櫻川)

3-4-2-1図式整理

2022選手分布と2023編成予想

 ここまでの補強ポイントと違い、補強が必要なポイントではなく、補強の意図のポイントを探っていく方向にシフトしたい。

補強ポイント(GK)

 22シーズンは、梅田 透吾を軸にした編成であった。13金山 隼樹が精神的な支柱として欠かせない選手であったが、梅田 透吾が怪我で離脱した際に出た際のパフォーマンスは、GKとして不安定な部分もあったのも事実であった。その反省を踏まえて、3人で競争する構図を作った。その激しい競争の中で、31谷口 璃成の成長を促していく狙いが見て取れる。

補強ポイント(DF)

 対人守備を重視した編成であったCB陣に、足下の技術や組み立てに定評のある若いCBを獲得した。多くの方が、必用と感じていたスピードを武器にしたCBの獲得こそなかったが、ボールを保持するサッカーを展開する点は、改善された編成となった。

 WB(SB)に関しては、守備ではなく、攻撃に特徴のある選手を中心に獲得した。日本代表のように攻撃で存在感を出せる選手が中心であり、守備時にどこまで貢献できるかがポイントとなる。

 3-4-2-1をベースとした場合は、22シーズンと違いSBありきの可変式ではなく、CBの真ん中の鈴木 喜丈や井川 空をボランチに一枚上げる形(全体の並びの変化は、色々な形が想定できる)か、22シーズンの本職がSBのCB式の場合は、26本山 遥か34輪笠 祐士を左右のどちらのCBで起用する可変式が濃厚ではないかとみている。何故なら木山 隆之 監督は、形ではなく適性に拘る監督だからである。22シーズンの41徳元 悠平をCBとSBを兼任する可変式に無理に当て嵌める必要はないからだ。確かに、3阿部 海人が右SBを任された時期もあったが、ファイナルチョイスでもなかったので、私は可変式を採用するなら上記の3パターンと予測する。

 また、3-4-2-1が、現代サッカーで、どこまで昔のように左右のCBがオーバーラップできるか分からないが、3バックの中央に足下の巧くバランスをとれるCBが任されることが多かったので、その形を採用するのではないかと予想している。

補強ポイント(MF)

 3-4-2-1で考えるのであれば、DHとWBの2ポジションになるが、まずはボランチから考えると、待望の組み立てができるゲームメーカーのボランチである田部井 涼を獲得できた。井川 空もサッカーIQの高く、CBもできる攻守のバランスに優れた選手だ。新加入の田部井 諒と井川 空、既存戦力の27河井 陽介の3選手も揃ったことで、中央からのチャンスメークは、飛躍的に向上することは間違いない。

 守備的なボランチは、34輪笠 祐士と26本山 遥が、ハイレベルなレギュラー争いが繰り広げる。26本山 遥の右CBの案が多い様に、対戦相手やチーム状況によっては、鈴木 喜丈や井川 空も名乗りを上げてくる。

 ボランチは、誰が出ても不思議ではないが、タイプの組み合わせも(攻撃と守備)をベースにしつつも(攻撃と攻撃or守備と守備)のようなタイプの組み合わせも十分考えられる。

 WBに関しては、見事に木山 隆之 監督好みの超攻撃的な選手が揃った。
スピードが武器のWG適性もありそうな川谷 凪や精度の高い左足のクロスが武器の高木 友也、運動量や中に入っていく思い切りの仕掛けが武器の高橋 諒、そこに既存戦力であるステルスオーバーラップが武器であった16河野 諒祐がクロサーとプレースキッカー。メンバーから見ても、守備を多少犠牲にしても5トップも視野に攻めて行くということも十分考えられる。

 5トップも視野に入れているのであれば、引き続きここで、9ハン・イグォンや19木村 太哉、22佐野 航大を起用することも十分考えられるだろう。この時に、ダブルボランチが34輪笠 祐士と26本山 遥であれば、中央の鈴木 喜丈を一つ前に上げて、34輪笠 祐士と26本山 遥がSBという可変式も考えられる。この時に疑似的な4-1-2-3のような形にもなる。こういった構想を練る事ができるのも攻撃的なWBを揃える事ができた最大の利点と言えるだろう。

 ただ、この時に27河井 陽介や田部井 諒のどちらかがボランチに入っていて、34輪笠 祐士か26本山 遥がCBに入っている場合は、疑似的なアンカーに27河井 陽介か田部井 諒、22佐野 航大などの選手が入ってしまう形になり、中央の仕掛けに弱くなる。

 もしくは、シャドーの22佐野 航大か田部井 諒をシャドーで起用している場合は、このどちらかのポジションを下げて、3バックを維持した上で、7チアゴ・アウベスをトップ下に、左右に再び26本山 遥と34輪笠 祐士を展開する熊本式の3-3-1-3もオプションとしては、面白いかもしれない。

 複数ポジションができて、選手の個の力も高い選手が揃ったことで、チームとして幅が広がっている事から木山マジックの深みが増す。考えれば考えるほど、クレイジーだ(スペインやドイツの記者風)。日本代表みたいに相手の対策を打ち破ってくれる可能性にも期待したい。

 一つの考察に過ぎないが、ボランチとCBにタイプの違う選手を獲得したことで、オプションや戦術の幅は、広がったことが読み取れる。個の力を最大限に活かすという個人戦術は、パワーアップに期待できる中盤の選手が、揃ったと言える。

補強ポイント(FW)

 3-4-2-1におけるシャドーを3-6-1と考える場合もあるが、私は、前への圧力を強くするという意味で、3-4-3への意識が強いと考えている。

 木山 隆之 監督の考えていた最初の構想は、4-1-2-3であり、実際にWG適性のある選手、19木村 太哉、9ハン・イグォン、22佐野 航大、坂本 一彩、川谷 凪、高橋 諒といった選手の起用も予想される。

 1トップ2シャドーという形であれば、27河井 陽介、8ステファン・ムーク、22佐野 航大、14田中 雄大、田部井 涼、44仙波 大志、山田 恭也、25野口 竜彦などの起用が考えらる。非常に熾烈なポジション争いが繰り広げられると同時に、来季も雉プレスをやるぞという意志表示にも感じられる。90分間で、45分の全力疾走や連戦でも守備強度を維持できるメンバーを揃えられているという点で、連戦に強い岡山が、来季は見えるかもしれない。もしかすると、レギュラーでない選手が出場することが多い、天皇杯やルヴァンカップで、過去最高成績を残したとしても不思議ではないほどの前からの守備強度や運動量は期待できる。

 また、シャドーやWGだけという形に拘らず、ピッチを広く使う起用もする場合もあるだろう。その辺り、木山マジックを考えながら、温泉などに浸かりながら長考に入っている可能性も否定できない。

 1トップもいよいよ15ミッチェル・デュークのみの去就残すのみとなった。町田への移籍が噂されているが、最後まで分からないので、発表を待ちたい。15ミッチェル・デュークが、揃った場合は、強力なストライカーのトライアングルを形成することも可能となるだけに、夢がある。

 仮に、移籍であったとしても櫻川 ソロモンや7チアゴ・アウベス、高木 一彩や38永井 龍といった強力で個性豊かなFWが揃っている。

 MF型やWG型、CF型の選手などをどう組み込んで行くのか、状況や対戦相手に応じるかは、あるつ思うが、日本代表の3トップやフランス代表の4トップを超える、ミシャ式に近い5トップの採用も十分考えられる。シーズンの開幕は、木山マジックの開幕も意味する事と言える。

4、総括

 今回は、多くの事を語ったので、文中で紹介したオプションを図式で紹介して終えたいと思います。

可変式の例1

可変式の例

 フォーメーションや選手の可変式の予想パターンの2つだが、何れもダブルボランチが、26本山 遥と34輪笠 祐士の2選手の組み合わせ限定の可変式だ。

 両WBが高いポジションを取ることを目的とした可変式だが、どちらかと言えばリスク軽減を意識した形と言える。今季は、攻撃的なWBの選手が多く、一つの選択肢として、十分考えられる形の一つではないだろうか。どちらの形も守備強度を維持できているので、カウンターに対応できるが、中盤が空いている事が気掛かりな形。

 あくまで狙いで、実際にスムーズにこの形に移行できるのかは無知数だが、イメージ的に上がったサイドのケアにポジションをスライドさせるイメージ。超攻撃的に行くのであれば、WBの選手の近くにポジションを取ったり、オーバーラップしていくこともあるかもしれない。

可変式の例2

可変式の例2

 この形は、22シーズンの可変式を意識した形だ。26本山 遥の右CB兼右SBの形だが、34輪笠 祐士の左CB兼&左SBでも面白いだろう。鈴木 喜丈を左CB兼左SBとするのであれば、26本山 遥か34輪笠 祐士を攻撃的なボランチにすることも有力な選択肢となってくる。

 ただ、ボランチから左右のCB兼SBを行う場合の移行は少し難しく、プレー切れた間にコーチングによって形を変える事となるだろう。従来のCBメインでSBも兼ねる場合は、鈴木 喜丈を軸に動かさない事も手だ。選択権は、ピッチの選手の判断か、指揮官である木山 隆之 監督の指示によって、変更可能だ。可変式のポイントとしては、相手を惑わす、流れを変えるなどの狙いがあるので、多くの可変式ができるのが、理想的だ。

 最後の形は、オーバーラップしたCBのスペースをケアする形だ。これは、慣れてくれば比較的自然とできる形だ。攻めているので、ラインを上げつつ、ボランチがそのポジションを維持、もしくは下がってスペースを空けない守り方だ。この図では、両CBが上がっていて、WBが下がり目だが、ケースバイケースで、隙を作らない上で、相手の守備の隙を探して押し込んでいく、超攻撃的な可変式だ。

 どちらかと言えば、カバー意識の強い可変式で、もしかすると、可変式とは違うかもしれないが、攻撃的なCBの選手の特徴をより活かすという意味で、持っておきたい選択肢だ。

 今回の総括の4パターンは、何れも26本山 遥と34輪笠 祐士の守備的な選手のダブルボランチを想定した形ではあり、最後の形は、5柳 育崇と23ヨルディ・バイスが、オーバーラップするパターンにしているが、鈴木 喜丈がオーバーラップする形もあるかもしれない。他のボランチの選手の組み合わせをした場合は、また違った柔軟性や戦術の幅はできるだろう。

 ただ、攻守の入れ替えのスピードの早い現代サッカーで、どこまでオーバーラップができるかは、一つの懸念点ではあるが、どれだけ攻撃的に行きつつ、リスクを小さくできるか。そういった対策と修正の先にJ1昇格が待っている。また、26本山 遥と34輪笠 祐士の共存がみたいので、この形を採用したが、中盤の選手の多さを考えると、選べる選択肢の多さから、木山マジックが生まれる選手は、集結したと言えるだろう。

 補強ポイント総括は、次回が最終回となります。編成が出そろっているので、3-3-1-3については、今回のフォーカスのように編成を変えたいと思います。

 W杯総括やJリーグ関係、岡山の選手名鑑など、構想はありますが、できない可能性も高いですが、公開できた際は、よろしくお願いいたします。

 最後まで読んで下さりありがとうございました。

文章・図=杉野 雅昭
text・figure=Masaaki Sugino


今回の「補強ポイント」とは違う「補強ポイント」の詳細な総括編は、以下から読むことができます。

Part5は、こちら(別記事)。
URL:https://note.com/suginote/n/nba18b52c99ad#cb6ba3bb-3af4-4b1c-ac71-46ff38eba154

 同じく違う意味の「補強ポイント」の他のシステム編は、こちらから読むことができます。

part6:4-1-2-3編は、こちら(別記事)。
URL:https://note.com/suginote/n/n8b7ee800fa78

Part7:4-2-3-1編は、こちら(別記事)。
URL:https://note.com/suginote/n/nb91f911826b4

Part8:4-4-2編は、こちら(別記事)。
URL:https://note.com/suginote/n/nbb06c4f61497

Part9:3-1-4-2編は、こちら(別記事)。
URL:https://note.com/suginote/n/nff4820a85cce


ファジ造語

木山マジック
 あらゆる選択肢と可能性にセオリーや絶対はない。挑戦から修正、そして正解に近づいて行く中で、サッカーの完成度、総合力を高めていく。チームとしての戦術の幅は広がり、対応できないサッカーにより近づく。徹底した個人戦術と、組織的に戦術を兼備。予測不可かつ大胆な起用や策は、実は最適格。正攻法もしっかり採用し、その本質を見抜く慧眼と決断する豪胆さを持った勝負師でありながらリアリスト。その一手で、勝利を手繰り寄せる。

雉プレス(ファジアーノプレス)
 90分間のフルタイムの間、岡山式のハイプレスを続けること。2トップ、2列目、アンカーの7選手が積極的に、前からプレスをかけて、相手の組み立てを大きく牽制し、ボールを奪えれば、強力な2トップと2列目の選手が襲いかかる。そのプレス網を抜けても最終ラインの選手が、前に出て対応し、プレスバックで、自由を与えない攻守一体の岡山式プレス。

筆者紹介

杉野 雅昭
 某ゲームから野球派からサッカー派へと移籍。当時チーム名が、ジェフユナイテッド市原であった現ジェフユナイテッド千葉に興味を持つ。オシム(監督)と阿部 勇樹(選手)を中心にJリーグと代表をチェックしてきた。2008年より地元クラブであるファジアーノ岡山のサポーターデビュー。そこから、多くのファジの試合を見てきた。忘れることのできないエピソードが年々増え、シーズンを重ねる毎に想いは強く深くなり、2021シーズンは、初めて号泣。心からサッカー好きで、戦術の奥深さや、プレーの凄さなど、サッカーの本質での攻防にフォーカスを当てて、客観性と冷静さを意識した文章を投稿している。そのレビューへと突き動かす原動力は、サッカーへの情熱。熱さと冷静さを兼ね備えたフォーカスを今後も目指して、投稿を目指していくことで、サッカーの魅力の発信と、サッカーを通じた交流による、感動の共有と縁の繋がりが、楽しみ。ただ、たまに調子に乗り過ぎて失敗する悪癖もあるので、治したいとは思っている。そんな私ですが、noteやSNS、スタジアム等で、交流できたら嬉しく思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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