2024ファジアーノ岡山にフォーカス37『 陣地を巡る攻防の先には?~自進に向けて~ 』J2 第23節(H)vs ベガルタ仙台
1、色濃い戦術的な相性~双方の意図~
ホームとアウェイで、共に仙台に完勝と言える内容と結果を残すことができた岡山。これはやはり戦術的に相性が良いと言っても良いでしょう。
仙台サイドからすれば、J1経験のない岡山のサポーターにそう言われると心境的には、負の印象を抱くかもしれないですが、客観的に分析することで、仙台<岡山の様な相関図からは逆に遠ざかり、逆に仙台の目指すサッカーの完成度が高いからこそ、岡山のサッカーの表現し易い内容になってしまうことを強調することができる部分はあると思います。
実際に仙台は、序盤戦でこそありますが、長崎の唯一の1敗は、仙台での1敗でもありますし、岡山がルヴァンカップとリーグ戦で負けた横浜FCにも勝っています。
やはり、サッカーというスポーツは、ジャイアントキリングが他競技に比べて、生じやすいスポーツで、漫画のタイトルにもなるぐらいジャイアントキリングは、人の心を魅力することができるスポーツです。
今季に関して言えば、仙台の完成度が上がれば上がるほど、岡山としては戦いやすくなってしまった側面があったと思いますので、双方のサッカーが当たった時に、なぜこのカードのような内容になるか、シンプルかつ完結に語っていきたいと思います。
また、同時に仙台のある動きから、この相性が一変する可能性もありますから、その辺りを含めて、ここからの1試合1試合が大事ということをしっかり意識して、戦うことが必要であると感じられた嬉しく思います。それでは、よろしくお願いいたします。
2、後からじっくりの仙台と前でプレーしたい岡山~噛み合う~
仙台のサッカーの狙いとして、後からしっかり繋ぐ。足下の技術をしっかり活かして、ボールを大事にするサッカーというのが根底にありました。
そして、岡山は、ハイラインを敷いた上で、全体をコンパクトに保って、前からのプレスが嵌らなくても、自由にボールを持てる時間を与えない狙いと、そのプレスが空振りに終わっても素早く帰陣して、守備的な隙を埋める意識が高いだけではなく、多少の隙を作っても前に勇気のあるといった感じに、ポゼッションサッカーに対して、かなり強く戦えるサッカーを志向しています。
岡山は、それだけではなく、奪った後に人数をかける意識も高く、前線のFWの3選手だけではなく、左右のWBも高いポジジョンを取って、5人で左右問わず、中からも攻撃参加します。
更に大きいのが、CBの3選手も攻撃への貢献度がかなり高いことです。43番 鈴木 喜丈 選手は、元ボランチということもあって、司令塔のようなチャンスメークができますし、18番 田上 大地 選手は、SBも経験があるだけではなく、縦への意識と足下の技術が高いことで、縦パスを通すキック力と精度を合わせ持っています。4番 阿部 海大 選手も身体能力を活かした攻撃参加や思い切りが良い右足から繰り出されるフィードやパスも効果的です。
岡山のDFラインの特徴として、攻撃に偏っているのではなく、対人守備も強く、この試合では途中出場であった5番 柳 育崇 選手に限って言えば、J2屈指の空中戦の強さがあります。
ボランチの運動量やセカンドボールへの意識の高さも相まって、前からのハイプレスによって、崩れた岡山の守備陣形の自己回復力の高さだけではなく、対戦チームがプレスを回避する時に放つことの多いロングパスを跳ね返す力だけではなく、中盤での回収力が高いことで、岡山がボールを「前で」保持する時間が長くなります。
前線にポストプレーができる選手が少ない仙台にとって、ロングパスは、ほぼ岡山に渡す形になってしまうので、岡山の鬼気迫るハイプレスの圧力を100%受けながらもパスを素早く、正確に繋いで、前線に運んでいく必要がどうしても生じてしまうのです。
この試合では、そこをやり続けていましたが、一度か二度DFの所で引っ掛かるという危険なシーンも生じてしまいましたが、そこでしっかり繋いで運ぶという意思表示をして戦っていたのが、仙台でした。
その結果、パスを繋いで運ぶのも地獄。前に蹴ると高確率で、岡山のボールとなってしまうという八方塞がりといった状況に近い状態が生じて、岡山のペースで試合が進みました。
ただ、前回ホームで、衝撃的な逆転負けをしてしまっている仙台としては、99番 ルカオ 選手だけには、絶対球際で負けない。そういった覚悟のようなものを感じました。
岡山サポーターからすれば、ラフプレーに感じたかもしれませんが、ボールを保持するスタイルにハイプレスの攻防に対して、ロングパスを極力挟まないという流れであれば、ボール保持側の仙台は、岡山の選手を呼び込んでしまうという見方もできますし、岡山からすれば、仙台の選手に近づいていくことになりますから、そこでの接触プレーは、どうしても多くなります。
前回のホームでは、仙台は、そこで負けてしまったことで、4失点に繋がってしまったので、そこだけは絶対負けてはいけないという仙台の強い意志を感じました。
岡山としても、そこに対して、引いてはデュエルだけではなく、試合に勝てませんから、お互いに強く当たらず得ないです。
不幸中の幸いであったのは、主審の方が、極力荒れないように、カードを簡単に出さず、デュエルではなく、ラフプレーにならないようにコントロールされていたことです。
不幸と表現したのは、やはり99番 ルカオ 選手が、前半の早い時間帯で、プレー続行が不可能となって、交代してしまったことです。状態が心配ですね…
心情としては、強く抗議したくなるところではあるのですが、この試合の噛み合わせの部分で、どうしても両チームともデュエルでは負けてはいないというのがあったので、仕方ないとも感じています。それでも、正直長期離脱となれば、岡山としては痛すぎるところではないですが、19番 岩渕 弘人 選手が、0トップで機能していて、10番 田中 雄大 選手や39番 早川 隼平 選手とかなり相性が良いことは、救いではあります。
本来であれば、ここに仙波 大志 選手(現群馬)という流れを期待したいところでしたが群馬への期限付き移籍先が変更されたので、27番 木村 太哉 選手や25番 吉尾 虹樹 選手に期待したいですね。いやぁ、私だけではなく、仙波 大志 選手が、好きなサポーターの方は多かったと思いますし、彼のプレーを岡山で、今季(岡山で)観ることができないことは、正直ショックですね…
しかし、気持ちを入れ替えて、新加入の23番 嵯峨 理久 選手や特別指定の37番 家坂 葉光 選手の新加入の選手にも期待したいところです。
新加入の言えば、梅木 翼 選手が、仙台に加わったことで、仙台のロングパスが、有効となった場合は、相性が大きく変わる可能性もありますので、その仙台の戦えなかったことは、仮にプレーオフで当たることなった場合、かなり不気味な存在の選手と言えるかもしれません。
岡山としても加入の噂というか必須の1トップタイプの選手を獲得することができれば、また違ったサッカーもできると思いますし、残り試合で、結果と成長の両立ができたらと感じます。
3、仙台戦をヒントに木山ファジスタイル確立を!~自信を自進へ~
岡山のサッカーの基本デザインとして、5トップの時間帯を長く作ることが一つの理想形としてあります。
この試合では、前からの守備でも攻撃でもこの時間帯を長く作ることができたことで、勝利に繋げることができた試合でした。
逆に、岡山が苦しんだ試合として、前から行った背後をロングパスや縦パスで、一気に運ばれて、スペースを使われた時に苦しむ傾向にあります。
現状、岡山として、ここへの答えは見つけることができておらず、チームとして、クリアすべき課題の1つです。
とは言っても、これは、対清水や対秋田、対いわきFCのような堅守速攻のチームにどう戦うかというのが、木山ファジの宿命と言える課題かもしれません。速攻を極めた千葉にも苦戦が続いてますので、チームとして岡山が、前から守備や攻撃に行った際に、瞬く間に陣地を逆に速攻で奪ってくる(回復してくる)チームに対して、「どう止めるか」「どう遅らせるか」「どう前でのプレーを増やすか」ではないかと思っています。
しかしまぁ、この3部分について、内定選手と新加入の選手に期待する部分でもあるので、服部さんが、如何に長期的視点でチーム編成を考えられている方かというのが良く分かりますよね。
今季の離脱者の多く出て苦しんだことが示す通り、如何に多くの実力のある選手を編成に組み込めるかが、(J2基準の)中堅クラブが、(J2基準の)ビッククラブに対して、どう勝てるチームを作って行くかという一つのアプローチとして必要不可欠と感じるところです。
出場機会があるかどうか分かりませんが、23番 嵯峨 理久 選手は、本日の試合での出場機会は早速あるのではないかと思いますので、とても楽しみですよね。
チームが先を見据えてチーム作りされてますので、1人のサポーターのレビュアーとして、後押しできることは、その意図を少しでも汲み取り、感情的なポジティブだけではなく、理論的にもポジティブに感じられるレビューを発信していくことで、チームの信じて応援したいと思える雰囲気の形成に少しでも貢献できたらと思っていますし、そういったレビューを書いていきたいです。
リーグ戦では、仙台に2勝できましたが、岡山も清水に2敗しています。そこからの巻き返しの準備をするということは、仙台も同じですから、リーグ戦での結果をどう先に繋げていくかです。その先をJ1にできるか。来季もJ2になるのか。しっかり、チームとして厳しい中でも準備していますので、今節もやはり、ファジアーノ岡山ファミリーとして、ココロヒトツニを合言葉に戦いきりたいですね。
そして、その先の試合で深めた自信を結果に繋げることで「(自分達の力で前進する)自進」に繋げたいですね。
文章・図・写真=杉野 雅昭
text・figure・photo=Masaaki Sugino
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