2024ファジアーノ岡山にフォーカス38J2 第24節(A)vs栃木SC『 終盤戦の先を見据えて~羅針盤と灯台~ 』
1、相関性とゲームプラン~眼光の先~
サッカーというスポーツは、チームスポーツでこそありますが、個人技という言葉がある通り、時には組織をも凌駕する個人のプレーで勝敗を決することがあるスポーツです。
しかしながら、J2においては、各クラブとの戦力差は小さく、首位のクラブが最下位のクラブに負けることがあっても不思議ではないリーグです。
実力差が小さいリーグにおいて、勝ち続けるためには、組織面でも個人の力でも多くの戦術や個の力で「勝つ」だけではなく、戦術や相性踏まえた総合的に「負けない」試合を、如何に増やすことができるかどうかが、最終的な勝ち点の多さに直結します。
首位の清水は、攻守ともに総合力が高く、ホームではいまだ負けなしで、2位の長崎も24試合戦って序盤戦での僅か1敗をキープしていて、横浜FCも高い個の力を持つ選手を揃えて、安定した守備を武器に勝ち点を積み重ねてきています。
一方で、岡山は、前線の主軸選手に、多くの離脱者がでたことで、スタートダッシュに成功したにも関わらず、4位でこそあるものの3位との勝ち点差は大きく開いてしまったことで、残り試合と上位3チームのここまでの安定感を考えると、自動昇格に食い込むことは難しくなりました。流石に上位の3クラブの内の2クラブが急失速した上で、岡山がここから全勝するというのは現実的ではないでしょう。
とはいえ、クラブとしては、可能性が残っている限りは、自動昇格を目指していき、プレーオフに回ったとしても勝ちきれる強さ、高みへと到達を目指すことは、先に繋がっていきます。
さて、その岡山が、中断前に戦った相手は、栃木でした。Googleのお勧め候補に恐らく同じ方のブログが上がってきましたが、内容は2年連続で、ほぼ同じ内容でした。
それは、「残留のために、どういった内容でも勝って欲しい。」といった趣旨の内容でした。
実は、栃木のサッカーに対しても相性的にもあまり良いイメージがないのですが、そういった栃木に「勝ち点1は、最低でも死守する!!!」といった鬼気迫った戦いをされてしまうと、自分達のサッカーを体現するといった岡山の戦いだと、どうしても良い所を消されてしまう可能性は高くなります。
「負けたくない=良い所を出させない守備をする」「勝ちたい=自分達の攻撃の形で得点する」といった感じでもあると思いますので、実際にこの試合は、厳しい試合となりました。
また、栃木の武器である球際への強さは、開幕の時と違い復活していて、岡山の良さを出し難いといった感じで、更に岡山は、前線で体を張れる9番 グレイソン 選手や99番 ルカオ 選手といった選手を欠いてしまいますので、縦に入れた所で、攻撃の芽を潰されるというシーンが多かった試合でした。
失点に繋がったシーンもまさにそのシーンで、そこで前を向くことができれば、ビックチャンスになるところでしたが、しっかり体を当てて、自由を奪いに行くという守備の前にバランスを崩したところで、39番 早川 隼平 選手のボールコントロールが甘くなり、ボールロストしてしまいました。一気に前線にボールを運ばれる速攻を許し、こぼれ球を再度のシュートを許したところで決められてしまい、岡山は失点してしまいました。
ただ、その直後の同点打も39番 早川 隼平 選手の左足から生まれました。足の振りも速く、正確にミートする技術、そして強烈で球足の速いシュートを打つ技術。ここに関しては、24節までの段階では、チームナンバー1かもしれません。
組織力と個の力で、勝敗を決することがあるといった話をしましたが、僅差の試合では、こうしたメンタルの部分、気持ちの部分で、スコアが動くこともあって、サッカーの奥深さを感じますね。
岡山の得点は、ただ後から繋ぐだけではなく、長短のパスや遅攻と速攻とある種、総合的な攻撃ができるという良さが出た得点で、縦に付けた時にボールロストせずに、前を向ければ、形を作れるといった得点で、接触プレーを避けるために、フリーランで、シュートコースを作ることで、電光石火の同点打に繋げることができました。
今季の岡山は、堅守という岡山らしい武器の他に、完敗の試合が少ない通り、苦しい試合で勝ち切る力や、劣勢の中でも粘り強く勝ち点1を得ることができるチームですし、そういった底力を発揮しての引き分けであったように感じます。
かといって、球際で強く守備するという守備の基本を徹底した上で、チャンスを粘り強く探ることができる栃木に対して、その強い守備を抑えることができる、対抗できる強いストライカー不在で、多くのチャンスを作るということはやはり難しく、決定力不足が響き、敗戦や引き分けが多くなりがちな岡山に、10番 田中 雄大 選手の決定機でのシュートは、唯一決まらないGK正面に飛んでしまいましたが、それを含めて、多くのチャンスを作れなかったことで、勝ち点1に終わりました。
では、この栃木戦の引き分けを受けて、かねてよりのチーム編成の+αをチームの強化部の監督と、木山 隆之 監督を中心とした現場の指導陣が、どういった決断を下したのかという観点で、次から語っていきましょうか。
2、難敵にどう勝っていくか~継続と進化~
まずは、補強ウインドウが開いた夏場の動向を整理しましょう。
更なる動きも考えられましたが、A契約25人枠内にしっかり収めたことからも今季もチャンスと捉えているが、来季以降を見据えた補強に留めたことを感じられます。
次にどういった立ち位置としての起用となるかを想定する上で、リーグ戦での最多出場のポジションと>先発<出場数の分布図を整理してみましたので、まずは、以下を御覧下さい。
こうして見てみると、出場試合が一部の選手に固まっている左右のWBを担えて、サイド選手が高い位置でプレーできる攻撃での貢献と、身体能力を活かした守備ができる23番 嵯峨 理久 選手が、加入することで、左右のWBの負担軽減と、途中出場によるサイドからの攻勢と守備でのハードワークが期待できる補強であったことが分かります。
そして、今や岡山の攻撃の核である19番 岩渕 弘人 選手の定まっていない相方を誰が担うか、もしくは、出場機会がシャドーで集中している19番 岩渕 弘人 選手の代役を誰を担うかという点での加入で、代役や相方としてだけに留まらず、新たな核として期待できる33番 神谷 優太 選手の加入により、90分間通しての攻撃の形を作るチャンスメーク力の維持を、大いに期待できる選手と言えそうです。
更に、今季絶望の9番 グレイソン 選手と現在離脱中の99番 ルカオ 選手、そして、即戦力ですが、開幕前の傷の手術で、調整中の11番 太田 龍之介 選手、栃木戦での脳震盪が心配された29番 斎藤 恵太 選手と、満身創痍のFWへの補強は、22番 一美 和成 選手ですが、既存選手の良い所を足して、4分割したようなバランスの良さを兼ね備えた選手で、タイプの違う選手でもあって、様々な場面での活躍や様々な役割を担える選手です。
この3選手の特徴や期待したいことを考えると、来季を見据えての完全移籍であることは、私が指摘するまでもないでしょう。
残り試合をどう戦っていくかですが、FWに関しては、99番 ルカオ 選手や11番 太田 龍之介 選手の復帰も想定していて、空席の役割を敢えて残す補強であって、99番 ルカオ 選手や11番 太田 龍之介 選手の穴埋めではなく、FW4選手(9番・11番・29番・99番)の誰とも組める選手という考えでの獲得ではないかと感じています。
今季は、FWの2選手が、同時起用された時の連動性がイマイチであったこともあって、そういった課題のクリアも来季を見据えた上でも、期待したい点です。
シャドーに関しては、19番 岩渕 弘人 選手のように、何でもできる選手ではありますが、コンディション面や岡山のハードなサッカーへの適合ができるのか、周りを使える選手でもあり、周りに活かされる選手でもある33番 神谷 優太 選手が、中断期間があったとはいえ、チームにフィットできるのかという心配ではあります。
特に岡山は、個性豊かな選手が多く、チームスタイルで形が決まっているというよりは、出場選手がやり易いサッカーや核となる選手へ寄せる傾向にありますので、そこに寄せられるか、もしくは、その中心選手としてチームを機能させることができるかどうかが、注目ポイントとなるでしょう。
そして、一足早く岡山デビューした23番 嵯峨 理久 選手ですが、29番 斎藤 恵太 選手が脳震盪の疑いで交代したことで、シャドーを任されたことで、持ち味や特徴を出し切れたとは言えない試合であったことで、主なポジションである左右のWBで、どういったプレーをしてくるのかとても楽しみです。
左右のWBを担えて、身体能力が高く、攻撃面での武器が多いということで、岡山に合いそうな選手感が半端ないので、とても期待できる選手ですよね。
何れの選手も離脱選手の穴埋めではなく、全選手で考えた時に、チームとして足りない点を補えて、そこに新たな相乗効果や競争からのチームの総合力UPは大いに期待できる選手ではないでしょうか。
3、残り試合で期待したいこと~希望の光~
もう一度、この図を見て欲しいです。
離脱していた選手も多く戻ってきたことで、木山 隆之 監督にとっては、多くの選択肢を持つことができる状況と言えるでしょう。
ただ、残り試合を考えた時に「試すこと」と「成長に期待すること」に、チームとしての方針の比重を多く割き過ぎると、7位以下に交代する可能性もありますし「結果を出すこと」も、重要です。
ここからは、二兎だけではなく、三兎も四兎も求めて行かないといけません。しかしながら、過度の期待は、重圧に繋がってしまいますし、難しい面もあります。
何事もマイナスもあれば、プラスもあります。だからこそ、サッカーで安定的に勝つことは難しいです。しかしながら、今季は、昇格経験のある選手も加入していて、木山ファジ3年目ということもあり、チームとしてのまとまりは、木山ファジの中でも最も良いと言っていいでしょう。
個の力だけみれば、3年の中で一番までとは言えないかもしれないですが、総合的な強さは個人的にナンバー1だと思っています。
しかしながら、周りのチームも下には落ちたくないですし、上にあがりたい。そういった想いが、衝突した時に、どういったドラマが待っているのか。
25節からの残り試合。ファジアーノ岡山を通じた選手たちの戦いのドラマを少しでもお伝えできたらと思っています。
こういった時に、絶対昇格しましょう!というのもありですが、個人的には、楽しみましょうという気持ちの方が強いです。
しかしながら、ここから1試合1試合の重みや1つ1つのプレーの重みが、どうしても増していくと思いますから、楽しむことが難しくなる中でも自然体で、チームを応援できたらと思っています。
そして、当然ながら勝負事でもスポーツですから対戦相手もいます。普段通りは、難しいかもしれませんが、応援しているチームを超えて、皆さんと一緒にJ2をJリーグを、サッカーを楽しむために、最後までリスペクトの気持ちを大切にしていきと思っています。
そして、本日は、オリンピックのスペイン戦もありますね。厳しい試合になると思いますが、49番 スベンド・ブローダーセン 選手と重なって見える愛称が国防ブライアンと呼ばれている小久保 ブライアン 選手のいる日本代表のように、岡山も堅守を武器に一体感での期待したいですよね。
最後まで読んで下さり有難うございました。
文章・図=杉野 雅昭
text・figure=Masaaki Sugino
4、アディショナルタイム
・アンケート結果
・あとがき
生きてました。音信不通で、レビューが上がらなかったので、もしかすると、気にされている方もいたかもしれませんが、偶に流れてくる通知のXのポストだけ目を通して、情報遮断しておりました。
移籍に関してのポストも色々と目にしました。後はまぁ、色々とあって、佐野選手の件とか、五輪を見ながら、本当であれば、この舞台に航大選手がとか、思いながら寂しい想いで、試合をみていました。
唯一のオーバーエイジなしながら、無失点での3連勝の突破。その結果、強豪スペインとの対戦となりましたが、ここを突破できれば、メダルが現実味を帯びてきますね。
個人的に良かった選手は、斎藤選手、三戸選手、藤田選手、ブライアン選手の4選手です。この4選手が出ていれば、流れを引き寄せることができるのではないでしょうか。
スペイン相手にも十分戦えると思いますので、国防ブライアンを中心に粘り強く守って、藤田選手で、攻守でゲームを作って、斎藤選手と水戸選手でかき乱して、なんとか1チャンスで勝ち切りたい。
主導権を握ることは難しいと思いますが、粘り強く戦えば、勝機はあると思っています。明日の山形戦に向けて、勇気を貰える試合に期待したいですね。
泣いても笑ってもJ2も残り14試合。いや、まだ望みを捨ててないです。最後まで、楽しみたい!
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