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【前編】「老いと演劇のワークショップ」で体感した人生の神秘を味わう技術!



今回の記事はJさんの独り言、クリエイティブ考!素晴らしいワークショップ体験のもとのルポタージュ?随筆?でございます。
やってみて感動したことだけ抽出してまとめるつもりだったのに、思い出しながら一場面いちばめん、とっても楽しくてそのたび感動があったことがあふれてきて、とうとう4500字前後編になっちゃいました!てへ!
いや、ほんとに、騙されたと思って読んでみてくださいよ、、へへ、、「老いと演劇」のワークショップのおもしろさが伝わるように、長いけどするする読めるように書けたんじゃないか、って、自分で思えてるわけですよ、、へへ、、
ワークショップとの出会いから、演劇的アプローチをぞんぶんに楽しみ、それによって自分の好きなことを思い出したJさんのお話。



「クリエイティビティとは、人生の神秘を味わい尽くすための柔らかなまなざしである」、、
「自分を狭める信念」とは違う、世界に対する信頼と冒険のもとにある「命題」を抱きしめ日々クリエィティブに生きてゆきたい!
そんなことを思いながら智頭町の発行する町報をパラパラとめくっていたのでしょうか?

『老いと演劇のワークショップ』というタイトルが書かれたチラシが目に飛び込んできたのです。

演劇を通して、認知症について考えてみませんか?
認知症の人との関りについて学びたい方、演じることに興味がある方、年齢に関係なく、どなたでも参加いただけます。

講師は、俳優で介護福祉士の菅原直樹さん
認知症ケアに演劇的手法を活用した「老いと演劇のワークショップ」を全国各地で展開

参加費無料


なに~~~~~~~~。とっても気になる。

認知症ケアと演劇的手法?人生の課題に見せかけた神秘とクリエィティブな視点。まさに私の最近のテーマにぴったしカンカンじゃないか。
しかも、大好きな坂口恭平氏の文章が載ってたので図書館で借りてきていた「ケアとアートの教室」という本に、主宰の菅原直樹さんも載っていた。老いと演劇についての想い、ワークショップの内容、劇団の公演の内容などを知り、即申し込みをしたのです。なんかタイミングがよすぎてテンションupのJさんでした。



そして当日。

めちゃんこ楽しみ!!で、でも、演劇のワークショップって、、演じるの?恥ずかしくね?できるんかしら、、という一抹の不安を抱きながらも、ちょぴっと興味を示していた不登校ムスメもつれて会場へ、、こころ馳せ参じたのであります。

ワークショップの企画をされていたのが、息子の通う森のようちえんのOB保護者さんであったり、町内のお友達も参加してたりと、顔をみて緊張も少しほぐれました。
参加者はうちの娘が9歳で最年少、20代かな?という方から60代か70代くらいの方まで男女比も年齢層もとてもバランスよく多種多様。え~でも、このメンバーでどうやってワークショップを進めるんだろう。やっぱドキドキするかも、、。

菅原さんの現在の活動、「老いと演劇」を考えるきっかけなどをはじめに聞かせていただき、ワークショップが開始する。ドキドキ。

主宰する劇団「OiBokkeShi」のお話も。
8月の公演が楽しみ!


まずはウォーミングアップともいえる「遊びリテーション」「シアターゲーム」から。
前者はその名の通り「遊び」と「リハビリテーション」を掛け合わせた造語。後者は俳優訓練で用いられるエクササイズのひとつで、人前で集中してパフォーマンスができる精神、身体を養い、コミュニケーションを潤滑にする目的で用いることもあるらしい。
様々な年代、運動能力を問わず体を動かしながら楽しくコミュニケーションできるゲームを3種類した。

何をするのだろうかドキドキ



ひとつめは顔や体のパーツに番号をふり、今回は「将軍」と呼ばれた役割の人がランダムに番号を発言し、その番号のふられたパーツを指さすゲーム。
まずは自分の体で、その次はお隣の人の体を使って、次は番号を2つづつ両手を使って指す。
さらには、一度指さしさせてもらった人にはもうしてはいけない。両手とも違う人を指す!などとどんどん難しくなっていき、

こうなって、、
最終的にこう!


いつのまにかみんな自分の席から離れてごちゃまぜになって、めちゃ体を近づけ合って頭と足先を別の方向に指さしてすごい形になっていた。
すごい笑顔で(*´▽`*)アハハハ

これには感動した。さっきまで、はじめて顔を合わせた年代も性別もバラバラの少し緊張感をもった人たちが、なんかもうググっと仲良くなっちゃったかんじ。安心してるかんじ。あ、みんな楽しんでる。いい人たちだ。みたいな。そんな空気がたった数分でいつの間にか出来上がっていた。

子どもたちの間でそういう現象が起きているのは何度も目の当たりにしたことはあるし、その度に「子どもってすごいな、いいな」なんて思っていたけど、この年になって体験できるなんて。

もうひとつ、「おじいちゃんにイス取らせないゲーム」正式名称はわかんないけど、ゆっくり歩いて空いたイスに座りに来るおじいちゃんを、イスに座らせないようにみんなでがんばる心苦しいゲームもした 笑
もう、さっきの指さしゲームですっかり仲良くなっちゃってるから、みんなただひたすらに子どもみたいに楽しんだ。もちろん小学三年のムスメもめちゃくちゃ楽しんでいた。




すっかり身体もこころもリラックスし、みんなこのワークショップを楽しもうという姿勢ができあがったところで、今度は少し演劇的なアプローチ「イエスアンド」に入る。
相手の発言を否定せずにまるっと肯定し、さらにアイデアをもって返答するという即興演劇の訓練的ゲームらしい。


20数名の参加者を3組に分け、輪になり、「認知症の人」「介護職員」の役を順番に演じる。ムスメとは違うチームになってしまって一瞬間気になったが、もう私はこれからやることにワクワクしていたので、すぐに「ま、ええやろ」となった。

職員役が「○○さん、食事の時間ですよ」と声をかける。
認知症の人役が、「全く文脈に関係ない願望」を口にする。

これは実際に認知症の人との関わりの中で毎日繰り返される光景のようだ。職員役はその脈絡のない返答に対して、「いいね(イエス)」と「それならこうしましょう(アンド)」という肯定の関わりを即興で演じるのだ。菅原さんがいくつか例となる返答を見せてくれた。


「食事の時間ですよ」

「私はね、アイドルになりたいのよ」

「いいですね、どんな歌を歌いましょうか?セーラー服を衣装にするのはどうですか!」


こういった具合である!


ムスメが職員さんに食事に誘われております!


Jさんは職員役のトップバッターだったので、隣の方に「Ⅿさん(みんな名札をつけている)、食事の時間ですよ」と声をかけた。

「私はね、ゲームセンターに行きたいんですよ」

むむ!やるなおぬし!はわわどうしよう、と狼狽する気持ちがありながらも必死で脳を回転させ、

「いいですね!では、バスに乗って鳥取市まで出てみましょうか!」

と提案した。するとMさんは「いえいえ私ゃね、そんな遠出でなくても、近くでいいんですよ~」と認知症のおばあちゃんらしい演技をしっかり盛り込みながら即興を続けるではないか!!

この方、参加者の中でも最年長か二番目くらいかなぁ?と思う60代か70代に見えるおば様なんですよ。すごいな!柔らかい人だな~!と楽しくなって、いつまでもこの劇を続けたい気持ちもありましたが、次は反対側のお隣さんとの寸劇を、ワタシが認知症の人役でやるという楽しみもあるのです。


町内のお友達のYちゃんが「Jさん、食事の時間ですよ」とワタシに声をかける。
ワタシは認知症の人らしい演技をする、ということよりも、自分の発想を思いっきり飛躍させるほうの練習をしてみよう、と必死で考えて出した返答が


「私はねぇ、赤ちゃんになりたいんですよ」


Yちゃんは、「いいですね、、赤ちゃんですか、、」と完全に言葉とは裏腹に困惑している!ははー!やったーー!困らせてやった!とうれしくなった。

「じゃあ、お母さんが、いりますね!探してきます!」

このまま即興劇が続けられるとしたら、Yちゃんがお母さん役の人をどっかから連れてきて、ワタシはその人からミルクをもらうのだろうか、、
自分の発想の飛躍によって次は自分が困惑しそうである。配役を回していけるグループワークでよかったね、、!

そうやって順繰りに即興劇を体験し、みんなの困惑する姿を見ておもしろがり、返答の鮮やかさ、演技力、相手に寄り添ってる空気感に感心し、実に楽しい時間だった。
指差しゲームやいす取りゲームですっかり仲良くなった人の輪の中だったから、ドキドキしながらも気軽に挑戦できたし、変なこと言っても失敗したと感じてもなんでも大丈夫。楽しくやったらいいのよね、ってみんなが暖かかった。

これは何の話をしてるのかな
みんなとても楽しそう


そんなホンワリした心もちで、即興劇が輪を一周するころ、菅原さんが「お手伝いいただけませんか」とワタシに声をかける。
「ちょっとみなさんの前でやってみませんか。僕が職員役で食事の声掛けをしますので、同じように脈絡のない返答を考えておいてください。次やるのは【否定する関わり】です。僕がどんどん認知症のJさんの返答を否定して、現実的に訂正しようとしますので、その時どう感じられたかで自由に次のセリフを言ってください。訂正され続けることで、【食事にいこう】と思えたらそうしてください。自分の願望が強くなれば、それを主張してもいいです。」


、、、? ぬわにいいい~~!それってほんまに即興演劇みたいやん!!
それを?ワタシが?みなさんの前で?菅原さんと?やるの?マジで?
グループワークでよかった~みんなやさしいし、変なこと言っても失敗しても大丈夫!ってさっきまで思ってたけど!ぎょええ~~!!


でも、ちょっぴり、楽しそうかも、、?!


そうなの、、さっきオリエンテーションタイムに、「セリフを覚えたり、照明やセットがある、なんていう演劇の経験がある人はおられますか」という菅原さんの質問に、うっかり手をあげてしまったのよ。。
その時は「勇気を出して手をあげてくださってありがとうございます。ここで手をあげたら何かやらされるんじゃないかってみんな手を上げにくいのに 笑」とか冗談めかしてたのに!楽しいゲームで遊んでいる間に手をあげたことも忘れてたのにいい!

でも、それで思い出せた。高校の文化祭で、自分で脚本を書いて音楽や照明も考えて演出して、キャスティングもやって、重要配役で出演して演技もしたこと。
自分で演劇をそこまでやったのは一回だけだけども、先輩の劇団が好きでついて回ったり、京都の劇団の手伝いにいったり、お笑いの劇場に足しげく通っていたこともあったな、、舞台や演劇を身近にしていた時、自分のこれまでの中にあったわ、、。
また、ひとつ好きなことを思い出した。とても、うれしくなった。忘れていたけど、思い出せたぞーー!!


よーし!やってみよう!昔ちょっと好きだったってだけで、0か1かくらいの経験値しかないんだから、うまくできなくて当たり前!つーかうまくやんなくて大丈夫!演技をうまくやりにきたわけじゃないんだから、「老いと演劇のワークショップ」に来たんだから!ただ体験しに来たのに、だれがうまい演技を見れるってワタシに期待してるねん!
と長々と自分にツッコみつつ、菅原さんの言ったとおりに、飛躍した返答だけ考えて、あとはその時のこころのままにやってみよ!と腹をくくったのであります、、


後編につづく


ここからですからね!ほんとうの体験は!ぜひ後編もよんでくださいお願いしますから~~!
いやその前に、前編を最後まで読んでくださりありがとうございます!感謝感激です!しかしぜひ後編も!よくばりですか!すみません!


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