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短編小説から見る社会

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菅原ゼミで読んだ短編小説の書評を順次掲載していきます。書評は全てゼミ生が書いています。授業期間中の毎週末ごろ更新です。  ※ネタバレありですので気になる方はお気をつけください。
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2022年5月の記事一覧

シオドア・スタージョン「死ね、名演奏家、死ね」書評(評者:北川結衣・吉岡渚)

先週の4回生ゼミではシオドア・スタージョンの異色ミステリ「死ね、名演奏家、死ね」を読みました。音楽について、嫉妬について、など、様々な観点から議論がかわされました。

シオドア・スタージョン「死ね、名演奏家、死ね」(『一角獣・多角獣』収録)

評者:北川結衣

 誰しも一度は他人の才能に羨ましさを感じたことがあるのではないだろうか。その「羨ましい」という感情は、強くなればなるほど「妬ましい」という

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長野まゆみ「45°」書評(評者:中島虎太郎・藤原明日加・小森翔太)

先週の3回生ゼミでは長野まゆみのミステリアスな短篇「45°」を読みました。そもそもこれはどういう話なのか?をめぐって興味深い議論が展開し、驚愕の解釈も生まれたのですが…ここに紹介できないのが残念です。

長野まゆみ「45°」(『群像短篇名作選 2000〜2014』収録)

評者:中島虎太郎

 私たち人間は様々な言動や物事などに対して自分なりの考えや、解釈を持ったりする生き物である。そのため簡単に

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江戸川乱歩「屋根裏の散歩者」書評(評者:山田瑠菜・柴田美朝

江戸川乱歩「屋根裏の散歩者」(『ちくま日本文学 江戸川乱歩』収録』)
評者:山田瑠菜

犯罪に魅せられてしまった只一人の人間

 こんな話を聞いたことがある。人間は誰しも、内に狂気を秘めている。その人格を表に出さずに、理性で覆い隠したものが自分自身だと人間は思い込んでいるが、実は無意識下に恐ろしい狂気じみた混沌とした別人格がいるのだと。"法律さえなければ"いや、もっと身近な表現をすれば"誰かに叱ら

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角田光代「ロック母」書評(評者:眞銅隼斗・芝本剛志)

更新が滞っていました。4月最終週の3回生ゼミでは角田光代「ロック母」を読みました。書評は眞銅隼斗さんと芝本剛志さんのお二人に書いていただきましたが、その後のディスカッションではゼミ生の間で読み方が分かれ、興味深い議論が繰り広げられました。

角田光代「ロック母」書評(1)(『群像短篇名作選 2000〜2014』収録)
評者:眞銅隼斗

 近く、臨月を迎える主人公が父と母に会うため、島にある実家に向

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