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特別企画~滝ともはる・堀内孝雄「南回帰線」とムーンライダーズの関係についてちょっと気づいた二、三の事柄。

 Twitterで堀内孝雄さんの画像が貼ってあったのを見てしまったんですが、そこには「演奏ムーンライダーズ」とあったんですね。
ムーンライダーズのある程度のマニアなら、堀内孝雄さんのツアーで彼らがバックを担当していたことは知っているはずです。
 ここで何度も話題に出るムーンライダーズの徹底研究本「FLIGHT RECORDER」(JICC出版)の年表によりますと、1979年4月~5月にかけての堀内さんのツアーに参加したのが最初で、1981年8月のライヴまで継続してバッキングを担当していたのでした。

・ムーンライダーズ+アストロ・チンプス「FLIGHT RECORDER」(JICC出版)ムーンライダーズ年表を掲載。

 滝ともはるさんは堀内さんのツアーでフロント・アクトを担当していまして、滝さんのメジャー展開ということで、堀内さんからも一緒にやりたいとなりサントリー・ビールのCM曲として「南回帰線」を堀内さんと滝さんのデュエットで発売することになったのです。

 滝さんは1978年にシングル「千羽鶴」でデビューしました。
事務所はアリス、つまり堀内さんと同じくヤング・ジャパンでレコード会社はポリドールですから、シグナルの直接的後輩になりますね。
ちなみに佐野元春さんがデビュー時に所属していたのもヤング・ジャパンで、現在はアップフロントエージェンシーに発展し、主にハロープロジェクトやアリス周辺のニューミュージックと呼ばれたアーティストのマネージメントを行っています。

 滝さんのファースト・アルバム『滝ともはる』収録曲の「TAXI DRIVER」が所謂シティ・ポップの名曲ということで近年注目されています。
近年、7inchシングルとして再発されました。

 実はこの曲初めて聴いたのですが、滝さんはフォーク・シンガーという印象が強かったのでかなり意外でした。ベースがとにかくカッコいい曲ですね。

 「南回帰線」に話を戻しますと、発売は1980年4月ですから、ムーンライダーズはアルバム『カメラ=万年筆』を録音していた時期になります。

・この映像の2:19から滝ともはる・堀内孝雄「南回帰線」が使われたサントリー・ビールのCMを見ることができます。

 今思ったのですが、堀内さんの物まねの「ありがとう」はこの曲からきているかもしれませんね。

・滝ともはる・堀内孝雄「南回帰線」
レコード化されたヴァージョン。

 続いては人気番組「夜のヒットスタジオ」出演時の映像です。
ちなみにムーンライダーズは加藤和彦さんが「絹のシャツを着た女」で出演した際にも演奏を担当しています。

・滝ともはる・堀内孝雄「南回帰線」
「夜のヒットスタジオ」ヴァージョン。

 イントロの「Come on RIDERS!」は滝さんですね。確か「ザ・ベストテン」出演時にも言ってました。
この日はキーボードの岡田徹さんとギターの白井良明さんのアグレッシブなプレイが印象的ですね。
これは同時期の『カメラ=万年筆』やイメージ・アルバム『綿の国星』などを連想させます。 
ムーンライダーズ・レコードから発売されたライヴ・アルバムの発表前には、ムーンライダーズのこういった部分は想像するしかなかったので、非常にありがたいことでした。

・冨澤一誠「あいつの切り札」(音楽之友社)
滝ともはるインタビュー掲載。

 富澤一誠さんが週刊FMに連載していた「あいつの切り札」を単行本化したもの。
滝さんと堀内さんが一緒にレコードを発売するまでの経緯や、デビュー前のエピソード、今後について語っている内容です。

 滝さんはその後「ハングマンⅡ」のエンディング・テーマ「MIDNIGHT FLYER」などで注目を集めましたが、大ブレイクには至らず(すみません)、マイペースで活動を続けています。
そして、2001年には横浜にライブハウス「パラダイス・カフェ」を開店させたりと、現在も活躍中です。

 えーと、当時のムーンライダーズの話をしますと、堀内さんとのプロジェクトには鈴木慶一さんは不参加でして、慶一さんはプロデューサーとしての活動を始めていたのでした。
つまりPANTA&HALやシネマなど後につながる作品を制作していた時期だということですね。

 堀内さんと慶一さんの接点というのは1980年6月放送の「ファイティング80's」なのでした。
堀内さんがメイン・ゲストとして3曲を演奏し、滝さんと堀内さんの「南回帰線」と、ムーンライダーズは「モダーン・ラヴァーズ」を演奏したのでした。
つまり「ライヴ帝国』のDVDにボーナス・トラックとして収録されたのはこの時の映像なんですね。
メイン・ゲストではなかった故に1曲しか映像が存在しなかったと推測しております。

・兼田達矢「横浜の“ロック”ステーション TVKの挑戦」(DU BOOKS)
「ファイティング 80's」出演リスト掲載。

 長年、ムーンライダーズの映像が他に存在していないのか疑問だったのですが、堀内さんとの共演ということがわかり、ようやく納得できました。 

 滝ともはるさん、堀内孝雄さんにムーンライダーズを「南回帰線」関連で考えるとこういうところになります。もちろん不明なことも多いので、まだまだ調査は継続させる予定です。

 ムーンライダーズやアリス、堀内孝雄さんや滝ともはるさんのファンの方であそこは違うという点がありましたら、ご教示ください。訂正しますので。
それではよろしくお願いいたします。

 明日こそはお気楽でお気軽な記事を書いてみたいと考えております。お楽しみに。

 ではまたー。


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