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獲物の分け前~TENTレーベル・ペーパースリーヴ・リイシュー~ムーンライダーズ編。

 某オークション・サイトにムーンライダーズのTENTレーベル時代の紙ジャケット盤がまとめて出品されてまして、定価よりかなり安かったので、つい購入してしまいました。
私にとってちょうど予備校に通い~大学に入った時期だったので、お金はそれほどないけど、時間はたっぷりあったんですよね。
TENTレーベルはムーンライダーズ、高橋幸宏さんソロ、ビートニクスとライヴに通ったり、レコードを夢中になって聴いていたアーティスト揃いだったので、まとまった形での再発は嬉しかった記憶があります。

・ムーンライダーズ『ANIMAL INDEX』(PCCA-01856/ポニーキャニオン)

 まずはこのアルバムの制作方法について書きますと、基本的にはメンバー6人が曲を書いて、(他のメンバーの助けがあったとしても)演奏なども個人個人で仕上げる形でした。
ただし、楽曲が完成するまでは鈴木慶一さんが立ち会う形だったそうです。
 
 このCDは1985年発売のそのアルバムにビデオ作品『DREAM MATERIALIZER』からの4曲をボーナス・トラックとして追加収録しています。
確か『ANIMAL INDEX』のライヴ映像が残っていて、それを発売しようとしたら、音声部分が上手く録れていなくて、ビデオ用にと新しく録音した記憶があります。

 ボーナス・トラックはリズム・トラックなどを流しながら、主にギターを重ねているので、レコード(CD)とはかなり質感が違いますね。
この録音がヒントになって、後の12inchシングル「夏の日のオーガズム」の製作に引き継がれたのでした。

 不思議なのは『DREAM MATERIALIZER』は6曲入りなのに、「駅は今、朝の中」と「僕は走って灰になる」がCDに収録されなかったことです。
特に「駅は今、朝の中」は人気曲ですからね。うーむ。

 
・ムーンライダーズ『THE WORST OF MOONRIDERS』(PCCA-01857/ポニーキャニオン)

 1986年発売の彼ら初のライヴ・アルバムで、かつての録音(はちみつぱい時代を含む)や10周年ツアーの音源など幅広く集められた作品です。
はちみつぱいの未発表アルバム『はちみつぱいセカンド・アルバム in コンサート』(ソリッド・レコード)の音源を多少時期はズレるものの集めていたことが、このアルバムの選曲に反映したと思われます。

 人気投票上位の曲は入っているものの、はっきり言って音質がよくない楽曲が収録されていたり(しかもそれらは曲の途中で演奏テイクが変化するという)、アルバムのC面は全てインスト曲だったりと、かなりキンキーな選曲だと当時話題になりました。
このアルバム収録のライヴ・ヴァージョン「夏の日のオーガズム」はメドレーになる部分がありまして、ゴドレイ&クレームの(10CC時代の曲を含む)「ヒストリー・ミックス」と近い位置にあるのではないかとも勘繰りましたねぇ。

 先ほど書いた通り、『ANIMAL INDEX』のボーナス・トラックとこのアルバムのボーナス・トラック「夏の日のオーガズム」を聴き比べていただくと新たな発見があるかもしれません。

あ、そうそうこのアルバムは1986年発売だったので、リアルタイムではCDとLPが収録曲が違ったのも彼ららしい、と。
このアルバム、1991年にTENTレーベル時代(徳間ジャパン時代のアルバム『マニア・マニエラ』と『青空百景』、12inchシングル「夏の日のオーガズム」も含む形)で再発された時、CDとLP収録曲を全て収録した完全版としてリリースされています。

・ムーンライダーズ『DON'T TRUST OVER THIRTY』(PCCA-01858/ポニーキャニオン)

 ちなみにこのシリーズのムーンライダーズのアルバムでは唯一ボーナス・トラックが収録されていないアルバムです。
所謂『ANIMAL INDEX』方式のメンバー6人が個人個人で仕上げた6曲と、メンバー全員で仕上げた3曲の全9曲が収録されています。

 当時Chuya&De-Luxの宙也さん、カーネーションの直枝政太郎(現政広)さん、本間哲子さんに安部OHJI隆雄さんなど、その後のムーンライダーズ周辺に関わる人々がこのアルバムに参加していることも特筆すべきことですね。
アルバム発売記念ツアー最終日にはムーンライダーズ周辺のミュージシャンが多数ゲスト参加したのですが、映像と音源が事務所には残っていなかったのでした。。残念です。

 ちなみにこの再発シリーズの解説を書いているのは、元ミュージック・ステディ編集長の小島智さんなのでした。
近年、TENTレーベル時のムーンライダーズのボックス・セットが発売されて、これらのCDに収録された音源は全て収録され、なおかつテレビ出演時(フジテレビ「LIVE JACK」)の映像や「高橋幸宏スタンダッププリーズ」の公録でラジオ放送された一部が収録されている決定版になっていますね。
ボックス・セットは既に入手困難になっている模様ですから、とりあえずこちらの紙ジャケット盤を探すのがTENTレーベル時代の流れを理解するのにはいいかもしれませんね。。

ではまたー。

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